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判員裁判と取調べの録音・録画~千葉県内の強盗致傷事件を基に解説【後編】~

2023-06-25

今回は、前回に引き続き、裁判員裁判と、刑事事件の取調べの際に行われる「取調べの録音・録画」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説いたします。

~事例~

 千葉県内のリサイクルショップに昨年12月、男らが押し入り店主に暴行を加え売上金120万円と商品の高級腕時計などを奪い逃走した事件で、県警捜査1課は、強盗致傷と建造物侵入容疑で千葉県館山市居住のA男(20代、自称派遣社員)を逮捕した。
 県警は、捜査に支障があるとして認否は明らかにしていない。

 逮捕容疑は令和4年12月9日午後7時半ごろ、共犯者の男らと千葉県内のリサイクルショップに侵入。男性店主の顔面をバールで殴ってけがをさせ、「金庫はどこだ」などと脅迫して金品を奪おうとした疑い。
 この事件を巡っては、実行役とされるB男(20代、無職)、C男(30代、会社員)の2名も逮捕されている。
 男らに面識はなく、SNS上の高収入バイトに申し込み、指示役とみられる者から本件犯行の指示を受けた、所謂「闇バイト」であるとみて、背後関係を含め慎重に捜査を進めている。

 なお、男性店主は意識不明の重体とのことです。

本件事例はフィクションです。 

~刑事事件の取調べ~

 本件事例は裁判員裁判の対象事件であることは、前編でご説明した通りです。
 裁判員裁判の対象事件となると、警察の捜査手続きにおいても、いくつかの違いが出てくることがあります。
 その一つが、今回ご紹介する取調べの録音・録画です。
 まず、取調べとはどういうものかを簡単にご説明します。

 刑事事件の取調べは、警察署や検察庁などの取調室において行われます
 取調べによって、捜査機関は事件の真相を解明すべく、被疑者から犯行の動機や、犯人しか知り得ない秘密の暴露など、被疑者が罪を犯したと認めることができる話を聴き取り、その内容は供述調書としてまとめられることが一般的です。

 取調べは取調室という机と椅子以外はなにもなく、広さも数メートル四方程度しかない小さく、殺伐とした雰囲気の部屋の中で、被疑者と取調官、取調べ補助者など、限られた人数で行われます。
 また、警察署での取調べにおいては、プライバシー保護の観点からも、多くの警察署は刑事課や生活安全課、交通課などの事件や事故の捜査を担当する部署の執務室の奥にあり、人目のつかない場所に設けられている場合がほとんどです。

 そのため、以前までは、取調官が被疑者を大声で怒鳴りつける、机を叩く、椅子を蹴る、煙草を吸わせる代わりに自白を強要する、長時間にわたり取調べ室内に拘束し、自白するまで取調室から外に出さないなど、刑事ドラマなどで目にするような取調べが実際に行われていました。

 そうした取調べは、被疑者に対する精神的な負担は大きく、結果として、犯してもいない罪まで認めてしまうケースや、被疑者の供述の信ぴょう性が疑問視されることとなり、取調べの方法が見直されるとともに、取調べの可視化に向けた改革が行われることになりました。

 そうした動きを受け、対象となる身柄事件(≒逮捕・勾留されている事件)の取調べの様子の全てを録音・録画を義務付ける改正刑事訴訟法が令和元年6月1日から正式に施行されたのです。

 現在は、先挙げた、被疑者を大声で怒鳴りつける、机を叩く、椅子を蹴る、自白を強要する、長時間にわたり取調室に拘束することなどは全て禁止されています。 

~取調べの録音・録画、裁判員裁判との関係とは~

 取調べの録音・録画の対象となる事件は次の通りです。

1.裁判員裁判対象事件(弁論の併合により裁判員裁判で審理される見込みのある裁判員裁判費対象事件を含む)

2.知的障害を有する被疑者で言語によるコミュニケーション能力に問題がある者、又は取調官に対する迎合や被誘導性が高いと認められる者に係る事件

3.精神の障害等により責任能力の減退・喪失が疑われる事件

4.独自捜査事件(検察官が直接告訴・告発等を受け又は自ら認知して捜査を行う事件(国税局、証券取引等監視委員会、公正取引委員会等による告発に基づいて捜査を行う事件を含む。))であって当該事件について検察官が被疑者を逮捕した事件

 また、取調べの録音・録画が義務付けられているのは、これらに該当する事件のうち、身柄拘束(≒逮捕・勾留)されている事件に限られます

 取調べの録音・録画は、不当な取調べから被疑者らを守るため、適正な捜査を推進するために行われますが、その一方で、供述する内容がすべて録音・録画されているため、なにを話すのか、どのような態様で話をするのかによって、被疑者側の不利益となる場合もある。取調べの対応が非常に重要になる、ということは覚えておいた方が良いかもしれません。また、事前に話す内容などを整理しておくことがより大切です。
 

~取調べを自分で録音・録画できるか~

 身柄が拘束されていない(≒在宅捜査)被疑者の方で、警察官の話を録音・録画したい、と思う方もいるかと思います。
 しかし、警察官ら捜査機関側には拒否されることがほとんどです。
 理由は様々ですが、取調べでは、被疑者の生い立ちや生活状況、事件の内容や犯行動機、関係者がいればその方との関係など、個人情報を含め様々なことを聞かれます。また、場合によっては捜査機関の捜査情報などを踏まえて会話が行われることもあります。

