体罰で示談

体罰で示談

体罰をして示談するケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

【ケース】

Xさんは、千葉県千葉市の公立中学校で英語の授業を担当している教員で、教師になってから3年目でした。
Xさんの勤める中学校は、素行のよくない生徒が少なくなかったため、授業中集中して授業を受ける生徒の数の方が少なく、多くの生徒はスマホをいじっていたり、会話をしたり、授業と関係ない作業を行っていました。
そういった状況でも普段は、淡々と授業を行ってきたXさんでしたが、この日は体調が悪かったこともあり、生徒に対し、イライラが募っていきました。
この日、Xさんは、普段と違って、生徒に対し、スマホを使用しないよう注意しました。すると、ある生徒がXさんに反抗し、そのままスマホをいじり続けていました。
Xさんは突発的な怒りから、スマホをいじっていた生徒の手をたたき、スマホを取り上げました。
クラスは大騒ぎになり、被害生徒の両親が被害届取下げを提出、その結果、Xさんは、千葉県警千葉中央警察署の警察官により傷害事件の犯人として取り調べを受けることになりました。
(フィクションです。)

【体罰と刑事事件】

学校というのは、生徒に対して心身の発達段階に応じた教育・指導を行い、個人の健全な育成を図る場です。
そうした学校の役割から、学校教育法11条は、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない」と定めています。
この懲戒は当然ですが、「教育上必要があると認められるとき」にしか行えません。
そして、生徒に対して暴力を振るったりする「体罰」は、いかなる場合においても許されません。

では、どういった行為が、「懲戒」として許され、どういった行為が「体罰」として許されないのでしょうか。
文部科学省はホームページ上で参考事例と称し、具体例を挙げています(文部科学省HP 学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例参照)。

具体的には、「体育の授業中、危険な行為をした児童の背中を足で踏みつける」、「授業態度について指導したが反抗的な言動をした複数の生徒らの頬を平手打ちする」行為は、体罰として許されない行為であるが、
他方、「授業中、教室内に起立させる」、「立ち歩きの多い児童生徒を叱って席につかせる」行為は懲戒の範囲として許されると考えられています。

体罰が発覚した場合、生徒の親をはじめとする関係者から責任を追及されたり、人事権者から懲戒処分を下されたりする場面はよく見られます。
ところが、体罰は、懲戒処分で済むとは限らず、当然ですが、それが、犯罪に当たる行為であれば、懲戒処分に加えて、刑事責任を追及される可能性があることも忘れるべきではありません。
暴行を加えれば、暴行罪や傷害罪などになる可能性があり、義務のないことを無理やり行わせれば強要罪になることもあります。

以上のような犯罪が成立する場合の刑事責任の追及は、先ほど挙げた懲戒処分などとは別であることには注意が必要です。
謝罪や依願退職などを行い、学校内での処分を免れたとしても、刑事手続きが終了するとは限りません。
特に、被害者やその両親が被害届を出したとなると、刑事事件として扱われる可能性は高まるでしょう。

【示談で解決するには】

体罰が刑事事件となった場合には、通常の刑事事件と同じく示談は重要な弁護活動になります。

体罰という名前がついていたとしても、傷害ないし暴行事件という実態に変わりはないからです。

ただ、体罰が問題になるケースにおいては、当事者が教員と生徒の関係にあるという特殊性があります。
保護者が交渉の窓口になるため、これまでの保護者と先生との人間関係が示談交渉に直接的に関係してくることになります。被害届が出てしまっている場合には、保護者の感情が悪化している恐れがあるため、示談交渉は難航するおそれがあります。
そうしたケースでは、少なくとも弁護士に示談交渉を委ねる必要があるでしょう。
加害者側の先生としては、たとえ保護者の連絡先を知っていたとしても、安易に接触することにより逮捕の可能性が高まることはもとより、交渉そのものも感情面が先に立ちうまくいかない可能性が高まります。
示談交渉は、感情がこじれると長期化、難化する可能性が高まるため、最初から弁護士を入れたうえで交渉に臨む方が示談成功の可能性は高まるでしょう。
示談が成立すれば不起訴や執行猶予となることも十分考えられます。
自己の体罰を反省して再び前を向くためにも、示談は弁護士に依頼して不起訴や執行猶予の可能性を少しでも高めましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が、体罰をしてしまった方のための示談交渉に手を尽くします。
もし体罰をしてしまったら、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所(0120-631-881)にお電話ください。
刑事事件・少年事件専門の法律事務所として、示談交渉をはじめとする多様な弁護活動に取り組みます。
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