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犯罪収益で暗号資産を購入し隠匿した疑いで男性を逮捕〜千葉県在住の男性が起こした組織犯罪処罰法違反事件〜

2023-09-26

今回は、千葉県在住の男性が逮捕された組織犯罪処罰法違反事件の事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

<事案概要>

新潟北警察署、県警組織犯罪対策課は9月19日10時10分、千葉県在住で無職の男性A(50歳)を、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反の疑いで逮捕しました。

Aは、氏名不詳者と共謀のうえ、犯罪収益を隠匿しようと企て、2022年2月7日、詐欺により得た現金99万円をAが管理する暗号資産交換業者のA名義口座に入金し、暗号資産を購入。
同日、インターネットを利用して購入した暗号資産(約99万円相当)を氏名不詳者の管理するアドレスに移転し、隠匿した疑いです。

(略)

警察が逮捕された男性の調べを進める中で容疑が浮上し、捜査の結果、逮捕に至りました。
新潟北署によると、逮捕された男性は「間違いありません」と供述しており、容疑を認めているとのことです。
(※9/19に『Yahoo! JAPANニュース』で配信された「【3回目の逮捕】犯罪収益の規制等に関する法律違反の疑いで千葉県在住の男性を逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)

<組織犯罪処罰法とは>

組織犯罪処罰法(正式名称:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)は、組織的な犯罪行為とその収益に対する罰則を定めた法律です。
組織犯罪処罰法は、単なる個々の犯罪行為以上に、組織的な犯罪活動を抑制することを目的としています。

犯罪収益に対する規制もこの法律の重要な一部です。
具体的には、犯罪によって得た資金(犯罪収益)の取得処分隠匿に関する行為が罰せられます。

今回の事例でAが行った犯罪収益で暗号資産を購入する行為は、元々どこから得たお金なのかを不明確にして、犯罪収益を隠匿する行為になります。
このような行為はマネーロンダリング(資金洗浄)といい、マネーロンダリングで犯罪収益を隠匿する行為については、組織犯罪処罰法第10条第1項で以下のように規定されています。

組織犯罪処罰法第10条第1項(犯罪収益等隠匿)

犯罪収益等(〜中略〜)の取得若しくは処分につき事実を仮装し、又は犯罪収益等を隠匿した者は、十年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。犯罪収益(〜中略〜)の発生の原因につき事実を仮装した者も、同様とする。

マネーロンダリングによる犯罪収益の隠匿行為で組織犯罪処罰法違反が成立すると、10年以下の懲役または500万円以下の罰金、あるいはその併科として処罰されます。

<組織犯罪処罰法違反で逮捕されてしまったら>

今回のようなマネーロンダリングによる犯罪収益の隠匿行為で組織犯罪処罰法違反となると、他に共犯者がいることが多く、口裏を合わせたり証拠を隠滅するおそれがあると判断されやすいため、逮捕勾留によって身柄拘束をされる可能性が高いです。

逮捕後に勾留されると、最大20日間身柄拘束されてしまう可能性があり、長期拘束となると、本人以外の周囲の人にも影響が及ぶ危険性もあります。
長期拘束によるリスクを少しでも減らすためにも、早急に弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
すでに逮捕されてしまっている場合は、最短当日に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。

千葉県内で、ご家族が組織犯罪処罰法違反事件を起こして逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。
24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)にて、お電話をお待ちしております。

女子大生の肩を刃物で刺してバッグを奪い逃走した男性を逮捕~千葉県市川市で起きた強盗致傷事件~

2023-09-23

今回は、千葉県市川市で起きた強盗致傷事件の事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

<事案概要>

市川市で男が女子大生を後ろから押し倒し軽傷を負わせ、ショルダーバッグを奪い逃走した事件で、市川署は17日、強盗致傷罪の疑いで住所不定、アルバイトの男A(21)を逮捕した。

逮捕容疑は9日午後11時50分ごろ、同市の路上で帰宅中の女子大生V(23)=同市=を押し倒し、馬乗りになって刃物のようなもので肩を突き刺すなどして軽傷を負わせ、現金7千円などが入ったショルダーバッグを奪った疑い。

市川署によると、Aは宮城県大河原町の同県警大河原署に出頭。
防犯カメラや遺留品の捜査からも浮上していた。
容疑を認めている。
(※9/18に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「女子大生に馬乗りで肩刺しバッグ奪う 逃走の21歳男逮捕 容疑で市川署」記事の一部を変更して引用しています。)

<強盗致傷罪とは>

今回の事例で、Aは強盗致傷罪の疑いで逮捕されています。
強盗致傷罪については、刑法第240条で以下のように規定されています。

刑法第240条(強盗致死傷)

強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

条文の前段で規定されている罪が強盗致傷罪、後段で規定されている罪が強盗致死罪です。
強盗致傷罪の主体は強盗犯人なので、強盗罪に着手している必要があります。
強盗罪について規定されている刑法第236条も確認しておきましょう。

刑法第236条(強盗)