 そのため、守秘義務の面からも、こうした内容が漏洩することを防ぐ意味でも、録音・録画機器の持ち込みについては禁止される場合がほとんどです。

 しかし、身柄拘束がされていない(≒在宅捜査)の取調べは任意捜査ですので、必要に応じて取調べを中断してもらい、取調室の外で弁護士に電話で相談すること等はできます

 取調べが不安な方やサポートをご希望の方は、是非一度、弁護士に相談することをオススメします。

~ご家族が逮捕されてしまったら~

 強盗致傷の疑いで逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士の接見を受け、裁判員催裁判を見据えたアドバイスやサポートを受けることをおすすめします。
 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、平素より刑事事件・少年事件を数多く受任してきた実績を持つ法律事務所です。
 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は千葉支部のみならず、札幌、仙台、東京(新宿)、八王子、横浜、名古屋(本部)、大阪、京都、神戸、福岡全国各地に事務所があり、初回無料の法律相談も行っております。
 ご家族が逮捕されてしまい、お困りの方は、是非一度、0120-631-881(24時間電話受付中)までお気軽にお電話ください。

裁判員裁判と取調べの録音・録画~千葉県内の強盗致傷事件を基に解説【前編】~

2023-06-22

今回は、前編、後編に分け、裁判員裁判と、刑事事件の取調べの際に行われる「取調べの録音・録画」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説いたします。

~事例~

 千葉県内のリサイクルショップに昨年12月、男らが押し入り店主に暴行を加え売上金120万円と商品の高級腕時計などを奪い逃走した事件で、県警捜査1課は、強盗致傷建造物侵入容疑で千葉県館山市居住のA男(20代、自称派遣社員)を逮捕した。
 県警は、捜査に支障があるとして認否は明らかにしていない。

 逮捕容疑は令和4年12月9日午後7時半ごろ、共犯者の男らと千葉県内のリサイクルショップに侵入。男性店主の顔面をバールで殴ってけがをさせ、「金庫はどこだ」などと脅迫して金品を奪おうとした疑い。
 この事件を巡っては、実行役とされるB男(20代、無職)、C男(30代、会社員)の2名も逮捕されている。
 男らに面識はなく、SNS上の高収入バイトに申し込み、指示役とみられる者から本件犯行の指示を受けた、所謂「闇バイト」であるとみて、背後関係を含め慎重に捜査を進めている。

 なお、男性店主は意識不明の重体とのことです。

本件事例はフィクションです。 

~本件事例の刑責と裁判員裁判~

 本件事例では、男性店主をバールで殴り怪我をさせ、売上金や高額商品を奪っていることから、強盗致傷の容疑、加えて、強盗目的でリサイクルショップに侵入したことが、正当な理由でなく店舗に立ち入ったことによる建造物侵入容疑で逮捕されたのだと考えられます。

強盗致傷罪(刑法第240条)

強盗が、人を負傷させたときは無期または6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する

参考 強盗罪(刑法第236条)

 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する

建造物侵入罪(刑法第130条)

 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

 特に、強盗致傷罪はその法定刑が無期懲役・無期禁錮にあたる、非常に重い罪であり、強盗致傷罪として起訴されてしまった場合は裁判員裁判の対象事件となります。

~裁判員裁判とは?普通の裁判とは何が違うの?~

 通常の刑事事件の裁判では、罪を犯した被告人をどのような刑に処すかを決める判断を裁判官だけで行います。

 しかし、裁判員裁判では、刑事事件の裁判のうち、地方裁判所で行われる刑事裁判に、国民の有権者から無作為に選ばれた裁判員と裁判官の合議による刑事裁判を言います。国民が裁判に関与することで、司法に対する国民の理解が深まり、司法に対する信頼が向上することを目指して2009年に導入された制度です。
 裁判官のみによる裁判とは異なり、裁判員裁判では通常、裁判官が3人、裁判員が6人で合議体を構成します。
 そして、裁判員は、刑事裁判に参加し、被告人の犯した罪がどのようなものなのか、有罪なのか無罪なのか、有罪の場合はどのような刑に処するのかを裁判官と一緒に検討します。

 つまり、裁判員裁判では、刑事裁判の手続きに一般国民の声が反映される仕組みとなっていると言えます。

~裁判員裁判の対象事件とは~

裁判員裁判の対象となる事件は重大事件です。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(裁判員法)第2条1項によって、裁判員裁判の対象となるのは、
「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪にかかる事件(1号)」
「裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(2号)」

と規定されています。

※裁判所法第26条第2項2号に掲げる事件とは、裁判所法において、3人の裁判官による合議体により審理することになっている事件(死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪(刑法第二百三十六条、第二百三十八条又は第二百三十九条の罪及びその未遂罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)第一条ノ二第一項若しくは第二項又は第一条ノ三第一項の罪並びに盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第二条又は第三条の罪を除く。)に係る事件)を指します。

死刑または無期の懲役若しくは禁錮に当たるものとは、法定刑として死刑、無期の懲役若しくは禁錮が定められているものを指します。

裁判員法2条1項1号(法定刑として死刑、無期の懲役若しくは禁錮が定められているもの)に該当するものとして、

殺人罪(刑法第199条)

 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する

強盗致傷罪(刑法第240条

 強盗が、人を負傷させたときは無期または6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する


強制性交等致傷罪等(刑法第181条2項)

 第177条、第178条2項若しくは第179条2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する


が挙げられます。

裁判員法2条1項2号に該当するものとして

傷害致死罪(刑法第205条)
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

保護責任者遺棄致死罪(刑法第219条)
前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
※前2条とは、遺棄(刑法第217条・老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の懲役に処する。)保護責任者遺棄等(刑法第218条・老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。)のこと

逮捕監禁致死罪等(刑法第221条)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
※前条は逮捕及び監禁(刑法第220条・不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。)


が、それぞれ挙げられます。

傷害致死罪などは、死亡結果については故意がないものの、傷害、遺棄、逮捕といった行為は故意に行っているために、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた」ことになり裁判員裁判対象事件となります。

また、裁判員裁判対象事件に当たるかは、先ほども説明した通り、どの犯罪で起訴されたかにより決定します。例えば、強盗致傷で逮捕されたとしても、強盗で起訴された場合には、裁判員裁判対象事件ではないということになります。

