盗撮で逮捕されるか

盗撮で逮捕されるか

盗撮事件と逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

【ケース】

Xさんは、千葉県千葉市中央区在住の男性です。結婚して妻も子供もいますが、仕事が忙しく、毎日夜遅くまで働き、総武線で満員電車に揺られて帰る生活を続けています。
ある日、Xさんは、ネットニュースで盗撮で捕まった人の記事を読みました。その捕まった人は、過去1000件ほど盗撮行為を行っていたが、捕まったことはなく、今回初めて捕まったとのことでした。
Xさんは、捕まるのが怖いと思った反面、1000件以上やってようやく捕まったのだから、1回くらいやったとしても捕まることはないだろうと思い、仕事帰りの満員電車の車内で盗撮を行いました。
最初は緊張しましたが、案外簡単に撮影できることに気が付き、そこからはほぼ毎日のように盗撮行為を繰り返しました。
ある日、いつものように帰りに電車内でXさんが盗撮行為を行っていると、突然スマートフォンを掴まれました。どうやら盗撮行為が目撃されてしまっていたようで、その場で「盗撮しましたよね。降りましょう」と言われ、被害者の女性、自分、目撃者の三人で駅に降り、千葉県千葉中央警察署の警察官が来るのを待って取り調べを受けました。
(フィクションです。)

【盗撮】

盗撮は、以下の法令により罰せられる可能性があります。

①軽犯罪法
第一条(一部抜粋)
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
第二条
前条の罪を犯した者に対しては、情状に因り、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。

軽犯罪法1条33号は、人の住居などにおける覗き見(窃視)を罰する目的で規定された条文です。
現在では、盗撮も覗き見に当たると考えられており、迷惑防止条例の規制が及ばない盗撮事件はこちらが適用されることになります。

②千葉県迷惑防止条例(令和2年7月1日付施行)
第3条の2(一部抜粋)
何人も、みだりに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であ つて、次の各号に掲げるものをしてはならない。
第1号 次のいずれかに掲げる場所又は乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又 は身体を、写真機その他の機器(衣服を透かした状態を撮影することができるものを 含む。以下「写真機等」という。)を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を 差し向け、若しくは設置すること。
イ 浴場、更衣室、便所その他の人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる 場所及び住居
ロ 公共の場所(イの場所を除く。)又は公共の乗物
ハ 学校、事務所その他の不特定若しくは多数の者が利用し、若しくは出入りするこ とができる場所(イ及びロの場所を除く。)又はタクシーその他の不特定若しくは 多数の者が利用することができる乗物(ロの乗物を除く。)

第13条(一部抜粋)
第一項 第3条の2(第1号に係る部分に限る。)の規定に違反して下着又は身体を撮影した 者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第二項 常習として第3条の2(第1号に係る部分に限る。)の規定に違反して下着又は身体 を撮影した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

なお、千葉県はもともと、盗撮行為を「卑わいな言動」という一つの文言としてのみとらえていましたが、今回の改正で、東京都とほぼ同様の範囲で盗撮行為を処罰することとなりました。
すなわち、これまで迷惑防止条例による射程の対象外であった、学校やホテル内の盗撮行為もその対象となったと考えられます。

両者の刑を比べると、①が拘留(30日未満の拘置)や科料(1万円未満の金銭の納付)なのに対し、②は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
①②の両方の適用が可能な場合、基本的に刑が重い方が適用されることになるので、上記事例のXさんは千葉県迷惑防止条例違反になると考えられます。

【盗撮事件における逮捕の可能性】

刑事事件において逮捕を行うかどうかは、事件の重大性や被疑者の態度などを考慮して捜査機関が判断する事柄です。
そのため、逮捕の可能性というのは事件の内容とそれに対する各捜査機関の考えに左右されるものであり、一律に論じるのは難しいと言えます。

ただ、すでに取り調べを受けたうえで、帰宅できているケースの場合、逮捕の可能性は一般的に高くないと考えられます。
また、盗撮に対する罰則は、たとえ条例が適用されるとしても比較的軽い部類であると評価できます。事件の重大性は逮捕の可能性を左右する重要な考慮要素であり、その重大性は犯罪の重さ、すなわち刑罰の重さと相関があります。
そのため、罰則が比較的軽いことは、逮捕の可能性が高いことを否定する要素となりえます。

以上の点は逮捕の可能性が高いことを否定する要素となりうるため、盗撮事件において後日逮捕される可能性は高くないと言えます。

ただ、上記内容は飽くまでも一般的な傾向であり、住居等における盗撮事件で逮捕されないことを確約するものではありません。
たとえば、カメラに膨大な盗撮の記録が存在する、過去に盗撮を行っている、警察からの呼び出しに応じないといった事情があると、逮捕の必要性は高まります。
結局のところ、逮捕を行うかどうかは捜査機関の判断が全てなので、逮捕の可能性というのは気休め程度にしかならない点は留意が必要です。
もし盗撮が発覚したら、少しでも早く弁護士に相談し、その後のことを真剣に考える方が賢明でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、盗撮事件における最適な対応をお伝えします。
盗撮事件を起こしてお困りなら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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