公務執行妨害罪で贖罪寄付

公務執行妨害罪で贖罪寄付

Aさんは、千葉県成田市内を自転車で走行していたところ、成田警察署の警察官に呼び止められました。
自転車の防犯登録を確認したいとのことでしたが、先を急いでいたAさんはその申し出を断りました。
すると、警察官は応援を呼んだうえで「従わないと警察署で話を聞くことになる」などと言ってきました。
Aさんはこの発言を腹立たしく思い、警察官を無理やり押しのけて自転車を漕ごうとしました。
これにより、Aさんは公務執行妨害罪の疑いで逮捕されたことから、弁護士接見を行いました。
その際、弁護士はAさんに贖罪寄付について説明しました。
(フィクションです。)

【公務執行妨害罪について】

公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに際して、その公務員に暴行または脅迫を加えた場合に成立する可能性がある罪です。
暴行・脅迫というと公務員の心身の安全を図っているように思えますが、主な保護の対象は公務の円滑な遂行です。
そのため、暴行罪や脅迫罪が成立するような暴行・脅迫に至らずとも、公務執行妨害罪には当たる可能性があります。
裁判例では、警察官が押収した証拠物を損壊した場合に公務執行妨害罪の成立を認めたものがあります。
ここでの暴行は身体ではなく物に向けられたものですが、公務への悪影響に鑑みて「暴行」に当たると評価されたと考えられます。

ちなみに、条文には明記されていませんが、公務執行妨害罪の成立には公務の適法性が必要だと考えられています。
これは、違法な公務は保護に値しないという価値観に基づくものです。
ですので、違法な公務が行われるに際して暴行または脅迫を加えた場合、公務執行妨害罪の成立は否定される余地があります。
典型例としては、令状を所持していないにもかかわらず、捜査機関が捜索などの強制捜査を行うケースが挙げられます。

【贖罪寄付の意義】

公務執行妨害罪の法定刑は、①3年以下の懲役、②3年以下の禁錮(労役はありません)、③50万円以下の罰金のいずれかです。
ここで注意しなければならないのは、公務執行妨害罪脅迫罪暴行罪などの個人を害する罪とは異なる性質を持つ点です。
先ほど説明したように、刑法が公務執行妨害罪を通して保護しているのは、公務員の安全ではなく公務の円滑な遂行です。
この場合、犯罪の被害者は社会全体と見られ、暴行や脅迫を受けた公務員と示談をしても被害の補填がなされたとは見られないのです。

そこで、被疑者・被告人に有利な事情の一つとして、贖罪寄付というものが考えられます。
贖罪寄付とは、その名のとおり、罪を犯したことに対する反省から行う寄付のことです。
日本司法支援センター(法テラス)や各都道府県の弁護士会などが受け付けており、犯罪被害者の救済をはじめとする公的な目的のために使用されます。
贖罪寄付がよく行われる事件は、薬物事犯をはじめとする「被害者なき犯罪」を犯したり、被害者が金銭の受領を固く拒んでいたりするケースです。

贖罪寄付も反省を示す一事情に当たるため、処分の決定に当たり被疑者・被告人に有利な事情として斟酌される可能性が高いです。
被害者と直接行う示談に比べれば効力は薄まりますが、それでも公務執行妨害事件などで一定の効果は見込めるでしょう。
弁護士に事件を依頼すれば贖罪寄付の手続もスムーズですので、お困りであればぜひ弁護士に相談してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロを名乗る弁護士が、贖罪寄付をはじめとして依頼者様に有利な弁護活動を徹底的に行います。
ご家族などが公務執行妨害罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

初回法律相談:無料
成田警察署までの初回接見費用:38,200

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