 裁判員が裁判手続に参加することから、通常の裁判とは決定的に異なったものとなっています。裁判員裁判で弁護人を務めるには、通常の裁判とはまったく異なるスキルが必要です。裁判員裁判の弁護人には、裁判員裁判を熟知し、裁判員裁判の経験が豊富な弁護士を選ぶこと大切です。

 次回の後編では、裁判員裁判対象事件の際などに行われる、取調べの録音・録画制度について解説していきます。

~ご家族が逮捕されてしまったら~

強盗致傷の疑いで逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士の接見を受け、裁判員裁判を見据えたアドバイスやサポートを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、平素より刑事事件・少年事件を数多く受任してきた実績を持つ法律事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は千葉支部のみならず、札幌、仙台、東京(新宿)、八王子、横浜、名古屋(本部)、大阪、京都、神戸、福岡と全国各地に事務所があり、初回無料の法律相談も行っております。
ご家族が逮捕されてしまい、お困りの方は、是非一度、0120-631-881(24時間電話受付中)までお気軽にお電話ください。

【解決事例】お互いに暴力をふるった千葉市稲毛区の傷害事件!?

2023-06-19

 千葉県千葉市稲毛区で起きた相被疑傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

~事案の概要~

 ある日、Aさん(30代、会社員男性)は大学時代の友人らと久しぶりに再会し、千葉県千葉市稲毛区内の居酒屋で楽しくお酒を飲んでいました。
 そして、Aさんは友人らと別れた後、既に終電もなくなっていたことからタクシーを利用し帰宅しようとしました。
 しかし、お財布の中にあまり現金が入っておらず、クレジットカードも持ち歩いていなかったことから、自宅近くのコンビニまでタクシーで行き、そこでお金をおろして支払おうと考え、タクシー運転手のVさんに自宅近くのコンビニを目的地として告げました。
 タクシーはAさんの説明したコンビニまで到着しました。
 そこで初めてAさんはタクシー運転手のVさんへ事情を説明したところ、料金の支払いをめぐり口論となってしまったのです。
 Aさんは泥酔していたこともあり、ついにはタクシーの運転手のVさんを殴って怪我をさせてしまいました
 そこからはお互いに掴み合い、殴り合いの喧嘩に発展し、駆けつけた警察官により事情聴取が行われ、AさんVさんともに傷害事件の被疑者として捜査されることになってしまいました。

守秘義務の関係で、一部、事実と異なる点がございます。

~解説~

 タクシーの運転手のVさんを殴り、ケガをさせてしまったAさんは傷害罪に問われる可能性が高いと言えます。

傷害罪(刑法第204条)

 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

 ご自身では、「あまり強く殴っていない」「軽く押しただけで、そこまで酷い暴力は加えていなかった」等と思っていても、被害を受けた方が医療機関を受診し、専門家(医師)によって怪我をしたと判断されるケースは珍しくありません。
 そして、被害届と一緒に、怪我をしたことの証明である診断書が捜査機関に提出されてしまえば、傷害事件として捜査が開始されることになります。

~相被疑事件とは?~

 普段から刑事事件などに触れていないと、あまり聞きなじみのない言葉かと思います。
 多くの事件は、加害行為を行った人は「被疑者被害を受けた人は「被害者と、それぞれ立場が異なります。
 しかし、今回のようにお互いに暴力を振るって相手を怪我させた場合は、暴力を振るわれて怪我をした被害者でもあり相手に暴力を振るって怪我をさせた被疑者でもあるという立場になります。
 お互いに加害者(≒被疑者)である事件のことを、相被疑事件と呼ばれることがあります。

 ご自身もお怪我をされていることから、あまり考えたくないでしょうが、こうした事案は、ご自身の被害届を提出したからといって終わるものではなく、相手からも被害届を出されてしまい、突然、警察から取調べの連絡が来るという事態にもなりかねないため、注意が必要です。

 なお、日本の警察官が事件などの捜査をするにあたり守るべき心構えや捜査の方法、捜査手続き、その他、捜査に関して必要な事柄を定めている犯罪捜査規範には、次のように定められています。

犯罪捜査規範61条

 警察は、被害届の提出をする者があったときは、その届出にかかる事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない

 そのため、捜査機関が事件を認知する前であれば被害届が出されない様に示談交渉を行い、被害届が出されるなど捜査機関が事件を認知した後であれば示談交渉を行い被害届の取下げを行う等が大切になります。

~傷害事件を起こしてしまったら~

 刑事事件では、弁護士への早期相談が何よりも大切です。
 本件は、事件発生後すぐに弊所の無料相談をご利用いただきました。
 
 無料相談では、可能な限り一度、弊所事務所へおこしいただき、刑事事件に精通する弊所の弁護士に直接、今後の事件の見通しや、取調べなど捜査に対する対応についてのアドバイスを聞くことができます。
(※特に、取調べで話した内容は、全て「供述調書」として記録され裁判の証拠とされてしまうほか、これを後から覆すことは極めて困難です。
 そのため、逮捕・勾留されてしまった初動の段階で弁護士に相談し、どのようなことを話すかを方針立てておくかどうかによって、落ち着いて対応することができ、あいまいな供述や表現によって、殊更立場が悪くなってしまうことを避けることができます。)

 無料相談の後、正式にご依頼いただけたことから、警察署や検察庁などの捜査機関と早期から連絡を取ることができ、いち早く被害者様の情報を得ることができました。しかし、すでに被害者様は被害届を提出しており、当初は示談にも難色を示されていました。
 粘り強く交渉を重ね、Aさんは被害届を提出していなかったことから、Aさん側が被害届を提出しないことなども条件に加えつつ、長期にわたり慎重に示談交渉を繰り返した結果、示談を締結することができました。
 そして、その結果を踏まえて担当検察官と話し合いを重ねたところ、Aさんは不起訴処分となり、起訴されることなく事件は終息を迎えたのです。
 
