千葉県市川市に住むAさんは、深夜に自宅で眠っていたところ、呼び鈴の音で目が覚めました。
玄関に行ってみると、Aさんの友人であるBさんが焦った様子で「中に入れてくれ」と言ってきました。
Aさんが部屋に入れて話を聞くに、Bさんは交際相手であるVさんを殺害した疑いが掛けられており、何者かに後を付けられているとのことでした。
AさんはVさんとも面識があり、2人の親密さや性格をよく知っていたため、「Bが真犯人のはずがない」と信じて自宅でかくまうことにしました。
その数日後、Aさん宅を市川警察署の警察官が尋ね、Bさんを殺人罪の疑いで逮捕するとともに、Aさんも警察署で取調べを受けることになりました。
Aさんは、警察官から「君のやったことは犯人蔵匿罪という立派な犯罪だよ」と聞かされたことから、弁護士に取調べ対応を聞くことにしました。
(フィクションです)
【犯人蔵匿罪について】
刑法(一部抜粋)
第百三条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
犯人蔵匿罪は、国家の刑事司法作用(刑事事件の捜査や刑の執行など)の安全を害する犯罪です。
「蔵匿」とは、被疑者・被告人または受刑者に隠れる場所を提供し、捜査機関からの発見や逮捕を困難にする行為を指します。
上記条文においては「…罪を犯した者」とあることから、いわゆる濡れ衣を着せられている者は対象にならないと思われるかもしれません。
ですが、先述のとおり、犯人蔵匿罪は国家の刑事司法作用の安全を保護するものです。
そのため、たとえ真犯人ではない被疑者・被告人を「蔵匿」したとしても、犯人蔵匿罪に当たると考えられています。
上記事例では、Aさんが殺人罪を疑われているBさんを自宅にかくまっています。
たとえBさんが結果的に真犯人ではなかったとしても、Aさんのこうした行為によってBさんに対する捜査が滞ることは否定できません。
そして、殺人罪の法定刑の下限は5年以上の懲役であることから、「罰金以上の刑に当たる罪」であることは明らかです。
以上から、Aさんには犯人蔵匿罪が成立する可能性が高いでしょう。
【取調べ対応の重要性】
刑事事件に巻き込まれた多くの方にとって、捜査機関からの取調べというのは相当な負担を伴うものです。
捜査機関(特に警察)としては、被疑者が自己の罪を認めて素直に供述してくれるのが最も理想です。
そのため、最終的にそうしたところに落とし込むべく、言葉巧みに取調べを進めていきます。
取調べを受ける被疑者としては、そのような相手に対して一人で対峙しなければならないのです。
犯人蔵匿罪の取調べにおいては、捜査機関から「もともとの犯行にも関与していたのではないかと」と疑われる可能性が高いです。
仮にかくまっただけでなくもともとの犯行に関与していたとなれば、責任を問われるのは犯人蔵匿罪ではなくもともとの犯行(上記事例で言うと殺人罪)となるのです。
そうなると、裁判でも殺人罪として判断が下されることから、最終的な量刑は非常に重くなると考えられます。
こうしたリスクを回避するには、取調べ対応をしっかりと検討しておき、捜査機関の調書に誤りを記録されないようにすることが非常に重要です。
弁護士であれば的確な取調べ対応をお伝えすることができるかと思いますので、万全を期すためにもぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に詳しい弁護士が、個々の事案に合わせた取調べ対応を丁寧にお伝えします。
犯人蔵匿罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料