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

 前項の方法に財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

「強盗」とは、暴行や脅迫を用いて他人の財物を強取することを指します。
暴行や脅迫の程度については、相手(被害者)の反抗を抑圧するに足りる程度とされており、刃物を突き付けるような行為が代表例として挙げられます。

また、暴行や脅迫が相手の反抗を抑圧するに足りる程度であったかどうかの判断は、被害者の主観だけでなく、被害者の性別や年齢、犯行場所や時間、凶器の有無などの事情からも考慮して、社会通念に従って判断されます。

強盗致傷罪は、強盗罪に該当する行為を行った結果、被害者に怪我を負わせた場合に成立するということです。
強盗罪に該当する行為を開始していればよいため、強盗罪が既遂で終わったのか未遂で終わったのかについては問いません。

今回の事例では、AはVを背後から押し倒し、馬乗りになって刃物のようなもので肩を突き刺した後に、Vのショルダーバッグを奪って逃走しています。
AがVに加えた上記の暴行行為は、Vの反抗を抑圧するに足りる程度であると判断され、Vは怪我を負っているため、Aは強盗致傷罪の疑いで逮捕されたと考えられます。

<強盗致傷罪で逮捕されたら弁護士へ>

強盗致傷罪の処罰内容は無期又は6年以上の懲役刑であり、非常に重く処罰される犯罪です。
また、強盗致傷罪による刑事事件を起こすと、逮捕勾留される可能性も高く、起訴されて裁判にかけられる可能性も高いです。

逮捕・勾留による長期的な身体拘束や起訴されて前科がつくことを避けたかったり、起訴された後の判決を少しでも軽くしたいという場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士が代理人として、早期の身柄解放不起訴処分の獲得、万が一起訴された場合の減軽判決の獲得といった弁護活動に尽力するため、上記内容が実現する可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件で弁護活動を担当した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
ご家族が強盗致傷罪で逮捕されてしまい、弁護活動の詳細について確認したいという方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

千葉県内で起きた刑事事件については、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部の弁護士がご相談を承ります。

駅構内で寝ている男性のリュックを物色した男性を現行犯逮捕~千葉県千葉市で起きた窃盗未遂事件~

2023-09-20

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が、千葉県千葉市内で起きた窃盗未遂事件をもとに、窃盗未遂罪が成立する要件や刑罰について解説します。

<事例>

千葉県警は15日、窃盗未遂罪(すり)の疑いで千葉市中央区、自称会社員の男A(41)を現行犯逮捕した。

逮捕容疑は同日午前2時5分ごろ、同区のJR千葉駅の階段で、酒に酔い寝ていた会社員の男性V(39)=船橋市=のリュックサック内を物色した疑い

県警捜査3課によると、「(リュックを)開けたのは間違いないが泥棒はしていない」と容疑を否認している。
警戒中の同課員と鉄道警察隊員が取り押さえた。
(※9/17に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「JR千葉駅の階段、寝ている男性のリュックを物色 窃盗未遂の疑いで男逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)

<窃盗未遂罪とは>

今回の事例では、Aは窃盗未遂罪の疑いで現行犯逮捕されています。
窃盗未遂罪について解説する前に、まずは窃盗罪について見ていきましょう。

窃盗罪については、刑法第235条で以下のように規定されています。

刑法第235条(窃盗)

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

「他人の財物」とは、自分の占有下にない財布や腕時計などの金品や現金を指し、これを盗むことで、窃盗罪が成立します。
他人の財物を窃取することで窃盗罪の既遂となり、窃盗罪が成立しますが、結果として他人の財物を盗んでいない場合は未遂となり、窃盗未遂罪が成立することになります。

窃盗未遂罪については、刑法第243条で以下のように規定されています。

刑法第243条(未遂罪)

第235条から第236条まで、第238条から第240条まで及び第241条第3項の罪の未遂は、罰する。

窃盗未遂罪は、窃盗罪の実行に着手したものの、結果として既遂とならなかった場合に成立します。
ここで問題となるポイントが、どのタイミングで実行の着手があったと判断されるかどうかです。

窃盗罪の実行の着手時期については、一般的には、財物に対する他人の占有を侵害する行為を開始したとき占有侵害への密接な行為を開始したときとされています。

今回の事例で考えると、AはVが寝ている隙にリュックの中を物色していた段階で現行犯逮捕されているため、結果としてVの財物は窃取しておらず窃盗罪は既遂されていません。
ただ、Vの財物に対する占有を侵害する行為を開始していると考えられるため、窃盗罪の実行の着手があったと判断され、窃盗未遂罪の疑いで現行犯逮捕されたと考えられます。

<窃盗未遂罪の刑罰>

窃盗未遂罪について規定している刑法第243条では、窃盗未遂罪が成立した場合の処罰内容については明記されていません。
窃盗未遂罪に限らず、未遂罪の処罰内容については、刑法第43条と刑法第68条によって規定されています。

刑法第43条(未遂減免)

犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

刑法第68条(法律上の減軽の方法)

法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
 死刑を減軽するときは、無期の懲役もしくは禁固又は10年以上の懲役若しくは禁固とする
 無期の懲役又は禁固を減軽するときは、7年以上の有期懲役又は禁固とする。
 有期の懲役又は禁固を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。
 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の2分の1を減ずる。
 拘留を減軽するときは、その長期の2分の1を減ずる。
 科料を減軽するときは、その多額の2分の1を減ずる。