 
 次々と連続して行われる刑事手続きの中で、事態の悪化を避けるためには、何よりもまず早期の段階で弁護士に相談・依頼し、適切な弁護活動のサポートを受けることが非常に重要です。

 今回のケースに限らず、ご自身や大切なご家族が、何らかの罪に問われてしまった場合、出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。
 また、弁護士に相談することにより、処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ、その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
取調べの対応方法や供述内容に対するアドバイスを受けることで、誤解を招くような供述を避けることが出来ます。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部の弁護士は日頃より刑事事件を数多く受任し、扱ってきた実績がございますので、どのような事件でも安心してご相談頂けます。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部のみならず、札幌、仙台、東京(新宿)、八王子、横浜、名古屋(本部)、大阪、京都、神戸、福岡と全国各地に事務所があり、初回無料の法律相談も行っておりますので、お困りの方は是非一度0120-631-881(24時間電話受付中)までお気軽にお電話ください。

ゴミ捨て場の自転車を持って帰るとどうなる?~千葉県木更津内の事件~

2023-06-16

 ゴミ捨て場に粗大ゴミとして出された自転車を「捨てられてるなら大丈夫」と自分のものにしてしまった場合、どのような罪に問われてしまうのでしょうか。
 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

~木更津市内での事件~

 Aさん(20代・学生)は、ある日のアルバイトから帰宅するとき、すでに日付が変わってしまっていました。
 アルバイト先から自宅まで歩いていると、ふと、ゴミ捨て場に無施錠状態の自転車が置かれているのを見つけました。
 自転車には木更津市が発行している粗大ゴミシールが貼られており、翌日、回収される予定のものだと一目でわかりました。
 そこでAさんは、「どうせ捨てられるのなら自分が乗って帰っても大丈夫だろう」と考え、その自転車を乗り出しました。
 多少錆びていましたが、パンクなどもしていない自転車をこぎ自宅へ向かっていたところで、警察官から呼び止められ、職務質問を受けてしまいました。
 そして、Aさんが他人の自転車を不当に持ち出したことがバレてしまったのです。

本件はフィクションです

~解説~

 今回のケースでは、ゴミ捨て場に粗大ゴミ回収のために置かれていた自転車の所有権(占有)がどうなっているのかが問題となります。

 ゴミとして捨てられているのだから、誰の持ち物でもないと考えると、占有離脱物横領罪(≒遺失物横領罪)が検討されます。

遺失物横領罪(刑法第254条)

 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する

 ここで言う他人の物とは、誰かの所有権に属する物であり、誰の所有物でもない物はこれに当たりません。
 従って、捨てられた物は元の持ち主が所有権を放棄した物とも見ることができ、これを勝手に持って帰っても、遺失物等横領の「他人の物」に当たらず,何の犯罪も成立しないのではないかとも考えられます。

「区民が,古紙等の資源を収集日に資源・ごみ集積所に排出するのは、これを再生利用の目的となる有価物のものとして。区の収集・回収によるリサイクル事業に委ねるためであるから、区又はその委託を受けた収集運搬業者が資源・ごみ集積所からこれを収集してその占有下に収めるまでは、一般に、区民は、なお継続してこれを所有占有しているものとみるべきである」

とされ,収集されるまでの間は,まだゴミを捨てた者に所有・占有があるものとされました。
 

 この判決以外にも、ゴミ捨て場に捨てられたゴミについては、収集されるまではゴミを捨てた者に所有・占有があるという下級審判決がいくつか出ています。
このように見ると,ゴミ捨て場からの持ち去りは、占有離脱物横領(≒遺失物等横領)の問題になり得るばかりか、窃盗の問題ともなり得るということになります。

窃盗罪(刑法第235条)

 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 
 仮に捨てられていたものであったとしても、誰かの所有物と認められた場合、窃盗罪や占有離脱物横領罪(≒遺失物横領罪)として罪に問われてしまう場合があります。
 起訴されてしまえば、当然、前科がつくことになってしまいますし、罰金や科料を収めたり、懲役刑に処されてしまう場合があるため、注意が必要です。

~警察官の職務質問とはなにか? 拒否することはできる?~

 警察官による職務質問を断ったからといって、すぐさま身柄を拘束されることはあり得ません。
 そもそも職務質問とは、犯罪の予防」「犯人の検挙」「犯罪の捜査のためのものであり、警察官職務執行法第2条
   1項 質問権
   2項 同行要求件
   3項 強制の禁止
   4項 凶器の送検

と、それぞれの方法や限界についてが明確に定められています。
 また、あくまでも職務質問は警察官が市民の同意を得て行っている任意の警察活動であり、職務質問を受ける人が承諾しなければ実施することが出来ません
 職務質問を断るのに特に理由は必要なく「質問に答えたければ答えても良い」というものなのです。
 しかしながら、何らかの嫌疑により職務質問を受けた場合には、公共の安全と福祉のため、不審点を解明することが警察の責務である以上、嫌疑が晴れるまで、職務質問が継続されることもあります
 疑われる要因が何もないのであれば断ることもできます。ただし、もし、何らかの嫌疑がかかっていた場合、職務質問を断ったことが、「逃走したり証拠を隠滅したりするかもしれない」という新たな疑いに変わってしまい、身柄が拘束される可能性もある、ということは覚えておいた方が良いかもしれません。

~ご家族が事件を起こしてしまったら~

 もし、ご自身や大切なご家族が何らかの事件を起こしてしまった場合、ぜひ、あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部へご相談下さい。
 
 お電話にてご予約後、弊所事務所へご来所いただき、刑事事件に精通した弊所の弁護士へ無料で相談することができます。
 無料相談の際には、事件内容を確認すると共に、今後行われる取調べの対応についてのアドバイスや、事件の見通しをお話させていただきます。事前に対応方法や見通し状況を把握しておくことで、落ち着いて対応することが出来るようになるかと思います。

