Archive for the ‘刑事事件’ Category
証拠隠滅罪で不処分
証拠隠滅罪で不処分
千葉県長生郡長柄町において、会社員のVさんが暴行を加えられたうえ金銭を奪われる強盗事件が起きました。
Vさんは頭部などを鈍器で殴られて出血しており、茂原警察署は強盗致傷罪と見て捜査を進めていました。
Aさん(18歳)は、この事件の犯人であるBさんから、犯行に使ったバットをどこかに隠すよう言われました。
Aさんは当初関わりたくないと思い断りましたが、Bさんに「これは命令だ。お前も痛い目見たいのか」と言われて仕方なくBさんに従いました。
その後Bさんは強盗致傷罪の疑いで逮捕され、Aさんも参考人として取調べを受けることになりました。
Aさんの両親から相談を受けた弁護士は、Aさんの行為が証拠隠滅罪に当たる可能性があることを指摘し、最終的に不処分を目指すことを提案しました。
(フィクションです。)
~証拠隠滅罪について~
刑事事件においては、被疑者・被告人が自己の犯罪に関する証拠の隠滅を思いとどまることは必ずしも期待できないと考えられています。
そのため、逮捕・勾留の可否や量刑判断などを左右する要素ではあるものの、証拠隠滅自体が独立の犯罪として定められているわけではありません。
一方で、犯人以外の者が犯人のために行う証拠隠滅については、証拠隠滅罪として処罰されることになっています。
証拠隠滅罪は、証拠偽造罪などと共に刑法104条に定められています。
それによると、他人の刑事事件に関する証拠を隠滅した場合、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
このように犯人以外の者による証拠隠滅が罰せられるのは、こうした行為に裁判などの刑事司法作用を害する危険性が認められるからです。
被疑者・被告人には前記のとおり期待可能性がない一方で、他の者についてはそういうわけではないと考えられているのです。
上記事例では、Bさんが強盗に用いたバットをAさんが隠しています。
そのため、Aさんには証拠隠滅罪が成立すると考えられます。
ここで注意すべき点は、Aさんが強盗の計画あるいは強盗自体に関与していた場合、証拠隠滅罪ではなく強盗致傷罪(の共犯)に当たることです。
そうなると、Aさんの罪の重さは著しく高まることが予想されます。
~少年事件における不処分とは何か~
罪を犯した者が少年(20歳未満の者)である場合、原則として刑法などが定める刑罰は科されません。
これは、少年がいまだ発達段階にあることを考慮し、刑罰以外の適切な教育・指導による健全な育成を目指すことに由来します。
この趣旨から、少年事件では保護処分という少年ひとりひとりに最適な措置がとられます。
捜査を終えた少年事件が家庭裁判所に送致されると、少年の性格や資質などに関する調査を行ったあと、必要に応じて少年審判を開きます。
このとき、少年に何らの保護処分も行わない不処分という決定が下されることがあります。
不処分になるのは、調査により保護処分を要するように思われたものの、少年審判の結果保護処分を要しないと判断された場合です。
基本的には、少年審判の段階で、少年が現在の環境のままで更生できると判断された場合がそれに当たります。
そのため、不処分を目指すうえでは、少年が抱える問題点の発見とそれを解消するための環境整備が重要となるでしょう。
その際には、少年事件に詳しい弁護士の知恵が大いに役に立つかと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に特化した弁護士が、不処分を目指して少年ひとりひとりと真剣に向き合います。
お子さんが証拠隠滅罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 千葉支部は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う弁護士事務所です。
刑事・少年事件を数多く扱ってきた実績を活かし、相談者様、依頼者様の不安を解消することに努めます。刑事・少年事件に精通した弁護士、職員が連携をとることで、迅速・綿密な弁護活動を提供します。
当事務所では初回無料法律相談サービスを実施しております。また、土日祝日、夜間でも法律相談・接見面会の受付が可能です。お困りの際には、ぜひご相談ください。
わいせつ物頒布罪で逮捕
わいせつ物頒布罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
千葉市東区に住む30代男性のAさんは、インターネットを介したわいせつ映像の販売業を営み始めました。
事業を始めたばかりのため、購入を求めてきた顧客は1名しかいませんでしたが、その顧客に対して、電子メールにわいせつな映像のデータを添付して送付しました。
ある日、千葉県東警察署のサイバーパトロールによりAさんが顧客に宛てたメールが引っかかり、Aさんはわいせつ物頒布罪の容疑で逮捕されることになってしまいました。
(フィクションです)
~ わいせつ物頒布等罪 ~
刑法175条1項
わいせつな文書,図画,電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し,又は公然と陳列した者は,2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し,又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も,同様とする。
判例で,「わいせつ」とは,
徒らに性欲を興奮または刺せしめ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道徳観念に反するもの
とされています。
また,ここでいう
・「文書」とは本など文字によって表示されるもの
・「図画」とは写真,絵画など象形的方法によって表示されるもの
・「電磁的記録に係る記録媒体」とはハードディスク,BL・DVD・CD,USBメモリー,フラッシュメモリー,インターネット上のサーバー,ビデオカセットテープなど電磁的記録(情報)が記録・蔵置されているもの
・「その他の物」とは,彫刻物,模擬物など
