刑事事件と刑事裁判は言葉が似ていますが,意味するところは異なります。
簡単に言うと,刑事事件は刑事裁判を包括する概念です。
なので,刑事裁判は刑事事件を対象としています。
反対に,刑事事件であっても,必ずしも刑事裁判になるとは限りません。
わかりやすく説明するために,架空の事例を用いてみましょう。
事例
Aは飲食店において,酔った勢いで隣に座っていた客Bを殴ってしまった。
Aに殴られたため,Bは全治1週間の怪我を負った。
Aは従業員の通報によって駆け付けた警察官により逮捕された。 (フィクションです。)
Bを殴って負傷させたAの行為は傷害罪(刑法204条)に該当します。
AはBを殴ったことで警察に逮捕されているため,刑事事件になっています。
しかし,このまま刑事裁判になるかというと,必ずしもそうとは言い切れません。
事例の続き
Aは逮捕直後から私選で弁護士に依頼を行った。
弁護士はAの意向を受けて被害者Bと示談交渉を進め,示談を成立させた。
検察官はBとの示談が成立したことや,Bの怪我の程度,Aに前科がなく,反省していること等を踏まえて起訴猶予の処分を下した。
(フィクションです。)
刑事事件になった場合
刑事裁判にまで進むか否かは検察官が決定します(刑事裁判にかける判断をした場合,起訴と言います。)。
そのため,刑事裁判を避けるには,検察官の起訴を回避すること,不起訴処分を獲得することが必要になってきます。
検察官が起訴を行わない場合の一例として,被害者との示談が成立していることが挙げられます。
加害者,被害者との間で既に話がついている場合,あえて刑事裁判まで行う必要がないことも多いためです。
とりわけ,親告罪と呼ばれる犯罪については,示談がもたらす刑事裁判回避の効果は大きいです。
親告罪とは
被疑者(犯罪の嫌疑がかけられている人のことを指します)が罪を犯したと証拠上認められることに加えて,被害者が告訴を行っていることが起訴の条件となります。
被害者との示談が成立している場合,被害者は既に刑事処罰を求めていないことが多いため,告訴の取下げや告訴を行わない旨の約束を取り交わしていることが大半です。
それゆえ,示談の成立が刑事裁判の回避につながる効果を及ぼします。
反対に,ひとたび起訴されてしまうと,その後に被害者が告訴を取り下げたとしても,刑事裁判は進んでしまいます。
それゆえ,被害者との示談はスピードが命となります。
法律の専門家である弁護士に被害者との示談を依頼することは,起訴回避のためにも欠かせません。
特に,私選で弁護士をつける場合は,逮捕の時点から動くことが可能なので,よりスピーディーな対応が期待できます。
親告罪以外の犯罪についても,被害者との示談が成立していることは,刑事裁判の回避や早期の釈放に向けて有利な事情となります。
いずれにせよ,弁護士をつけて被害者との示談交渉を進めることは欠かせません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件・少年事件を扱う弁護士事務所として,迅速な被害者対応を行います。
被害者との示談を早急にとりまとめ,刑事裁判の回避を希望されている方は,まずは一度ご相談ください。