 また、もし逮捕されてしまっていた場合は、有料での初回接見サービスをご利用いただけます。

 こちらは、お申込み後、最短即日、刑事事件に精通した弊所弁護士を逮捕されてしまったご家族のもとへ派遣し、事件内容確認や、今後の対応についてのアドバイス事件の見通しなどをお話させていただきます。

 刑事事件の被疑者として逮捕されてしまった場合すぐに警察の取調べなどの捜査が行われることになります。相談する相手のいない状況で一人で対応することは精神的な負担も大きく、また、逮捕され動揺しているときに曖昧な供述などでご自身の立場が殊更に悪くなってしまうおそれもあります。逮捕後すぐに弁護士と相談をすることで、そういった事態を避けることにも繋がります。 
 
 その後、もし、正式に弁護人としてのご依頼を頂いた際は、事件の終局に向けた示談活動や裁判に向けての準備など、ご本人様に科される刑罰が少しでも軽くなるための弁護活動を致します。

 無料法律相談初回接見サービスのご予約は、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間・年中無休で承っております。
 ご予約のお電話をお待ちしております。

【解決事例】ダウンロードした動画により逮捕~千葉県の児童ポルノ事案~

2023-06-13

今回は児童ポルノに関する違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

~事案概要~

Aさんは、インターネットの動画投稿サイト上に、見るからに未成年と思われる女児が性行為を行っている動画を見つけました。
もしかしたら、違法なものなのではないか、膨大な請求が来るのではないかと、Aさんはしばらく購入するかを躊躇していましたが、最後は欲求が勝り、動画を購入し、自身のパソコンにダウンロードしました。
購入した動画は自身で鑑賞するのみでしたが、後日、違法動画の捜査をしていた千葉県警察本部の警察官が捜索差押許可状を携えて自宅に来て、家宅捜索の後にAさんは、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反」の被疑者として逮捕されてしまうことになったのです。

※守秘義務の関係で一部事実と異なる記載をしています。

~解説~

 自分で児童(18歳未満の者)の動画を撮影したわけでも、直接児童に撮影させたわけでもなく、動画を購入し所持していただけなのに、逮捕されると聞いて驚かれた方もいるかもしれません。
 だいぶ記憶から薄れているかもしれませんが、2014年6月の法改正により、自身で鑑賞する目的で児童ポルノの動画や画像を所持していた場合など、単に所持していた場合(=単純所持)であっても処罰されることとなっているのです。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反

 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至ったものであり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る)は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
同法第7条1項

~そもそも「児童ポルノ」とは?~

 「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」の第2条3項で、児童ポルノ」とは次のように定義されています。

 この法律において、「児童ポルノ」とは、写真電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方法で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認知することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性的類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ刺激するもの

 法的な文言で考えると何を言っているのか分かり辛いかもしれません。
 まず、条文の冒頭では、児童(18歳に満たない者)の写真パソコンやスマートフォンなどの電子機器で再生(閲覧)可能なデータのことを指します。
 そういった、データでどのようなものが違反となるのかが、一から三の各号で記載されています。

 現在の日本の法律では、児童の健全な成長は重要な事項であると考えられており、当然、児童に対する保護法益も大きく、それらを侵害した場合には重い刑罰が科されることもあります。

~弁護士の活動~

受任後、Aさん自身が犯罪を繰り返さないよう、自身の欲求と上手に付き合っていけるようにご家族にもご協力いただき、クリニックでの診療を進めて頂きました。
また、Aさん自身も軽率な行動を深く反省しており、弁護活動としてもAさんには再犯可能性がないということを、検察官や裁判官にも理解してもらうために、Aさんの反省文を弁護士から送付しました。
さらに、反省の気持ちを行動でも表したいという希望から贖罪寄付についてもご案内させていただいたところ、是非行いたいとのことでした。
贖罪寄付(しょくざいきふ)とは、刑事事件を起こした方が、反省の気持ちを形にするために、自身で費用を検討・捻出して、慈善団体などに寄付を行い、犯罪被害者支援などの公益活動に役立ててもらうことです)

 そうした結果を検察庁へ提出し協議を重ねたところ、Aさんは懲役刑に処されることなく、罰金30万円という刑で事件を収束させることが出来たのです。

今回のケースに限らず、ご自身や大切なご家族が、何らかの罪に問われてしまった場合、出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

いち早く弁護士に相談することにより、処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ、その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
また、取調べの対応方法や供述内容に対するアドバイスを受けることで、誤解を招くような供述を避けることが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は日頃より刑事事件を数多く受任し、扱ってきた実績がございますので、どのような事件でも安心してご相談頂けます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は千葉県内のみならず、全国各地に事務所があり、初回無料法律相談も行っておりますので、お困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。

学校の黒板に落書きをして事件に~千葉県我孫子市の侮辱事件~

2023-06-09

<事案概要>

 Aさんは我孫子市内の学校に通う高校生でした。
 ある日、Aさんは友達グループ内のVさんと喧嘩をし、その腹いせとして「Vはバカ!ブス!ぶりっこ!あばずれ!」などVさんを侮辱する言葉を自身のクラスの黒板一面にチョークで書き込み、そのままにして帰宅しました。
 この書き込みはすぐに、学校中で問題となり、Vさんの親が警察に相談したことを知り、Aさんはどうしたらよいのかわからず、親御さんに相談をして、弁護士にアドバイスをもらうことにしました。

※本件事例はフィクションです。

~解説~

このようなケースの場合、Aさんはどのような罪に問われてしまうのか、あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
今回のケースですと、Vさんを誹謗中傷し、侮辱する内容を、学校の教室という不特定多数の人の目に着く場所に書いたということで侮辱罪が成立すると考えられます。

侮辱罪

 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
(刑法第232条)