のことをいいます。
「頒布」とは,不特定又は多数人に対して有償又は無償で交付することをいいます。
そのため,特定の人に対して1回限りで交付することは「頒布」には当たりません。
もっとも,特定の1人に対する1回限りの交付であっても,反復継続して交付する意思があれば,「頒布」に当たりうると判断した裁判例があります。
また,「頒布」と言えるためには,現実に交付・引き渡しがされることが必要であり,例えば,わいせつ物を郵送したが,配送途中の事故により相手方に到達しなかったという場合には,「頒布」には当たらないことになります。
「公然と陳列」とは,不特定又は多数の者が閲覧することができる状態に置くことをいいます。
そのため,特定少数人のみが閲覧できるという状態にすぎない場合には,原則として「公然と陳列」には当たらないことになります。
しかし,特定少数人のみが閲覧できる状態にすぎない場合であっても,これが不特定多数の者を勧誘した結果,たまたま特定少数人のみが閲覧しただけに過ぎないという場合(例えば,わいせつな映像を上映しようと思い,映画館に不特定多数の者を勧誘したが,結果として小数人しか来ず,小数人しか閲覧しなかったという場合)には,例外的に「公然と陳列」に当たりうると判断した裁判例があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,わいせつ物公然陳列罪などをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 千葉支部は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う弁護士事務所です。
刑事・少年事件を数多く扱ってきた実績を活かし、相談者様、依頼者様の不安を解消することに努めます。刑事・少年事件に精通した弁護士、職員が連携をとることで、迅速・綿密な弁護活動を提供します。
当事務所では初回無料法律相談サービスを実施しております。また、土日祝日、夜間でも法律相談・接見面会の受付が可能です。お困りの際には、ぜひご相談ください。
名誉棄損と刑事上、民事上の責任
名誉棄損と刑事上、民事上の責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
千葉県習志野市に住むAさんは、飲食店の口コミサイトで、同市内にある敵対するレストランの口コミ欄に「ここの店主は前科持ちだ。」という書き込みをしました。そうしたところ、Aさんは千葉県習志野警察署に名誉棄損罪の被疑者として呼び出しを受けてしまいました。Aさんは弁護士に相談すると、名誉棄損罪は被害者の告訴を必要とする親告罪であることを教えてもらいました。そこで、Aさんは被害者に謝罪し、示談を成立させた上で、被害者に告訴を取り消してもらいたいと考えています。
(事実を基に作成したフィクションです。)
~名誉棄損と刑事上の責任~
名誉棄損した場合の刑事上の責任は「懲役」、「禁錮」、「罰金」のいずれかの刑罰を受けることです。
名誉棄損については刑法230条に規定されています。
(名誉棄損)
刑法第二百三十条
1 公然と事実を摘示し、人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
「公然と」(公然性)とは、不特定又は多数人が認識できる状態をいい、必ずしも現実に認識したことは必要ではありません。
特定であっても多数であれば、あるいは、少数であっても不特定であれば、「公然と」と言えます。
飲食店の口コミサイトの口コミ欄は、インターネットを通じて誰でも閲覧可能ですから公然性を認めることができます。
「事実を摘示」とは、人の社会的評価を低下させるに足りる「具体的な事実」を表示することをいいます。
まず、ポイントとなるの摘示する対象が「具体的な事実」という点です。
つまり、たとえば、「この店の●●はまずい」などというような「意見、憶測」は「具体的な事実」には当たりません(侮辱罪に問われる可能性はあります)。
また、よく勘違いされるのが、摘示した「具体的な事実」は、結果として真実でも虚偽の事実でも問いません。
つまり、店主が「前科持ち」ということが真実でも虚偽でも「具体的な事実」を摘示したことに当たります。
もっとも、前科というのは個人情報の最たるものですから、検察庁というお役所が現住に管理しており、一般私人が知る由はありません。
したがって、店主が前科持ちという事実は虚偽である可能性もあります。
「名誉」とは人の社会的評価又は価値のことをいいます。
「毀損」とは、人の社会的評価又は価値を低下させることをいいます。ただし、その評価、価値が現実に低下したことまでは必要とされていません。
Aさんが、店主は前科持ちと摘示する行為は、人の社会的評価を害するおそれのある行為といえ「名誉を毀損」したことに当たるでしょう。
もっとも、以下のすべての要件を満たす場合は名誉棄損罪は成立しません(刑法230条の2)。
事実の摘示行為は表現の自由として憲法上保障される権利であり、個人の名誉権との調和を図る趣旨です。
① 事実の公共性
② 公益目的
③ 事実の真実性
Aさんは敵対するレストランを攻撃する意図で本件書き込みをしたものと考えられます。
そこで、少なくとも①、②を認めることは困難でしょう。
~名誉棄損と民事上の責任~
名誉棄損した場合の民事上の責任は損害賠償責任です。
損害賠償に関する規定は民法709条、710条に設けられています。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害賠償)
第七百十条
(略)、前条の規定により損害賠償責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
名誉棄損によって受けるのは「財産的損害」よりも「精神的苦痛」の方が通常です。ですから、精神的苦痛を負った方は、民法710条、709条を根拠に相手方に損害賠償を求めることになります。精神的苦痛の程度をお金に換算したもの(損害額)を「慰謝料」ともいいます。
名誉棄損による損害賠償の要件は、
①故意、過失による違法な行為が行われたこと
②権利(名誉権)を侵害したこと
