保護責任者遺棄致死罪で自首

保護責任者遺棄致死罪で自首

Aさん(61歳)は、千葉県東金市の自宅にて、母親のVさん(87歳)と2人で暮らしていました。
Vさんは認知症を罹患しており、一人では日常生活もままならない状態でした。
AさんはVさんを一人で献身的に介護してきましたが、同じような毎日に絶望し、やがてVさんに必要な介助をせず何もしない日々を過ごすようになりました。
ある日、Aさんがやけに静かだと思いVさんの様子を見に行ったところ、Vさんが自室のベッドの上で死亡していることに気づきました。
驚いたAさんは、過去にニュースで保護責任者遺棄致死罪という言葉を聞いたことがあったため、自首すべきか弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

【遺棄罪および遺棄致死罪について】

高齢者、病人、幼児といった独力では日常生活を送ることができない者(要扶助者)を遺棄した場合、遺棄罪が成立する可能性があります。
そして、遺棄罪を犯した者が要扶助者を保護すべき地位にあった場合、保護責任者遺棄罪というより重い罪が成立する余地が出てきます。
保護責任者遺棄罪については、典型的な遺棄だけでなく不保護も罰する旨条文に明記されています。
ですので、要扶助者を危険な場所に移動させたり置き去りにしたりする場合のほか、要扶助者に必要な保護を行わない場合も保護責任者遺棄罪に当たる余地があります。

要扶助者を保護すべき地位にあるかどうかは、当事者の関係や周囲の状況などの様々な事情を考慮して判断されます。
上記事例において、Aさんは①Vさんと2人で暮らしている②Vさんの子であり、③たった一人で④日頃からVさんの介護を行っていました。
これら①から④の事情を考慮すると、AさんはVさんの生命・身体を左右する支配的な立場にあったと言えます。
そうすると、Aさんの行為は保護責任者遺棄罪の成立要件に当たると考えられます。

更に、遺棄をして要扶助者を死亡させると、遺棄致死罪(上記事例で言うと保護責任者遺棄致死罪)という更に重い罪が成立する可能性が出てきます。
これは要扶助者を殺害するつもりがなかったとしても成立する罪であり、もし殺害するつもりがあったとすればそれは殺人罪に当たります。

【自首の意味】

刑事事件の多くは、被害届の受理、職務質問、検視などをきっかけとして捜査が開始されます。
時たま耳にすることがある自首も、捜査機関が刑事事件の存在を了知するきっかけの一つと言えます。
自首とは、捜査機関に対して自主的に犯罪事実を申告し、その処遇を委ねる意思表示のことです。
基本的には、取調べで聞かれるなど機会があったときに話すのではなく、警察署に行くなど自ら機会をつくって行うものが自首とされています。

捜査機関が事件の存在または犯人を知らない段階で自首を行った場合、そのことを理由として刑を減軽できる旨刑法に規定されています。
減軽されるかどうかは裁判官の判断次第ではありますが、一般的には減軽される可能性が高いと考えて差し支えありません。
ただ、自首をしたからといって、その後の捜査が淡々と行われる点はやはり変わりありません。
特に危険なのは、捜査機関に迎合的になるあまり、捜査機関が思い描くストーリーに沿った供述をしてしまうことです。
捜査機関に正直に話そうと自首をしたはずが、捜査の過程で真実と異なる凶悪犯に仕立て上げられる可能性は否定し切れないのです。
もし自首を検討するのであれば、その後を見据えて一度お近くの弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の豊富な経験を有する弁護士が、自首をしたいとお考えの方を手厚くサポートいたします。
保護責任者遺棄致死罪を犯してしまったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

初回法律相談:無料
東金警察署までの初回接見費用:42,600

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