 侮辱罪に対する罰則は当初、「拘留又は科料に処す」とだけ定められていましたが、令和2年に「厳罰化すべき」という意見から、議論が繰り返され、昨年(令和4年7月7日)改正法が施行されました。
 侮辱罪について刑が一段階重くなったことで、侮辱罪を理由とした逮捕が行いやすくなったという面もあります。

 また、侮辱罪と似た、他人の名誉を傷つける行為を行った人を処罰する法律として、「名誉毀損」という犯罪もあります。

名誉棄損罪

 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
(刑法第230条)

 この二つの罪種の違いとして、「侮辱罪」は事実でないことを公表し,他人の社会的地位を貶めること(社会的地位を貶めるのに公表した内容について事実であることを必要としない)で成立し、「名誉毀損罪」は他人の社会的地位を失墜させるに足りる事実を公表すること(公表した内容が事実である場合)によって成立すると考えられています。
 また、ここで言う「人」とは、生きている人に対してだけでなく、企業や会社なども含まれます。

 今回、Aさんは、具体的な事実ではなく抽象的にVさんを誹謗中傷して貶めるような内容を、その内容の真偽は問わず教室の黒板に書き、多数の者が目にする状況で公示したため、侮辱罪が成立すると考えられます。

~事務所紹介~

 今回のケースに限らず、ご自身や大切なご家族が、何らかの罪に問われてしまった場合、出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

 いち早く弁護士に相談することにより、処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ、その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
 また、取調べの対応方法や供述内容に対するアドバイスを受けることで、誤解を招くような供述を避けることが出来ます
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放置自転車に乗って逮捕⁉~千葉市内の窃盗事件~

2023-06-06

 駅周辺の道路上や商業施設、郊外の土手などに、何か月も自転車が放置されているのを目にしたことがある方も多いと思います。
 では、その自転車を「捨てられてるなら大丈夫」と自分のものにしてしまった場合、どのような罪に問われてしまうのか、あいち刑事事件総合法律事務所千葉が解説します。

~千葉市内での自転車盗事件~

 Aさんは会社の帰りに同僚らと飲酒をしていました。
 話が盛り上がり、解散して自宅近くの稲毛駅に到着したときには、すでに日付が変わってしまっていました。
 翌日も仕事があるAさんは、一刻も早く家に帰ろうと駅を出たとき、道路上に鍵が壊れた状態で放置されている自転車が目に留まりました。
 自転車の状態はフレームも錆びて、鍵も壊れていたことから、Aさんは、その自転車が捨てられているものだと思ったのです。

 そして、「どうせ捨てられているなら自分が使っても問題ない」という考えが頭に浮かび、その自転車に乗って自宅まで帰ることにしたのです。
 自転車に乗ってしばらく進んでいると、突然、バイクに乗った警察官に声を掛けられ、職務質問を受けることとなってしまいました。
 Aさんは、自転車を調べられてはまずいと思い、警察官の職務質問を振り切って逃走しましたが警察官に確保され、泥酔者として保護されてしまいました。
 千葉北警察署の保護施設で一夜を明かし、目が覚めたAさんの保護は解除されましたが、警察官から突然、逮捕状を示され、窃盗事件の犯人として逮捕されてしまいました。

※ 本件事例はフィクションです。

解説

 放置されていた自転車を自分のものとして使用したAさんは、はたしてどのような罪に問われてしまうのでしょうか。

  道路上に放置されていたとはいえ、Aさんのものではない第三者の自転車を乗り出した(≒盗んだ)Aさんですから、まず第一に窃盗の容疑で捜査される可能性は高いと考えられます。

窃盗罪

窃盗罪(刑法第235条)

他人の財物窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 しかし、窃盗罪が成立するためには、被害品となった財物(価値のあるもの)に対する「被害者(≒所有者)」の占有が残っているかがポイントとなっています。
 例えば、自転車の場合、あなたが使い終わって家の駐輪場に停めていたのであれば、その自転車は、あなたの管理下(占有)にあると言えます。したがって、あなたの家の駐輪場から自転車が持ち去られてしまった場合、その犯人は窃盗罪に問われるでしょう。
 
 ですが、自転車をあなたが外出先のどこかに忘れてきてしまったとします。
 そして、あなたが自転車で外出していたことを忘れ、別の方法で帰宅してしまいました。
 そうした状況下にある自転車は、当然あなたの持ち物であることには変わりありませんが、法律上では、自転車があなたの管理下(占有)にあるとは言えなくなってしまいます。
 管理下にないあなたの自転車を犯人が見つけて乗って行ってしまった場合、この犯人は窃盗罪ではなく、次に説明する「遺失物横領罪(≒占有離脱物横領罪)」の罪に問われてる可能性が高くなります。

遺失物横領罪

遺失物横領罪(刑法第254条)

 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

 窃盗罪と比較すると刑罰は軽いように思えるかもしれませんが、犯罪は犯罪です。起訴されてしまえば、当然、前科がつくことになってしまいますし、罰金科料を収めたり、懲役刑に処されてしまう場合があります。

 犯罪を犯してしまった場合、いち早く、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

~ご家族が逮捕されてしまったら~

 もし、大切なご家族が逮捕されてしまった場合、ぜひ、あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用下さい。
 
 こちらは、ご依頼後すぐに警察署に刑事事件に精通した弊所の弁護士を派遣し、逮捕されてしまった方と面会をさせていただきます。
 初回接見の際には、事件内容を確認すると共に、今後行われる取調べの対応についてのアドバイスや、事件の見通しをお話させていただきます。事前に対応方法や見通し状況を把握しておくことで、落ち着いて対応することが出来るようになるかと思います。
 
 その後、もし、正式に弁護人としてのご依頼を頂いた際は、示談締結に向けた活動や裁判に向けての準備など、ご本人様に科される刑罰が少しでも軽くなるための弁護活動を致します。

 逮捕はされておらず、在宅で捜査が行われている方であれば、一度、弊所事務所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。