③上記①によって損害(精神的苦痛)が生じさせたこと
④上記①と③(損害)との間に因果関係が存在すること
上記①から④がそろってはじめて損害賠償責任が生じます。
慰謝料については、まずはいきなり訴訟を提起するのではなく、交渉、つまり話し合いから始めます。話し合いで、相手方と前記の成立要件や損害額を巡って争いが生じ、話し合いによっては解決できないときにはじめて訴訟を提起されます。損害額については最終的には裁判所が決めるもので、いかなる要素を基に損害額が決められているのか明らかではありませんから、一概に「相場」を申し上げることはできません。しかし、一般的には、「被害者の社会的地位(有名人か一般人か)」、「被った不利益の程度」、「加害行為の悪質性」などの要素を基に判断されます。これからすると、有名人に対する名誉棄損の損害額は高くなる傾向にあります。
なお、ネット上の名誉棄損でも、発信者情報開示請求等によってあなたの氏名、住所等が特定されてしまう場合がありますので注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、名誉棄損をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 千葉支部は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う弁護士事務所です。
刑事・少年事件を数多く扱ってきた実績を活かし、相談者様、依頼者様の不安を解消することに努めます。刑事・少年事件に精通した弁護士、職員が連携をとることで、迅速・綿密な弁護活動を提供します。
当事務所では初回無料法律相談サービスを実施しております。また、土日祝日、夜間でも法律相談・接見面会の受付が可能です。お困りの際には、ぜひご相談ください。
犯人蔵匿罪とは?
犯人蔵匿罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
Aさんは、検察庁の刑務所収容の手続きから逃げてきたBさんから「おれを匿ってくれ」と頼まれました。AさんはBさんの刑事裁判を傍聴し、Bさんが道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)で懲役1年の実刑判決を受けたことを知っていましたが「Bとは長年の付き合いがある」と思い、Bさんを自宅に招き入れ匿いました。しかし、後日、千葉県浦安警察署の捜査でBさんがAさんの自宅に入れ込んでいることが判明し、Aさんは犯人蔵匿罪、Bさんは犯人蔵匿罪の教唆犯とし逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~犯人蔵匿罪~
罰金以上の刑に当たる刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた場合には、犯人蔵匿罪が成立します。
犯人蔵匿罪のいう「犯人」は、①「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」、又は②「拘禁中に逃走した者」のいずれかをいいます。
まず、「罰金以上の刑に当たる罪」とは、法定刑が罰金以上の刑を含む罪をいいます。
例えば、侮辱罪(刑法第231条)の法定刑は拘留又は科料ですので、「罰金以上の刑に当たる罪」には該当しないことになります。
上の事案のBさんは、道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)という法定刑が3年以下の懲役又は50万円以下の罰金である罪で実刑判決を受けていますから、「罰金以上の刑に当たる罪」であるといえます。
次に、「罪を犯した者」については、犯罪の嫌疑を受けて捜査又は訴追されている者をいいます。
そのため、例えば、実際には罪を犯しておらず真犯人ではないものの、事件の容疑者として警察から捜査を受けているという立場にある人であっても「罪を犯した者」に含まれることになります。
上の事案のBさんは、すでに刑事裁判において実刑判決を受けていますので、訴追をされた者として「罪を犯した者」に含まれることになります。
そうすると、上の事案のBさんは、①「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」として、犯人蔵匿罪の「犯人」に当たることになります。
それから、「蔵匿」とは、警察官などによる犯人の発見や逮捕を防ぐために場所を提供して匿うことをいいます。
上の事案のAさんは、自宅という場所をBさんに提供して匿っていますので、「蔵匿」にあたります。
他方で「隠避」とは、場所を提供しないで匿う場合をいい、例えば「これで遠くへ逃げろ」と言って犯人にお金を渡すような行為が「隠避」にあたります。
そうすると、上の事案のAさんには、犯人蔵匿罪が成立してしまう可能性が高いです。
この場合、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることがあります。
~犯人蔵匿等の教唆犯~
上の事案において、Bさんについても犯罪が成立する可能性があります。
他人を唆して特定の犯罪を実行する決意を生じさせることを「教唆」といいます。
上の事案のBさんは、Aさんを唆して犯人蔵匿等罪に当たる行為をする決意をさせています。
犯人蔵匿罪について、犯人本人が逃走する行為については同罪は成立しませんが、Aさんのように他人に自らの蔵匿を依頼した場合には、犯人蔵匿罪の教唆犯が成立することがあります。
犯人蔵匿罪の教唆犯については正犯の刑を科すため、Bさんは3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、犯人蔵匿罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 千葉支部は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う弁護士事務所です。
刑事・少年事件を数多く扱ってきた実績を活かし、相談者様、依頼者様の不安を解消することに努めます。刑事・少年事件に精通した弁護士、職員が連携をとることで、迅速・綿密な弁護活動を提供します。