窃盗罪の処罰内容は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
つまり、窃盗未遂罪の処罰内容が減軽される場合は、15日以上5年以下の懲役(刑法第68条第3号)又は25万円以下の罰金(刑法第68条第4号)になるということです。

<窃盗未遂事件を起こしたら弁護士へ>

窃盗未遂罪による刑事事件を起こしてしまえば、逮捕・勾留されたり起訴されて前科がついてしまう可能性もあります。
逮捕・勾留による長期的な身柄拘束や、起訴されて前科がつくことを避けるためにも、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士が代理人として、早期の身柄解放不起訴処分の獲得、万が一起訴されてしまった場合の未遂減軽の主張などの弁護活動に尽力してくれます。

また、窃盗未遂罪では被害者との示談を締結させることが、不起訴処分の獲得などに重要なポイントとなります。
被害者との示談交渉についても、弁護士に弁護活動を依頼しておけば、スムーズに進めてくれるため、当事者間で示談交渉をするよりも示談が締結できる可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件で弁護活動を担当した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
千葉県内で窃盗未遂罪による刑事事件を起こしてしまった方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。

ご相談の予約については、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)でお待ちしております。

神社の壁に落書きをした男性を器物損壊罪の疑いで逮捕~千葉県野田市で起きた器物損壊事件~

2023-09-17

今回は、千葉県野田市で起きた器物損壊罪による逮捕事例について、、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

<事案概要>

千葉県警野田署は16日までに、器物損壊罪の疑いで住所・職業不詳の男A(36)を現行犯逮捕した。

逮捕容疑は15日午後0時35分ごろ、野田市桜台の「櫻木神社」のコンクリート壁に黒色油性マーカーのようなもので落書きした疑い

同署によると、目撃者の男性が「30歳ぐらいの男が落書きしている」と110番通報。
Aは神社を立ち去ったが、神社の神主の男性(70)=同市=がAを追跡し、署員が確保した。
「そのようなことは知らない」と容疑を否認している。

(※9/17(日)に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「櫻木神社のコンクリ壁に落書き 器物損壊の疑いで男逮捕 神主、容疑者を追跡 千葉・野田署」記事の一部を変更して引用しています。)

<落書きも器物損壊罪が成立する?>

今回の事例では、Aは壁に落書きをしたとして、器物損壊罪の疑いで逮捕されています。
落書きは物を壊してる訳じゃないのに、なぜ器物損壊罪が成立するのか疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、落書きでも器物損壊罪は成立します。
それでは、ここからは、器物損壊罪についてみていきましょう。

器物損壊罪とは、刑法第261条で以下のように規定されています。

刑法第261条(器物損壊等)

前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

条文に記載されている「前三条」とは、公用文書等毀棄罪(刑法第258条)私用文書等毀棄罪(刑法第259条)建造物等損壊罪(刑法第260条)を指します。
つまり、これら3つの罪で規定されていない他人の物を損壊した場合に、器物損壊罪が成立するということです。

また、器物損壊罪が成立する要件の一つである「損壊」は、物理的な物の破壊だけではありません。
器物損壊罪における「損壊」とは、財物の効用を害する一切の行為を指し、その物本来の使用用途で使えない状態にすることも含まれます。

落書きは、その物の外観を変えて本来の効用を失わせる行為に該当するため、器物損壊罪の「損壊」に該当します。
なので、今回の事例でのAの行為は器物損壊罪が成立するということになります。

<器物損壊罪による刑事事件を起こしたら弁護士へ>

単なるイタズラのつもりでも、落書きは立派な犯罪行為です。
今回の事例では器物損壊罪の疑いで逮捕されましたが、落書きした場所や内容によっては、建造物損壊罪(刑法第260条)名誉毀損罪(刑法第230条)が成立する可能性もあります。

器物損壊罪による刑事事件を起こしてしまった後の対処法としては、反省の意を示して被害者との示談を締結させることが重要になります。
しっかりと反省していることや被害者と示談を締結していることは、検察官にとっては不起訴処分を決定するための重要な判断材料になるからです。

ただ、当事者間同士での示談交渉は難しく、別のトラブルが起きてしまう可能性もあります。
なので、器物損壊罪による刑事事件を起こして被害者との示談を締結したいという方は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士が代理人として、被害者との示談交渉を進めてくれるので、スムーズに示談を締結できる可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、器物損壊罪はもちろん、様々な刑事事件で被害者との示談を締結した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
千葉県内で器物損壊罪による刑事事件を起こしてしまった方や、ご家族が器物損壊罪で逮捕されてしまったという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。

まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡をお待ちしております。

他人の家を窓から覗いたとして住居侵入罪の疑いで逮捕〜千葉県君津市で起きた住居侵入事件〜

2023-09-14

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が、千葉県君津市で起きた住居侵入事件をもとに、住居侵入罪について解説します。