 初回接見のご依頼や、無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間・年中無休で承っております。
 ご予約のお電話をお待ちしております。

窃盗の見張り役~犯罪の共犯とは~

2023-05-26

今回は、窃盗犯の見張り役として加担した場合を例に、どのような行為が犯罪の共犯(共犯者)について、あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

【事例】

千葉県銚子市に在住のAさん(20代男性)はあるとき、知人のBさん(20代男性)から「盗んだ金の半分を渡すから、銚子市内の店に盗みに入った際の見張り役をしてくれ」と頼まれました。
Aさんは、見張りをするだけでお金がもらえるのならと考え、見張り役を承諾し、その日の夜、Bさんが侵入した店の出入口付近で、通行人や警察官などに気付かれないかを見張っていました。
Aさんは、しばらくして、店の金庫から現金50万円を盗み終えて出てきたBさんと合流すると、店から離れたコンビニエンスストアの駐車場でBさんから現金25万円を受け取り、解散しました。


数日後、Bさんは窃盗罪の被疑者として、千葉県銚子警察署に逮捕されてしまいました。
その後の捜査から、Aさんの事件への関与も発覚し、Aさん自身も共犯者として窃盗罪で逮捕されることとなりました。

本件事例はフィクションです。

【解説】

今回の事例では、Bさんには、「お店の現金50万円を盗んだこと」による窃盗罪(刑法第235条)と、盗みをはたらくために店舗に侵入したこと、すなわち「正当な理由なく、他人の管理する店舗に侵入したこと」による建造物侵入罪(刑法第130条)が成立する可能性が高いといえます。
そして、店の出入口付近で見張り役をしていたAさんは、Bさんに成立する犯罪の共犯になると考えられます。
以下では、共犯の詳細について解説します。

1 共犯とは             

犯罪は、1人の行為によって実現されるとは限りません。
複数のものによって犯罪が行われるケースは少なくありません。
共犯」とは、広い意味では、2人以上で犯罪を行う場合を意味します。

また、一口に共犯といっても、共犯には、必要的共犯任意的共犯の2種類があります。
必要的共犯とは、犯罪の性質上、初めから2人以上の行為を予定して定めされている犯罪をいいます。

例えば、選挙や大規模イベント誘致などの際に話題となる賄賂罪ですが、これは送る側と受け取る側、すなわち贈賄罪と収賄罪が一対として成立するために必要であることから、必要的共犯の関係にあると考えられています。

一方で、任意的共犯とは、法律上単独の行為を予想して定められている犯罪を2人以上の行為者が協力して実現する犯罪をいいます。

必要的共犯と言われるケースの犯罪はあまり多くなく、一般的でないことから、今回は、任意的共犯に絞って共犯の解説をいたします。
以下、任意的共犯を共犯と記載

2 共犯の種類             

共犯には以下のような種類があります。

刑法第60条1項 共同正犯

2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

正犯とは、「自ら犯罪を実行すること」を意味します)

刑法第61条 教唆

1項  人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2項  教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。

教唆とは「唆す(そそのかす)」こと)

刑法第62条 幇助

1項  正犯を幇助した者は、従犯とする。
2項  従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。

幇助とは、正犯の犯罪を実行しやすいように手助けすること)

従犯とは・・・正犯の犯行を行いやすいように手助けをすること(幇助犯)を意味します。

(従犯は「犯行を実行しやすくなる」場合を指しますので、犯行後に凶器を預かったり、逃走の手伝いをする行為は該当しないとされます。ただし、犯行前に「犯行後の面倒を見てやる」などと声を掛けることは正犯を精神的に楽にする(=実行しやすくする)と解される場合があり、精神的幇助として問われる場合がります。)

共同正犯は「犯罪を一緒にやる

教唆犯は「犯罪をそそのかす

幇助犯は「他人の犯罪の手助けをするというようなイメージです。

今回の事例では、AさんはBさんから事前に犯罪行為であることを聞かされており、事件後にはBさんが盗んだ現金の半分を分け前として受け取り、現場へも帯同していることなどの犯罪に関与した度合いから、自身の犯罪として評価されればAさんは共同正犯になる可能性があります。

また、犯罪に関わった状況によっては共犯性を否定されたり、幇助犯となったりする可能性もあります。

そのため、ご自身の行った行為がどういった立場にあたるのか、取調べなどで曖昧な供述を避けるためにも、一度、弁護士に相談し、今後の対応について検討してみることが大切です。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部共犯について解説しました。
共犯にあたるかどうかには、具体的な状況を踏まえた上での高度な法律的専門知識を必要とします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件・少年事件を数多く扱う法律事務所です。

なんらかの事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方など、在宅で捜査が行われている方であれば、弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。

また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして、今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。
千葉県内及び周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方は、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご連絡ください。

無料相談、初回接見サービスをご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120-631ー881でご予約をお取りできますので、ご連絡をお待ちしております。

未成年者を誘拐した男を逮捕~成立する犯罪と法定刑②~

2023-05-23

今回は、前回に引き続き、未成年者を連れ出したことで成立する可能性のある犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が事例を用いて解説いたします。

【事例】

未成年者誘拐事件で男を逮捕(千葉県市川警察署)
千葉県市川警察署は、2月3日、当時16歳の女性をSNSを使用して誘い出し、18歳未満の少年であると認識していながら自動車に乗車させて連れ去り、同月5日までの間、自宅等に滞在させた自称システムエンジニアの男(27歳)を3月17日逮捕しました。
男は、SNS上に「家でしたい」等と投稿していた女性に対し,メッセージ機能を使い「話を聞くよ?泊めてあげるからおいでよ」などと送り、自宅付近の駅まで誘い出したとのことです。
16歳女性が自宅に帰らず、連絡も繋がらないことから不審に思った女性の家族が、千葉県市川警察署に届け出をしたことで捜査が開始されました。女性に怪我はないとのことです。