当事務所では初回無料法律相談サービスを実施しております。また、土日祝日、夜間でも法律相談・接見面会の受付が可能です。お困りの際には、ぜひご相談ください。
放火罪で控訴
放火罪で控訴
~事件~
千葉県香取郡神崎町にて、Vさん宅が何者かの手により放火されるという事件が起きました。
幸いにも火は比較的早期に消し止められ、他の建造物への延焼や負傷者の発生などはありませんでした。
この事件を受けて捜査を開始した香取警察署は、現場付近での目撃証言を聞いて現住建造物等放火罪の疑いでAさんを逮捕しました。
その後Aさんは勾留され、否認をしていたものの起訴されて裁判となりました。
Aさんは「きっと裁判で無罪になるだろう」と思っていましたが、予期に反して有罪となったため、Aさんの両親が弁護士に控訴を依頼しました。
(フィクションです。)
【放火罪について】
放火罪は、特定の物に放火し、その対象を焼損させた場合に成立する可能性のある罪です。
単に放火するだけでなく、それにより焼損させる、すなわち、マッチやライターなどの媒介物を離れて独立に燃焼を継続する状態に至らせることが必要となります。
放火罪には、①現住・現在建造物等放火罪、②非現住建造物等放火罪、③建造物等以外放火罪の3種類があります。
「建造物等」とは、建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑であり、現住は住居として利用されていることを、現在は現に人がいることを指します。
つまり、住居あるいは人がいる建造物等を放火すれば①に、そのいずれにも当たらない建造物等を放火すれば②に当たることになります。
また、③については、成立に「公共の危険」を要するとされています。
ここで言う「公共の危険」とは、不特定または多数人の身体、生命、財産が害される危険を指します。
こうした危険が認められなければ③の成立は否定されますが、その場合には器物損壊罪の成否が問題となることがあります。
法定刑は、①が死刑、無期懲役、5年以上の有期懲役(上限20年)のいずれか、②が2年以上の有期懲役、③が1年以上10年以下の懲役です。
いずれも重いものであり、懲役の実刑が科される可能性は一般的に高いと言えるでしょう。
【控訴について】
刑事事件では、所要の捜査が遂げられた後、検察官が起訴か不起訴かの判断を下すことになります。
そして、起訴の判断が下された場合、略式起訴の場合を除いて正式裁判で犯罪の成否および量刑が決定されます。
正式裁判を経て有罪となっても、それにより判決の内容が直ちに確定するわけではありません。
判決は言い渡しの翌日を1日目として14日目の終了時に確定し、それまでに控訴を申し立てることができます。
控訴とは、1回目に行われた判決(第一審)の内容に不服がある際に、より上級の裁判所である高等裁判所に判決の内容を審査してもらえる制度です。
上記事例のように、無罪を主張したにもかかわらず有罪となってしまったケースでは、控訴の申立てを検討するのが得策です。
控訴は判断をやり直してもらえる場合が限られており、たとえば裁判のやり方に重大な違法があった場合や、裁判の内容に判決に影響を及ぼす違法があった場合などです。
その要件は常に満たされるとは限りませんが、もし被告人のみが控訴の申立てを認めてもらえれば、判決の内容が第一審より悪くなることは基本的にありません。
この点において、控訴の申立ては積極的に行うべきだと言えます。
弁護士に事件を依頼すれば法的な問題をクリアできる可能性が高まるので、判決の内容に少しでも不満を感じたらぜひ控訴の依頼を検討してください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、控訴審からの弁護活動も責任を持ってお引き受けいたします。
ご家族などが放火罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 千葉支部は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う弁護士事務所です。
刑事・少年事件を数多く扱ってきた実績を活かし、相談者様、依頼者様の不安を解消することに努めます。刑事・少年事件に精通した弁護士、職員が連携をとることで、迅速・綿密な弁護活動を提供します。
当事務所では初回無料法律相談サービスを実施しております。また、土日祝日、夜間でも法律相談・接見面会の受付が可能です。お困りの際には、ぜひご相談ください。
強制性交等罪(強姦)で無罪
強制性交等罪(強姦)で無罪
強制性交等罪(旧強姦罪)と無罪について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
【ケース】
Xさんは、マッチングアプリを使って、女性と知り合い、デートをし、性行為を行うということを繰り返していました。
ある日、いつものようにマッチングアプリで気になる女性を見つけ、デートに誘い、夕食を一緒に取ることになりました。
Xさんは、千葉県の船橋駅で待ち合わせをし、女性と会ったところ、期待通りの女性で気分が高揚し、「うまくいったらこのままホテルに行きたい」と思い、いつもよりも高級なレストランに入り、奮発しました。
レストランでの雰囲気もよく、相手の女性ともうまく打ち解けられたと思ったので、Xさんは、帰り道、「ちょっと休んでいかないか」といって女性をホテルに誘い、ホテルで性行為を行い、帰宅しました。
相手の女性とは、その後、連絡を取っていませんでしたが、食事に行った日から1週間ほどたったある日、突然相手の女性から連絡があり、「私は無理やりされたと思ってる。警察に行ったから」と言われました。
Xさんは、自分にはやましいことはないが今後どうなるのか不安に感じ、Xさんは弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
【強制性交等罪について】
刑法第百七十七条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
かつて強姦罪と呼ばれていた罪は、平成29年の刑法改正によって強制性交等罪という名称に変更されました。
