軽犯罪法違反事件
軽犯罪法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
~ケース~
千葉県山武市の繁華街で、男性が「俺はコロナだ。」と叫んだと、付近の店を営んでいた人が110番通報しました。
千葉県山武警察署の警察官が駆け付けると、男性は酒に酔っており、「うそだった。」と話したため、警察官は男性を任意同行しました。
男性は在宅のまま、軽犯罪法違反(業務妨害)の容疑で調べを受けています。
男性は、今後どのようになるのか不安で、刑事事件専門弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
軽犯罪法とは
軽犯罪法は、さまざまな軽微な秩序違反行為に対して、拘留、科料の刑を定める法律です。
あまり聞きなれない法律ですが、軽犯罪法に規定された犯罪は、刑法犯の予備的行為ないし未遂犯的行為がその大部分を占めています。
ここでは、その中で幾つかご紹介し、刑法犯との関係についてみていきましょう。
(1)潜伏の罪
「人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由なくひそんでいた者」が、処罰の対象となります。
人が住んでいる、又は人が看守していれば、刑法の住居侵入等罪が成立します。
住居侵入等罪が成立する場合には、潜伏の罪は吸収されます。
(2)火気乱用の罪
「相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者」が、処罰の対象となります。
本罪が成立するのは、建物の近くで火をたくなどしたが、延焼の危険がなかった場合や、自己の物や無主物を燃やしたが、公共の危険が発生しなかった場合などです。
建物に延焼することを認容しながら、その附近で火をたき、実際に延焼させて焼損した場合は、放火罪が成立し、本罪は吸収されます。
(3)身体露出の罪
「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」が、処罰の対象です。
本罪が成立するのは、市街地で、しりやももを露出して、これを殊更に強調してポーズをとる場合などです。
わいせつの程度に至った場合には公然わいせつ罪が成立し、本罪は吸収されます。
(4)業務妨害の罪
「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」が、処罰の対象です。
「悪戯」とは、一時的な戯れをいい、威力に至らない程度のものといいます。
威力に至る程度の場合には、威力業務妨害が成立し、本罪は成立しません。
軽犯罪法違反は、比較的軽微な犯罪であるため、被疑者が、住所不定や正当な理由なく出頭の求めに応じない場合でないと、逮捕令状による通常逮捕はされません。
そして、犯人の住居や氏名が明らかでない場合、犯人が逃げるおそれがある場合でなければ、現行犯逮捕もできません。
ですので、軽犯罪法違反で逮捕される可能性はそう高くはないと言えます。
しかし、逆に言えば、軽犯罪法違反であっても、要件に当てはまれば逮捕される可能性はあるということですので、注意が必要です。
軽犯罪法に違反した者は、拘留又は科料が科される可能性があります。
「拘留」とは、日本の刑罰の一種です。
1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘束する自由刑です。
「科料」とは、1000円以上1万円未満の範囲で金銭を徴収する財産刑です。
懲役や罰金と比べると、拘留や科料は軽い刑のように思えますが、拘留・科料であっても、これらの刑が言い渡されるということは、有罪判決を受けたことを意味します。
つまり、前科が付くことになります。
軽犯罪法違反事件と軽く見ていると、有罪判決が言い渡され、前科が付くことになりかねませんので、早期に弁護士に相談し、前科回避に向けて動きましょう。
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