<事案概要>

千葉県警君津署は14日、住居侵入の疑いで君津市、会社員の男A(54)を現行犯逮捕したと発表した。
逮捕容疑は13日午後10時15分ごろ、同市内の男性会社員V(29)方の敷地内に侵入した疑い

同署によると、高さ約1メートルのブロック塀を乗り越えて侵入し、窓をのぞいているところを見つかった。
逃走したため、Vが約150メートル追跡し、歩道上で取り押さえ110番通報した。
「カーテンのない窓を見つけたので、女性の裸が見たかった」と供述している。

(※9/15(金)に『Yahoo! JAPANニュース』で配信された「「女性の裸が見たかった」住居侵入の疑いで男逮捕 窓をのぞいているところ見つかり逃走、男性追跡し取り押さえ 千葉・君津署」記事の一部を変更して引用しています。)

<住居侵入罪とは>

住居侵入罪とは、その名の通り他人の住居等に侵入した場合に成立します。
住居侵入罪については、刑法第130条で以下のように規定されています。

刑法第130条(住居侵入等)

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

上記条文の前段部分が住居侵入罪、後段部分は不退去罪について規定しています。

住居侵入罪が成立する場所は、「人の住居」または「人の看守する邸宅、建造物、艦船」です。

住居侵入罪における「住居」とは、人の起臥侵食(きがしんしょく)のため日常使用される場所と定義されています。
長期的な使用ではなく、一時的な使用でも構わないため、ホテルや旅館などで使用する客室も「住居」になります。

「邸宅」とは、住居用に建てられた建造物でも住居に使用されていないものを指します。
例えば、空き家や別荘などが挙げられます。

「建造物」とは、「屋根を有し、壁又は柱によって支えられ、土地に定着し、その内部に人の出入りが可能なもの」と判例で定義されています。(大審院大正13年5月31日判決)
ただ、住居侵入罪において、住居や邸宅は「建造物」から除かれるため、学校や工場、倉庫などが住居侵入罪における「建造物」に該当します。

「艦船」とは、船舶を指しますが、人の起居出入りに適する大きさが必要であるとされています。

邸宅、建造物、艦船については、「人の看守するもの」であることが必要です。
「人の看守するもの」とは、人が事実上管理支配していることを指します。

今回の事例で考えると、Aが窓から除いたV宅は、Vの起臥侵食のために日常使用されているため「住居」に該当します。
つまり、Aは、正当な理由がなく他人(V)の住居に侵入しているため、住居侵入罪が成立するということになります。

<住居侵入罪で逮捕されたら弁護士へ>

住居侵入罪による刑事事件を起こしてしまったり、逮捕されてしまった場合は、早急に弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

住居侵入罪は、被害者と示談を締結することが、検察官からの起訴を免れる不起訴処分を獲得するための重要なポイントになります。
被害者との示談が締結したということは、当事者間での問題が解決したことになるため、検察官もこれ以上の処罰は与えずに不起訴処分を下す可能性が高まります。

ただ、当事者間での示談は問題が起きる可能性もあるため、弁護士に代理人として被害者との示談交渉を依頼することで、スムーズな示談交渉を行うことができ、示談が締結できる可能性も高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、住居侵入罪はもちろん、様々な刑事事件で被害者との示談を締結した実績を持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
千葉県で住居侵入罪による刑事事件を起こしてしまった方や、ご家族が住居侵入罪で逮捕されてしまったという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。

まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)までご連絡をお待ちしています。

スーパーで万引きした男性が店員に噛みついて事後強盗罪の疑いで逮捕~千葉県柏市で起きた万引き事件~

2023-09-11

万引きは、商品の代金を支払わずに店外に持ち出す行為を指します。
基本的に、万引きは窃盗罪に該当するケースが多いですが、場合によっては事後強盗罪に該当することもあります。

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が千葉県柏市で起きた万引き事件をもとに、事後強盗罪が成立する要件について解説します。

<事案概要>

柏署は11日、事後強盗罪の疑いで自称柏市松ケ崎、無職の男A(50)を現行犯逮捕したと発表した。

逮捕容疑は10日午後6時20分ごろ、同市内のスーパーマーケットで、乳酸菌飲料1点(販売価格279円)を万引したのを見つかり、店外で男性店員V(28)ともみ合いになって左腕にかみついた疑い

同署によると、別の男性店員B(31)が取り押さえた。
「万引したことは間違いないが、店員をかんでいない」と容疑を一部否認している。
(※9/14(木)に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「万引見つかり店員にかみつく 柏市のスーパーで事後強盗疑い 50歳男逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)

<事後強盗罪とは>

事後強盗罪とは、窃盗行為が目撃された後に暴行や脅迫を行った場合に成立します。

通常の強盗罪(刑法第236条)との違いは、「暴行や脅迫を用いて財物を奪った」のか「財物を奪った後に条文で規定されている目的(後述)のために暴行や脅迫を行った」かです。
前者であれば強盗罪、後者であれば事後強盗罪が成立します。

事後強盗罪については、刑法第238条で以下のように規定されています。

刑法第238条(事後強盗)