強姦罪から強制性交等罪へと名称が改められるに当たり、その内容も以下のように改正されました。
①処罰範囲の拡大
強姦罪では、専ら男性の女性に対する膣性交のみが処罰の対象とされていました。
他方、強制性交等罪では、上記引用条文のとおり、通常の性交に加えて肛門性交および口腔性交も処罰の対象に追加されました。
つまり、いわゆる「挿入行為」がなかったとしても、「フェラ」や「アナルセックス」があれば処罰対象になることになりました。男性同士の性行為や児童に対する性行為も処罰対象になったということです。
②法定刑の引き上げ
強姦罪は法定刑が3年以上の有期懲役となっていましたが、強制性交等罪の法定刑は5年以上の懲役に引き上げられました。
この点は、強盗罪が5年以上の有期懲役(刑法236条)であるのと比較して3年というのは軽いのではないかと長年議論されてきた経緯があります。強盗と比較して強姦罪は少なくとも同程度の刑に処するべきであるという世論の声を反映した形になりました。
③非親告罪化
強姦罪が親告罪だったのに対し、強制性交等罪は非親告罪となりました。
これにより、被害者が告訴をする精神的余裕がない場合でも、検察官が強制性交等罪で起訴して裁判を行うことが可能となりました。
確かに、法律上は法改正により、被害者の意思に反してでも犯罪を処罰することができるようになりましたが、実務的には、被害者の意思を尊重するという運用が続いています。理由は、公開の法廷で行われる裁判が、被害者に対するセカンドレイプになるなど、公にされることで被害者のプライバシーが開示されてしまうことのリスクを踏まえたためと考えられます。
【無罪を得るためには】
最初は合意のうえで性行為に及んだはずが、後から「無理やりだった」と言われて強制性交等罪を疑われることは珍しくありません。
そうしたケースでは、暴行または脅迫がなかった、あるいは同意があった、少なくとも同意があったと勘違いしたと主張することが考えられますが、警察は通常最初に被害者の話を聞くことから、被害者の話を信じてしまっているケースが少なくありません。そのため、被疑者サイドの主張は簡単には通らないのが現実です。
もし無罪を目指すのであれば、検察官による強制性交等罪の立証に対し、その立証を積極的に崩していく姿勢が大切になってきます。
そうした無罪獲得に向けた弁護活動は、ぜひ弁護士を頼ってみてください。
法律の専門家である弁護士は、強制性交等罪で無罪を獲得すべく、法的な視点をもって的確な証拠収集と説得的な主張を行うことができます。
裁判において無罪を獲得できるかは適切な主張と証拠を提示できるかに掛かっています。
早い段階から自分が被疑者になることがわかっているのであれば、自分から自分に有利な証拠を保全しておくことが大切です。
強制性交等罪は法定刑の下限が5年と重いため、もし有罪となれば即実刑となり、刑務所に収容される可能性が高いと言えます。
特に冤罪だった場合の損失は計り知れないので、強制性交等罪を疑われたら躊躇せず弁護士に事件を依頼しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強制性交等罪をはじめとする各種犯罪に詳しい弁護士が、無罪獲得に向けて周到な弁護活動を行います。
もし強制性交等罪を疑われたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所(0120-631-881)にお電話ください。
刑事事件・少年事件専門の法律事務所として、無料法律相談であなたのお悩みを真摯にお聞きします。
(無料法律相談のご案内はこちら)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 千葉支部は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う弁護士事務所です。
刑事・少年事件を数多く扱ってきた実績を活かし、相談者様、依頼者様の不安を解消することに努めます。刑事・少年事件に精通した弁護士、職員が連携をとることで、迅速・綿密な弁護活動を提供します。
当事務所では初回無料法律相談サービスを実施しております。また、土日祝日、夜間でも法律相談・接見面会の受付が可能です。お困りの際には、ぜひご相談ください。
暴行罪で前科回避
暴行罪で前科回避
Aさん(20歳)は、友人と居酒屋で酒を飲んだ後、自宅へ帰ろうと電車に乗りました。
車内は非常に混雑しており、Aさんは後から無理やり乗ってきたVさんに足を踏まれました。
これが原因でAさんとVさんは口論になり、結局千葉県南房総市内の駅で降りることになりました。
二人はしばらく言い争いを続けていましたが、ヒートアップしたAさんがVさんの胸倉を掴み、柱に頭を打ち付けました。
その様子を駅員が目撃し、Aさんは暴行罪の疑いで館山警察署にて捜査を受けることになりました。
Aさんは看護師を目指していたため、前科がついたらまずいのではないかと思い、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
【暴行罪について】
暴行罪は、他人の身体に「暴行」を加えたものの、傷害には至らなかった場合に成立する可能性のある罪です。
一般的に「暴行」は殴る蹴るといった行為を意味するものとして用いられますが、暴行罪が成立するのはそうした場合に限りません。
ここでいう「暴行」とは、不法な有形力・物理力を行使する一切の行為とされており、一般的な暴行よりも広い概念だからです。
上記事例では、AさんがVさんの胸倉を掴んだうえ、Vさんの頭を柱に打ち付けています。
柱に頭を打ち付ける行為が「暴行」に当たると考える方は多いかと思いますが、それだけでなく胸倉を掴む行為も「暴行」に当たるのです。
暴行罪の法定刑は、①2年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③拘留(1日以上30日未満の拘置)、④科料(1000円以上1万円以下の金銭の納付)のいずれかです。
この罰則自体は比較的軽い方ですが、傷害罪や殺人罪といった他の罪が成立するとなると話は違ってきます。
刑事事件においては、逮捕のときに言われた罪名のまま捜査が進むとは限りません。
