刑事事件の当事者となってしまった場合,逮捕や起訴(裁判にかけられることを言います)だけでなく,取調べに対する不安もあることだと思われます。
ここでは,取調べでどのようなことが行われるか,取調べ時にはどのような権利が認められているか,弁護士に依頼した場合の利点があるかについてご紹介します。
取調べとは
取調べとは,法律上,捜査全般のことを指す場合もありますが,通常は捜査機関による犯罪事実の聴取のことを指します。
取調べというと警察官のイメージが強いかもしれませんが,検察官も取調べを行います。
起訴(裁判にかけることを言います。)の決定権限は検察官が有しています。
取調べは逮捕された被疑者(犯罪の嫌疑がかけられている人のことを言います。)のみならず,逮捕前に行われることもあります。
意外に思われるかもしれませんが,逮捕前の場合,取調べのために警察署へ呼び出されていても,出頭を拒むことが法律上認められています(刑事訴訟法198条1項但書)。
同様に,出頭後にいつでも自由に退去することも認められています。
これに対して,逮捕されて身体が拘束されている場合は,取調べを拒絶することはできません。
逮捕されると警察署内にある留置所に拘束されるため,取調べは警察署内の取調室で行われます。
逮捕されている場合,取調室で警察官から事情を聴取されますが,黙秘権(刑事訴訟法198条2項)が認められているため,何も話さないこともできます。
警察官,検察官は,取調べの内容をまとめた書面を作成します。
この書面のことを調書と言います。調書は警察官,検察官が被疑者から聞き取った内容をまとめるのですが,どのように文章に起こすのかは警察官,検察官が考えるため,話した内容と異なるニュアンスで調書が作成されてしまう危険性は否定できません。
調書は裁判において重要な証拠として扱われるため,取調べ時に何を話すかは極めて大切です。
いったん調書が作成されてしまえば,裁判になってから内容を争うのは困難です。
極端な場合,長引く身体拘束に疲れて,やってもいない犯罪の自白をしてしまえば,自白内容を記した調書によって有罪になる可能性もあります。
また,犯罪への関与自体は間違いがなくても,実際よりも悪質な事実を調書にまとめられて,裁判で重い刑を科せられるおそれもあります。
このように,裁判での決定的証拠になる調書ですが,被疑者の署名,押印がなければ,原則として裁判の証拠としては使えません(刑事訴訟法322条1項本文)。
そして,この署名,押印は拒否することができます(刑事訴訟法198条5項但書)。
取調べを受けるにあたっては,このことをよく思い出してください。
取調べは事件の性質によって,長時間,長期間に及びます。
身体拘束を受けている場合は,取調室での聴取を回避することもできないため,心身ともに大きな負担となります。
取調べを受ける際に認められている権利の一部は説明しましたが,実際に取調べを受ける中で黙秘権等の権利を適切に行使することは難しいものです。
取調べ対応は,法律の専門家である弁護士にアドバイスを受けるのが一番です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件を扱う弁護士事務所として,個々の事件ごとに最善の取調べ対応を助言します。
取調べに不安な方は,ぜひ一度ご相談ください。