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる

条文に記載されているように、事後強盗罪は「窃盗犯」が主体となっています。
つまり、事後強盗罪が成立するためには、すでに窃盗行為に着手している必要があるということになります。

また、事後強盗罪は、①盗んだ財物を取り返されることを防ぐため逮捕を免れるため③罪跡を隠滅するための内どれかを目的として、暴行や脅迫を加えた場合に成立します。

暴行や脅迫があったと認められる程度としては、通常の強盗罪と同程度の暴行や脅迫の程度である「相手の反抗を抑圧するに足りるもの」とされています。

今回の事例で考えると、Aは自身の万引きがVに見つかり、揉み合いになった際にVの左上に噛みついています。
AがVに噛みついた目的が、万引きした商品を取り返されることを防ぐためか逮捕を免れるため、証拠を隠滅するためのどれかであれば、事後強盗罪の要件に該当します。

事後強盗罪の暴行や脅迫の程度は、単に暴行や脅迫をしたことだけでなく、事件当時の状況暴行の強さ被害者の年齢などを考慮したうえで判断されることもあり、過去の判例では、腕に噛みついた行為が事後強盗罪の「暴行や脅迫」として認められるのかについて結論が分かれています。

<事後強盗罪の刑罰>

事後強盗罪について規定されている刑法第238条では、処罰内容についての詳細が記載されておらず「~ときは、強盗として論ずる。」と記載されています。

「強盗として論ずる」とは、事後強盗罪を通常の強盗罪と同様に扱うという意味をさしています。
つまり、事後強盗罪が成立すると窃盗犯人から強盗犯人となり、強盗罪について規定されている刑法第236条の処罰内容が適用されるということです。

刑法第236条(強盗)

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

通常の強盗罪で規定されている処罰内容は5年以上の有期懲役刑なので、事後強盗罪も同様の内容で処罰されます。

また、暴行の結果、相手に怪我を負わせたり死亡させた場合は、強盗致死傷罪(刑法第240条)が適用されます。

<事後強盗罪による刑事事件を起こしたら弁護士へ>

事後強盗罪は逮捕される可能性もあり、処罰内容も重く規定されています。

事後強盗罪で逮捕されてしまい、その後勾留が決定すれば、逮捕時から最大23日間身柄が拘束されるおそれもあります。
また、事後強盗罪には罰金刑による処罰規定がないので、検察官から起訴されてしまえば、裁判にかけられる公判請求がなされます。
起訴された時点で前科がつくことになり、今後の人生にも影響が及ぶかもしれません。

長期間の身柄拘束や起訴を免れるためにも、事後強盗罪による刑事事件を起こした場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士に弁護活動を依頼すれば、弁護士が代理人となり、早期の身柄解放不起訴処分の獲得、万が一起訴された場合の減刑判決の獲得などを目指した弁護活動に尽力してくれます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、事後強盗罪はもちろん、様々な刑事事件で弁護を担当した実績を持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
ご自身が事後強盗罪による刑事事件を起こしてしまったという方や、ご家族が事後強盗罪で逮捕されてしまったという方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

千葉県内での刑事事件については、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部でお待ちしております。

オンラインカジノサイトで賭博をした自称YouTuberを逮捕〜千葉県で起きた常習賭博事件〜

2023-09-08

オンラインカジノサイトで賭博をした自称YouTuberを逮捕〜千葉県で起きた常習賭博事件〜

今回は、オンラインカジノサイトで賭博をしていた自称YouTuberが常習賭博罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

<事案概要>

千葉県警は7日、常習賭博の疑いで金沢市、自称ユーチューバーの男A(30)を逮捕したと発表した。

逮捕容疑は昨年9月9日~今年4月9日、自宅で6回にわたりオンラインカジノサイトXで換金可能な仮想の金銭を賭け、スロット賭博をした疑い。

県警サイバー犯罪対策課によると「弁護士と話をするまで何も答えられない」と供述している。
昨年7月、サイバーパトロールで発覚した。

他のサイトでも賭博をしていたとみられ、同課は海外にサーバーがある同サイトの運営元の実態解明などの捜査を進めている。

Aは同サイトの運営元と動画共有サイトで月2回、賭博の様子を配信する契約を結んでいたとみられ、少なくとも2019年11月から配信していた。

配信の収益と運営元からの報酬で計約3千万円の入金があった。
(※9/8(金)に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「オンラインで賭博か 自称ユーチューバー逮捕 動画で配信、収益と報酬で3千万円の入金 千葉県警」記事を一部変更して引用しています。)

<常習賭博罪とは>

今回の事例で、Aは常習賭博罪の疑いで逮捕されています。
常習賭博罪については、刑法第186条で以下のように規定されています。

刑法第186条(常習賭博及び賭博場開帳等図利)

常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。


 賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

刑法第186条1項で規定されている罪が常習賭博罪、2項で規定されている罪が賭博場開帳等図利罪になります。

常習賭博罪は、賭博を常習として行っている場合に成立します。
賭博常習者については、最高裁昭和23年7月29日判決の判例で「賭博常習者とは賭博を反覆累行する習癖あるもの」と解釈されています。