たとえば、事件後に受けた病院での診察で異常が見つかった場合、罪名が変わる可能性は十分ありえます。
そうした可能性が否定できない点で、暴行罪とはいえ軽視すべきではないでしょう。
【前科回避のメリット】
罪を犯して罰せられた経歴のことを前科と呼ぶことがあるかと思います。
この前科という言葉は法律上の用語ではなく、明確な定義があるわけではありません。
ここでは、前科を「過去に何らかの刑罰を受けた経歴」と定義して話を進めます。
前科というものは、時に「汚点」として扱われるように、特定の場面において不利益を及ぼすことがあります。
まず、前科を持つ者が再び何らかの罪を犯した場合、規範意識が低下しているとして重い刑を下されることがあります。
何十年も前であればさほど重要視されませんが、時間的に近接していればいるほどその影響力は大きくなることが予想されます。
ただ、上記不利益に限っては、当然ながらその後罪を犯さなければ問題はありません。
それよりも問題となりやすいのは、国家資格などの取得制限です。
たとえば、医師や看護師などの医療系の資格は、罰金以上の刑を科された者に対し「免許を与えないことがある」とされています。
また、地方公務員であれば、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」が職員になったり選考を受けたりできないとされています。
このほかにも選挙で投票できなくなったり海外旅行が制限されたりするなど、前科による不利益は種々のものがありえます。
前科により自身がどういった不利益を被るのか、そもそも前科を回避できないのかといった点は、ぜひ法律の専門家である弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、数々の刑事事件と向き合ってきた弁護士が、前科に関するご相談にも真摯にお答えします。
暴行罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 千葉支部は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う弁護士事務所です。
刑事・少年事件を数多く扱ってきた実績を活かし、相談者様、依頼者様の不安を解消することに努めます。刑事・少年事件に精通した弁護士、職員が連携をとることで、迅速・綿密な弁護活動を提供します。
当事務所では初回無料法律相談サービスを実施しております。また、土日祝日、夜間でも法律相談・接見面会の受付が可能です。お困りの際には、ぜひご相談ください。
住居侵入罪で勾留阻止
住居侵入罪で勾留阻止
住居侵入罪と勾留阻止について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
【ケース】
千葉県千葉市花見川区のアパートに住むXさんは、最近になって隣の部屋に女性が引っ越してきたことを知りました。隣人の女性には、恋人がいるようで夜な夜な音が聞こえてきました。
Xさんは、はじめは仕方がないと思い、我慢していましたが、途中からイライラを抑えることができなくなり、ある日の晩、「ベランダに侵入し、怖がらせてやろう、そうすればしばらくは夜静かになるだろう」と考え、いつものように夜になって音がし始めてから、ベランダ伝いに、隣の女性のベランダに侵入しました。
Xさんとしては、女性に見られないつもりでしたが、街灯があったこともあり、暗い室内からXさんの様子はよく見えました。女性の恋人が警察に通報し、千葉県千葉西警察署の警察官が捜査に訪れ、Xさんはその場で、住居侵入罪の疑いで現行犯逮捕されました。
(フィクションです。)
【ベランダへの侵入も住居侵入罪に?】
刑法第百三十条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
正当な理由がないにもかかわらず、勝手に他人の住居に侵入した場合、住居侵入罪が成立する可能性があります。
「住居侵入罪」と聞くと住居の内部への不法侵入のみを想像しがちですが、住居の内部だけでなく庭やベランダへの立入りも住居侵入罪に当たる可能性があります。
そのため、上記事例のXさんにも住居侵入罪が成立し、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
ちなみに、管理者が誰もいない空き家に侵入した場合は、先ほど述べた自由が侵害されないことから、住居侵入罪は成立しないと考えられます。
ただし、この場合には軽犯罪法違反となり、拘留(1日以上30日未満の拘置)または科料(1000円以上1万円未満の金銭の納付)が科される可能性があります。
【勾留阻止を実現するには】
住居侵入行為を被害者などに見つけられ、その後警察が到着し、住居侵入罪の疑いで現行犯逮捕されるというケースは少なくありません。
そこで、住居侵入罪を犯した逮捕された場合、勾留阻止により逮捕後72時間以内の釈放を目指すことが考えられます。
勾留阻止を実現するための手段として弁護士が行う活動には、勾留請求をする検察官および勾留請求の当否を判断する裁判官との交渉が挙げられます。
弁護士が勾留前に被疑者と接見出来た場合には、被疑者の言い分はもちろん、被疑者を監督してくれる方がいる場合にはその方の誓約等をそろえ、被疑者を拘束する必要がないことを書面や口頭で検察官や裁判官に訴えていくことになります。
そのため、勾留阻止の可能性を少しでも高めるのであれば、やはり弁護士に事件を依頼するのが得策です。
また、仮に、身柄拘束が続いてしまったとしても、示談交渉などを行うことで終局処分を軽減するための活動も迅速に行うことができます。
早期釈放以外のメリットも豊富なので、一度は弁護士への依頼をご検討ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、刑事事件のプロとして、これまで数多くの釈放を実現してきた実績がございます。
ご家族などが住居侵入罪の疑いで逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所(0120-631-881)にお電話ください。
刑事事件・少年事件専門の法律事務所として速やかに初回接見を行い、勾留阻止による早期釈放の実現に尽力いたします。
