裁判で有罪になった場合,直ちに刑務所に収容されるとお考えの方もいるかもしれません。
しかし,有罪であっても執行猶予が付与された場合,直ちに刑務所に収容されることはありません。
執行猶予とは
執行猶予とは,事件の重大性や被告人(裁判にかけられた人のことを言います。捜査の段階では被疑者と呼ばれます。)の事情等を考慮して,社会内でも更生が期待できる場合に,文字通り刑の執行を猶予することを指します。
例えば,懲役3年,執行猶予5年の有罪判決を受けた場合は,判決から5年間,罪を犯すことがなければ,言い渡された3年の懲役刑に服さなくても済むようになります。
執行猶予期間に再び罪を犯してしまった場合,執行猶予が取り消される可能性があります。
この場合は新たに犯した罪だけでなく,猶予中であった罪の刑にも服さなくてはならなくなります。
これに対して,執行猶予が付与されない有罪判決を実刑と呼びます。
実刑の場合
実刑の場合,判決が言い渡されたら直ちに刑務所へ収容されます。
なお,法改正により新たに刑の一部執行猶予という制度ができましたが,一部執行猶予はあくまで実刑です。
判決言い渡しとともに刑務所に収容され,残りが猶予期間のみになった場合,初めて釈放されます。
一部執行猶予は社会復帰準備を社会の中で行えるようにすることに意味があり,薬物犯罪に対して用いられることが多いです。
実刑が回避される場合
次に,実刑が回避される場合をご紹介します。
まずは先ほど説明した執行猶予です。
ただし,執行猶予を付与できない場合が法律で定められているため注意が必要です(刑法25条1項)。
言い渡された刑が3年以下でないと執行猶予は付けられないので,例えば懲役3年6月の場合は執行猶予が付けられません。強盗罪(刑法236条)のように,法律の定めた刑の下限が3年を超えている場合も,特別な減軽事由がなければ実刑は避けられません。
他にも,5年以内に実刑を受けたことがある場合には,執行猶予を付与するための条件が非常に厳しくなります(刑法25条2項)。
そこで,執行猶予の獲得自体も重要なのですが,そもそも起訴(裁判にかけられることを言います。)されないことが重要になってきます。
起訴の権限は検察官が有しているため,証拠に基づいて起訴の必要がないことを説得的に主張する必要があります。
また,名誉棄損罪のような親告罪の場合,被害者と示談をして告訴を取りやめてもらえば,裁判になることはありません。
親告罪ではない犯罪も,警察に発覚していない段階で示談が成立していれば,事実上,以後の刑事手続が進まなくなります。
このように,実刑を回避するには起訴猶予の獲得を第一に目指し,起訴されてしまったら執行猶予を求めて弁護活動を進めることになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件専門の弁護士事務所として,被害者との示談を始めとして,起訴猶予,執行猶予の獲得を目指します。
刑事事件でお悩みの際は,まずは一度ご相談ください。