賭博に常習性が認められなければ、常習賭博罪は成立せずに単純賭博罪(刑法第185条)が成立します。
賭博に常習性があったかどうかについては、同種前科の有無や、前科はないものの賭博行為を長期間に渡って繰り返していたかなどの諸事情が考慮されて判断されます。

今回の事例で考えると、AはオンラインカジノサイトXで6回にわたり賭博をしています。
つまり、Aには賭博行為の反覆累行があったといえるため、単純賭博罪ではなく常習賭博罪が成立すると考えられます。

<常習賭博罪で逮捕されたら弁護士へ>

常習賭博罪による刑事事件を起こしてしまうと逮捕される可能性があります。
逮捕されて身柄を拘束された後も、常習賭博罪は組織的な犯行であったり余罪の疑いもかけられやすかったりするため、勾留される可能性もあります。
勾留されてしまえば、最大20日間身柄が拘束されるおそれがあります。

常習賭博罪には罰金刑が処罰内容に規定されていません。
なので、検察官から起訴されてしまえば、裁判にかけられる公判請求がされます。

ご家族が常習賭博罪で逮捕されてしまった方は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士から現在の状況今後の見通しについて詳しく説明してくれるので、不安な気持ちを和らげてくれます。

また、弁護士に刑事弁護活動を依頼すれば、弁護士が代理人となり、なるべく早い身柄解放起訴を免れる不起訴処分の獲得少しでも軽い減軽判決の獲得といった弁護活動に尽力してくれます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ刑事事件に特化した法律事務所です。
千葉県で刑事事件を起こしてしまった方や、ご家族が逮捕されてしまった方は、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)にご連絡ください。

質店で腕時計などを奪い従業員に怪我を負わせた男性が逃走~千葉県習志野市で起きた強盗致傷事件~

2023-09-05

質店で腕時計などを奪い従業員に怪我を負わせた男性が逃走~千葉県習志野市で起きた強盗致傷事件~

今回は、千葉県習志野市で起きた強盗致傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

<事案概要>

千葉県習志野市の質店で刃物を持った男らが押し入って腕時計などを奪って逃げました
もみ合いになった際に従業員の男性が指を切られて重傷を負いました。

警察によりますと、きのう午後6時20分ごろ、習志野市東習志野の質店に刃物を持った男ら2人が押し入りました。

1人が従業員の男性V(50)に刃物を向けながら「金出せよ」と脅し、その間にもう1人の男がショーケースのガラスを割って高級腕時計などを奪ったということです。
Vは男の包丁を取り上げようとした際に、左親指を深く切っていて重傷です。

2人の男はいずれも身長170センチぐらいで、店の外に待機していたもう1人が運転する車に乗って逃げたということです。

警察は強盗傷害事件として捜査しています。
(※9/8(金)に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「「金を出せ」質店で腕時計など強盗 刃物男ともみ合った従業員が重傷 3人逃走中 千葉・習志野市」記事の一部を変更して引用しています。)

<問われる可能性がある罪>

今回の事例で逃走した男性らは、強盗致傷罪に問われる可能性があります。
強盗致傷罪については、刑法第240条で以下のように規定されています。

刑法第240条(強盗致死傷)

強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

条文の前段で規定されている罪が強盗致傷罪、後段で規定されている罪が強盗致死罪になります。

強盗致傷罪は、強盗人を負傷させたときに成立します。
「強盗」とは、暴行や脅迫を用いて他人の財物を強取した者を指し、強盗罪については刑法第236条で以下のように規定されています。

刑法第236条(強盗)

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪が成立するための「暴行又は脅迫」の程度は、相手の反抗を抑圧する程度とされています。
つまり、強盗罪に該当する行為を行い、その際に他人を負傷させた場合に強盗致傷罪が成立するということです。

今回の事例で考えると、男性らは店の従業員Vに対して刃物を向けながら「金出せよ」と脅迫しています。
脅迫をしている最中に、もう一人がショーケースのガラスを割って高級腕時計などの財物を奪っているため、男性らの行為は強盗罪が成立する可能性があります。

さらに、Vは男性が持っていた刃物で怪我を負っているため、男性らには強盗致傷罪が成立する可能性があるということになります。

<逃走後に見つかった後の流れ>

今回の事例では、男性らは逃走しています。
強盗致傷罪による刑事事件を起こして逃走した場合、その後見つかると逮捕される可能性が非常に高いです。

逮捕されると、被疑者として逮捕後48時間以内に身柄が警察から検察庁に送致されます。
検察庁に送致後は、24時間以内に検察官が被疑者の身柄を引き続き拘束した状態で取調べを続ける必要があるかどうかを判断します。
必要がないと判断されれば釈放され、その後は取調べが行われる際に出頭する在宅捜査になりますが、必要があると判断されれば、検察官は裁判所に対して勾留請求を行います。

検察官からの勾留請求を受けた裁判所は、被疑者に勾留質問を行い、勾留請求を認めるかどうかを判断します。
勾留請求が却下されれば在宅捜査になりますが、勾留請求が認められれば、被疑者は勾留されることになり、10日間身柄を拘束されることになります。
また、勾留は追加で10日間の延長もできるので、勾留が決定すれば最大20日間身柄が拘束される可能性があります。