(無料法律相談のご案内はこちら)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 千葉支部は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う弁護士事務所です。
刑事・少年事件を数多く扱ってきた実績を活かし、相談者様、依頼者様の不安を解消することに努めます。刑事・少年事件に精通した弁護士、職員が連携をとることで、迅速・綿密な弁護活動を提供します。
当事務所では初回無料法律相談サービスを実施しております。また、土日祝日、夜間でも法律相談・接見面会の受付が可能です。お困りの際には、ぜひご相談ください。
盗撮で逮捕されるか
盗撮で逮捕されるか
盗撮事件と逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
【ケース】
Xさんは、千葉県千葉市中央区在住の男性です。結婚して妻も子供もいますが、仕事が忙しく、毎日夜遅くまで働き、総武線で満員電車に揺られて帰る生活を続けています。
ある日、Xさんは、ネットニュースで盗撮で捕まった人の記事を読みました。その捕まった人は、過去1000件ほど盗撮行為を行っていたが、捕まったことはなく、今回初めて捕まったとのことでした。
Xさんは、捕まるのが怖いと思った反面、1000件以上やってようやく捕まったのだから、1回くらいやったとしても捕まることはないだろうと思い、仕事帰りの満員電車の車内で盗撮を行いました。
最初は緊張しましたが、案外簡単に撮影できることに気が付き、そこからはほぼ毎日のように盗撮行為を繰り返しました。
ある日、いつものように帰りに電車内でXさんが盗撮行為を行っていると、突然スマートフォンを掴まれました。どうやら盗撮行為が目撃されてしまっていたようで、その場で「盗撮しましたよね。降りましょう」と言われ、被害者の女性、自分、目撃者の三人で駅に降り、千葉県千葉中央警察署の警察官が来るのを待って取り調べを受けました。
(フィクションです。)
【盗撮】
盗撮は、以下の法令により罰せられる可能性があります。
①軽犯罪法
第一条(一部抜粋)
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
第二条
前条の罪を犯した者に対しては、情状に因り、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。
軽犯罪法1条33号は、人の住居などにおける覗き見(窃視)を罰する目的で規定された条文です。
現在では、盗撮も覗き見に当たると考えられており、迷惑防止条例の規制が及ばない盗撮事件はこちらが適用されることになります。
②千葉県迷惑防止条例(令和2年7月1日付施行)
第3条の2(一部抜粋)
何人も、みだりに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であ つて、次の各号に掲げるものをしてはならない。
第1号 次のいずれかに掲げる場所又は乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又 は身体を、写真機その他の機器(衣服を透かした状態を撮影することができるものを 含む。以下「写真機等」という。)を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を 差し向け、若しくは設置すること。
イ 浴場、更衣室、便所その他の人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる 場所及び住居
ロ 公共の場所(イの場所を除く。)又は公共の乗物
ハ 学校、事務所その他の不特定若しくは多数の者が利用し、若しくは出入りするこ とができる場所(イ及びロの場所を除く。)又はタクシーその他の不特定若しくは 多数の者が利用することができる乗物(ロの乗物を除く。)
第13条(一部抜粋)
第一項 第3条の2(第1号に係る部分に限る。)の規定に違反して下着又は身体を撮影した 者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第二項 常習として第3条の2(第1号に係る部分に限る。)の規定に違反して下着又は身体 を撮影した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
なお、千葉県はもともと、盗撮行為を「卑わいな言動」という一つの文言としてのみとらえていましたが、今回の改正で、東京都とほぼ同様の範囲で盗撮行為を処罰することとなりました。
すなわち、これまで迷惑防止条例による射程の対象外であった、学校やホテル内の盗撮行為もその対象となったと考えられます。
両者の刑を比べると、①が拘留(30日未満の拘置)や科料(1万円未満の金銭の納付)なのに対し、②は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
①②の両方の適用が可能な場合、基本的に刑が重い方が適用されることになるので、上記事例のXさんは千葉県迷惑防止条例違反になると考えられます。
【盗撮事件における逮捕の可能性】
刑事事件において逮捕を行うかどうかは、事件の重大性や被疑者の態度などを考慮して捜査機関が判断する事柄です。
そのため、逮捕の可能性というのは事件の内容とそれに対する各捜査機関の考えに左右されるものであり、一律に論じるのは難しいと言えます。
ただ、すでに取り調べを受けたうえで、帰宅できているケースの場合、逮捕の可能性は一般的に高くないと考えられます。
また、盗撮に対する罰則は、たとえ条例が適用されるとしても比較的軽い部類であると評価できます。事件の重大性は逮捕の可能性を左右する重要な考慮要素であり、その重大性は犯罪の重さ、すなわち刑罰の重さと相関があります。
そのため、罰則が比較的軽いことは、逮捕の可能性が高いことを否定する要素となりえます。
以上の点は逮捕の可能性が高いことを否定する要素となりうるため、盗撮事件において後日逮捕される可能性は高くないと言えます。
ただ、上記内容は飽くまでも一般的な傾向であり、住居等における盗撮事件で逮捕されないことを確約するものではありません。
たとえば、カメラに膨大な盗撮の記録が存在する、過去に盗撮を行っている、警察からの呼び出しに応じないといった事情があると、逮捕の必要性は高まります。
結局のところ、逮捕を行うかどうかは捜査機関の判断が全てなので、逮捕の可能性というのは気休め程度にしかならない点は留意が必要です。
もし盗撮が発覚したら、少しでも早く弁護士に相談し、その後のことを真剣に考える方が賢明でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、盗撮事件における最適な対応をお伝えします。
盗撮事件を起こしてお困りなら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご案内はこちら)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 千葉支部は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う弁護士事務所です。
刑事・少年事件を数多く扱ってきた実績を活かし、相談者様、依頼者様の不安を解消することに努めます。刑事・少年事件に精通した弁護士、職員が連携をとることで、迅速・綿密な弁護活動を提供します。
当事務所では初回無料法律相談サービスを実施しております。また、土日祝日、夜間でも法律相談・接見面会の受付が可能です。お困りの際には、ぜひご相談ください。
軽犯罪法違反事件で取調べ
軽犯罪法違反事件
軽犯罪法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
~ケース~
千葉県山武市の繁華街で、男性が「俺はコロナだ。」と叫んだと、付近の店を営んでいた人が110番通報しました。
千葉県山武警察署の警察官が駆け付けると、男性は酒に酔っており、「うそだった。」と話したため、警察官は男性を任意同行しました。
男性は在宅のまま、軽犯罪法違反(業務妨害)の容疑で調べを受けています。
男性は、今後どのようになるのか不安で、刑事事件専門弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
軽犯罪法とは
軽犯罪法は、さまざまな軽微な秩序違反行為に対して、拘留、科料の刑を定める法律です。
あまり聞きなれない法律ですが、軽犯罪法に規定された犯罪は、刑法犯の予備的行為ないし未遂犯的行為がその大部分を占めています。
ここでは、その中で幾つかご紹介し、刑法犯との関係についてみていきましょう。
(1)潜伏の罪
「人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由なくひそんでいた者」が、処罰の対象となります。
人が住んでいる、又は人が看守していれば、刑法の住居侵入等罪が成立します。
住居侵入等罪が成立する場合には、潜伏の罪は吸収されます。
(2)火気乱用の罪
「相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者」が、処罰の対象となります。
本罪が成立するのは、建物の近くで火をたくなどしたが、延焼の危険がなかった場合や、自己の物や無主物を燃やしたが、公共の危険が発生しなかった場合などです。
建物に延焼することを認容しながら、その附近で火をたき、実際に延焼させて焼損した場合は、放火罪が成立し、本罪は吸収されます。
(3)身体露出の罪
「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」が、処罰の対象です。
本罪が成立するのは、市街地で、しりやももを露出して、これを殊更に強調してポーズをとる場合などです。
わいせつの程度に至った場合には公然わいせつ罪が成立し、本罪は吸収されます。
(4)業務妨害の罪
「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」が、処罰の対象です。
「悪戯」とは、一時的な戯れをいい、威力に至らない程度のものといいます。
威力に至る程度の場合には、威力業務妨害が成立し、本罪は成立しません。
軽犯罪法違反は、比較的軽微な犯罪であるため、被疑者が、住所不定や正当な理由なく出頭の求めに応じない場合でないと、逮捕令状による通常逮捕はされません。
そして、犯人の住居や氏名が明らかでない場合、犯人が逃げるおそれがある場合でなければ、現行犯逮捕もできません。
ですので、軽犯罪法違反で逮捕される可能性はそう高くはないと言えます。
しかし、逆に言えば、軽犯罪法違反であっても、要件に当てはまれば逮捕される可能性はあるということですので、注意が必要です。
軽犯罪法に違反した者は、拘留又は科料が科される可能性があります。
「拘留」とは、日本の刑罰の一種です。
1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘束する自由刑です。
「科料」とは、1000円以上1万円未満の範囲で金銭を徴収する財産刑です。
懲役や罰金と比べると、拘留や科料は軽い刑のように思えますが、拘留・科料であっても、これらの刑が言い渡されるということは、有罪判決を受けたことを意味します。
つまり、前科が付くことになります。
軽犯罪法違反事件と軽く見ていると、有罪判決が言い渡され、前科が付くことになりかねませんので、早期に弁護士に相談し、前科回避に向けて動きましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 千葉支部は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う弁護士事務所です。
刑事・少年事件を数多く扱ってきた実績を活かし、相談者様、依頼者様の不安を解消することに努めます。刑事・少年事件に精通した弁護士、職員が連携をとることで、迅速・綿密な弁護活動を提供します。
当事務所では初回無料法律相談サービスを実施しております。また、土日祝日、夜間でも法律相談・接見面会の受付が可能です。お困りの際には、ぜひご相談ください。