その後、検察官は被疑者に処罰を与える必要があると判断すれば起訴されます。
起訴されれば、罰金刑による略式起訴裁判にかけられる公判請求のどちらかがなされます。
ただ、強盗致傷罪は罰金刑による処罰規定がないため、強盗致傷罪で起訴されると公判請求されることになります。

起訴後は、被疑者から被告人として扱われ、裁判が行われた後、判決が言い渡されるといった流れになります。

<ご家族が強盗致傷罪で逮捕されたら弁護士へ>

ご家族が強盗致傷罪の疑いで逮捕されたと、急に警察から連絡が来ることもあります。
いきなりこのような連絡がくれば、今後どうなっていくのか不安になる方がほとんどです。
そんな時は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談すれば、弁護士から今後の流れや見通しについて詳しい話を聞くことができます。
また、弁護士に刑事弁護活動を依頼すれば、弁護士が代理人となり、なるべく早い身柄解放起訴を免れる不起訴処分の獲得、起訴された場合は減軽判決を獲得するためなどの弁護活動に尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、様々な刑事事件の弁護活動を担当してきた実績を持つ刑事事件に特化した法律事務所です。
ご家族が強盗致傷罪で逮捕されてしまったという方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

痴漢は迷惑防止条例違反?不同意わいせつ罪?~松戸市内での痴漢事件~

2023-09-02

痴漢は迷惑防止条例違反?不同意わいせつ罪?~松戸市内での痴漢事件~

電車内や路上で起きる痴漢は、迷惑防止条例違反と不同意わいせつ罪のどちらが該当するのでしょうか?
結論から言うと、痴漢は迷惑防止条例違反不同意わいせつ罪のどちらも成立する可能性があります。

今回は、千葉県松戸市で起きた痴漢事件をもとに、痴漢で迷惑防止条例違反が成立する場合と不同意わいせつ罪が成立する場合の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

<事案概要>

水産庁に勤める24歳の男が女性のあとをつけ、尻を触ったとして警察に逮捕されました。

逮捕されたのは千葉県松戸市に住む水産庁の職員A(24)で今年4月、松戸市にあるJR北小金駅前の路上で、会社員の女性V(23)の尻を触った疑いがもたれています。

警察によりますと、AとVに面識はなく、北小金駅からVのあとをつける様子が防犯カメラに写っていたということです。
Vは帰宅途中で、犯行直後にVから相談を受けた母親が警察に通報し、事件が発覚しました。

取り調べに対し、Aは「酔っ払って触ってしまった」と容疑を認めているということです。
(※9/6(水)に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「水産庁職員の24歳男を痴漢容疑で逮捕 女性のあとをつけ尻を触ったか 千葉・松戸市」の記事を一部変更して引用しています。)

<痴漢で成立する罪>

痴漢をした場合に成立する可能性がある罪は、都道府県が定める迷惑行為防止条例違反不同意わいせつ罪が挙げられます。

今回の事例におけるAは、千葉県が定める迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕されました。

それでは、痴漢をした場合に成立する可能性がある2つの罪について、どのような違いがあるのか見ていきましょう。

<痴漢で迷惑防止条例違反が成立するケース>

迷惑防止条例違反が成立する痴漢は、比較的痴漢行為が軽微なケースです。
例えば、衣服の上から、女性の臀部や胸を触ったり自分の陰部を押し付けるような痴漢行為が挙げられます。

そもそも、迷惑防止条例とは、各都道府県ごとに定められている条例で、迷惑防止条例の正式名称や処罰対象となる行為、処罰内容は都道府県によって異なります。

例として、千葉県が定める迷惑防止条例(正式名称:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)では、痴漢行為について以下のように規定されています。

千葉県迷惑防止条例第3条の2(卑わいな行為の禁止)

何人も、みだりに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次の各号に掲げるものをしてはならない。

 第1号 次のいずれかに掲げる場所又は乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器(衣服を透かした状態を撮影することができるものを含む。以下「写真機等」という。)を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を差し向け、若しくは設置すること。
   浴場、更衣室、便所その他の人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でい    る場所及び住居
   公共の場所(イの場所を除く。)又は公共の乗物
   学校、事務所その他の不特定若しくは多数の者が利用し、若しくは出入りすることができる場所(イ及びロの場所を除く。)又はタクシーその他の不特定若しくは多数の者が利用することができる乗物(ロの乗物を除く。)

 第2号 公共の場所又は公共の乗物において、人の胸部、臀部、陰部、大腿部その他の身体の一部に直接又は衣服その他の身に着ける物の上から触れること。

 第3号 前各号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。


今回の事例で考えると、Aは路上でVの臀部を服の上から触っているため、上記条例の第2号に該当しています。

<痴漢で不同意わいせつ罪が成立するケース>

不同意わいせつ罪が成立する痴漢は、迷惑防止条例が適用される痴漢よりも悪質なケースです。
例えば、服の中に手を入れて女性の臀部や胸を触ったり、自分の陰部を直接触らせるような痴漢行為が挙げられます。

不同意わいせつ罪については、刑法第176条で以下のように規定されています。

刑法第176条(不同意わいせつ)

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。

 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

不同意わいせつ罪は、令和5年7月13日から施行された改正刑法で、従来の強制わいせつ罪が変更された罪です。
従来の強制わいせつ罪よりも成立する範囲が拡大されたり、より具体的な行為内容が記載されています。

<痴漢事件を起こしたら弁護士へ>

痴漢によって、迷惑防止条例違反が成立しても不同意わいせつ罪が成立しても刑事事件としては変わりありません。
逮捕されてしまった場合は、そのまま身柄が検察庁に送致され、勾留の必要があると検察官に判断された場合は、最大20日間身体拘束されてしまう可能性があります。

また、検察官が起訴を決定した時点で前科が付いてしまうため、今後の人生に影響を与えないためにも不起訴処分を獲得することが重要になります。
痴漢による刑事事件で不起訴処分を獲得する可能性を高めるためには、被害者と示談を締結することがポイントになります。

ただ、痴漢などの性犯罪事件では、被害者の加害者に対する恐怖心処罰感情が強いことが多く、当事者間で示談を進めようとすると困難を極めます。
なので、痴漢による刑事事件を起こしてしまって被害者と示談を締結したい場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士が代理人となり、被害者とスムーズな示談交渉を進めるので、当事者間での示談交渉よりも、示談が締結できる可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、痴漢事件はもちろん、様々な刑事事件で被害者と示談を締結し、不起訴処分を獲得した実績を多く持つ刑事事件に特化した法律事務所です。

千葉県で痴漢事件を起こしてしまったという方や、ご家族が痴漢の疑いで逮捕されてしまったという方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

SNSで知り合った少女と売春行為

2023-08-27

<事案概要>

 Aさんは、SNSで色々な投稿を見ていたところ、V子さん(当時16歳)と知り合います。
 AさんはV子さんに対し、アプリ内のDM(ダイレクト・メッセージ)機能を使い連絡を取り、実際に会うことになりました。
 そして、当日、AさんはV子さんの見た目や仕草がまだ幼いようにも感じ、18歳未満かもしれないという疑問が浮かびました。
しかし、バレなければ大丈夫だろうと、V子さんに2万円を手渡し、一緒に千葉県船橋市内のラブホテルに入り性交を行ったのです。
 その日はトラブルなく別れたのですが、後日、千葉県船橋警察署の警察官が捜索差押許可状を手にAさんの部屋を訪れ、パソコンやスマートフォンが差し押さえられるとともに、Aさんも逮捕されることとなってしまったのです。

本件事案はフィクションです

<解説>

今回のAさんは、18歳未満の児童に対し性行為を行ったわけですから、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反に問われる可能性が高いといえます。

・児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反

 児童買春をしたものは、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
(第4条)

ここでいう児童とは、18歳に満たない者を言います。(同法第2条)

さらに、この法律において「児童買春」とは
・児童(売春をする児童本人)
・児童に対する性交等を周旋(売春の間を取り持つことを)した者
・児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人、児童を現に観護する者)又は
児童をその支配下に置いている者

に対して、対価を支払い、もしくは支払うことを事前に約束して性交、性交類似行為、児童の性器等を触ることを言います。
また、供与するモノは一般的には現金を渡すことのイメージが強いかもしれませんが、現金のみではなく、ゲーム機やブランド品、食事をおごるなど幅広く「性交等の対価として与えたもの全般」を指します。

このように聞くと少し難しく聞こえるかもしれませんが端的に言うと、児童や保護者、仲介人等に現金などのモノを渡し、性的な行為をしてはならないということです。

<もし事件を起こしてしまったら>

 今回のように未成年者が被害者になる事件の場合、被害者様本人の処罰感情や、被害に遭ってしまった恐怖心等を取り除くことはもとより、保護者様に対しても謝罪の意を伝え、示談交渉を進めていかなくてはなりません。
 特に、性犯罪に自身の子供が巻き込まれてしまった場合の保護者様の憤りや悲しみは大きく、早急に対応することが事件の早期解決に大切なことでもあるのです。
 しかし、慌ててご自身で対応して、相手方からの怒りを買ってしまったり、話がこじれてしまうケースも少なくありません。
 そのため、一人で悩まずに、刑事事件に精通した弁護士に相談することが大切です。

 SNSの普及により新たな職業も増え、日々の生活が彩り豊かになる反面、一歩間違うと犯罪行為やトラブルに巻き込まれてしまう危険性が数多く潜んでいます。
今回のケースに限らず、ご自身や大切なご家族が、何らかの罪に問われてしまった場合、出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

いち早く弁護士に相談することにより、処分の見通し今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ、その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
また、取調べの対応方法供述内容に対するアドバイスを受けることで、誤解を招くような供述を避けることが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は日頃より刑事事件を数多く受任し、扱ってきた実績がございますので、どのような事件でも安心してご相談頂けます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は千葉県内のみならず、全国各地に事務所があり、弊所事務所までお越しいただき、初回無料法律相談も行っておりますので、お困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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