本件事例は千葉県警察ホームページに掲載された事案を基にしたフィクションです

【解説】

前回は未成年者誘拐罪について解説してきました。

仮に未成年者を略取・誘拐したとは認められなくても、検挙されてしまう場合があることを、補足として解説していきます。

略取・誘拐したと認められなかったとして一体、どういった罪に問われてしまうのでしょうか。

それは、各都道府県が制定している青少年健全育成条例違反です。

今回は千葉県青少年健全育成条例をご紹介します。

1 千葉県青少年健全育成条例の紹介       

千葉県青少年健全育成条例は、「青少年の健全な育成のため、必要な環境の整備を図り、あわせて青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止すること(千葉県青少年健全育成条例第1条より抜粋)」を目的として制定されました。

この条例ではそれぞれ青少年(≒未成年者)と保護者をそれぞれ次のように定められています。


(1) 青少年 小学校就学の始期から18歳に達するまでの者をいう。
(2) 保護者 親権を行う者、未成年後見人、児童福祉施設の長、寄宿舎の舎監、雇用主その他の者で、青少年を現に保護監督するものをいう。

他都道府県とは青少年の定義が少し異なっており、例として、東京都や埼玉県では「18歳未満の者」と定められている点が異なります。

2 未成年者の連れまわし            

今回の事例にあてはめた場合、仮に略取・誘拐に問われなかったとしても、千葉県青少年健全育成条例違反に該当する可能性があることは、先にお説明をした通りです。

千葉県青少年健全育成条例では、未成年者(≒青少年)を連れまわすことを次のように規定しています。

千葉県青少年健全育成条例 深夜外出の制限

第23条
保護者は、特別の事情がある場合を除き、青少年を深夜(午後11時から翌日の午前4時までをいう。以下同じ。)に外出させないように努めなければならない。

第23条の2
何人も、威迫し、若しくは欺く等不当な手段により、又は保護者の委託若しくは承認その他正当な理由がなく深夜に、青少年を連れ出し、同伴してはいかいし、又はとどめてはならない

罰則

第23条の2の規定に違反した者は、20万円以下の罰金又は科料に処する

この条文では、未成年者(≒青少年)を深夜に外出させることを制限しています。

未成年者(≒青少年)本人の同意があったとしても、保護者の方からの許可がなければ罪に問われてしまう可能性が高く注意が必要です

仮に、未成年者(≒青少年)が午後11時以降に「外出をしたい」と言っていたとしても、保護者であれば外出を止めなければなりません。

保護者以外の人であれば、深夜(午後11時から翌日の午前4時までの間)であるにもかかわらず、未成年者(≒青少年)連れ出したり、保護者の許可なく、無断で自宅に泊めるなどをした場合、千葉県青少年健全育成条例違反に問われる可能性があります。

罰則は20万円以下の罰金又は科料と、そこまで重くないと感じるかもしれませんが、起訴されてしまえば前科がつくことには変わりがありません。

そのため、未成年者誘拐罪に問われなかったからといっても慢心せず、一度、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめしています。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部未成年者誘拐罪千葉県青少年健全育成条例違反について解説致しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件を数多く扱う法律事務所です。

千葉県内及び周辺地域に在住の方で、刑事事件の被疑者、容疑者として捜査されているという方は、是非一度、弊所の初回無料相談をご利用下さい。

また、現在、ご家族やご友人が逮捕、勾留されてしまっている方には初回接見サービス(有料)もございます。こちらは、お申込み後、最短当日中に逮捕されてしまった方と弊所弁護士が接見をし、今後の対応等についてアドバイス等を行います。

初回無料相談、初回接見をご希望の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル0120‐631‐881までご連絡ください。

未成年者を誘拐した男を逮捕~成立する犯罪と法定刑①~

2023-05-20

今回と次回は未成年者を連れまわした場合に問われる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が事例を用いて解説致します。

【事例】

未成年者誘拐事件で男を逮捕(千葉県市川警察署)
千葉県市川警察署は、2月3日、当時16歳の女性をSNSを使用して誘い出し、18歳未満の少年であると認識していながら自動車に乗車させて連れ去り、同月5日までの間、自宅等に滞在させた自称システムエンジニアの男(27歳)を3月17日逮捕しました。
男は、SNS上に「家でしたい」等と投稿していた女性に対し,メッセージ機能を使い「話を聞くよ?泊めてあげるからおいでよ」などと送り、自宅付近の駅まで誘い出したとのことです。
16歳女性が自宅に帰らず、連絡も繋がらないことから不審に思った女性の家族が、千葉県市川警察署に届け出をしたことで捜査が開始されました。女性に怪我はないとのことです。

本件事例は千葉県警察ホームページに掲載された事案を基にしたフィクションです

【解説】

本件事例で逮捕されてしまった男は,どのような罪に問われてしまうのでしょうか。
まず考えられるのは未成年者誘拐罪です。

1 未成年者誘拐罪とは?
未成年者誘拐罪とは、刑法第224条に定められている犯罪です。

未成年者略取及び誘拐(刑法第224条)

未成年者略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

誘拐と聞くと、テレビドラマなどのイメージから身代金目的に、児童を車などに押し込んで連れ去る犯行などと思う方も少なくないかと思います。
実際にそうした犯罪も発生していますが、そういった事案の場合は車に「押し込む」という暴行を加えて連れ去っていることから、区別するためにも「略取」と言われています。

本件のように「話を聞くよ」や「家に泊めてあげる」などの甘言を用いて児童を誘惑して連れ出した場合が「誘拐」に該当します。

2 未成年者誘拐罪の成立要件
未成年者誘拐罪の成立要件は以下のようになります。

①「未成年者」を
②「誘拐」した
未成年者であることの認識(故意)

「未成年者」とは、18歳未満の者を指します(民法4条)
誘拐」とは、先ほども少し触れましたが、欺罔・誘惑などの手段を用いて、他人をその生活環境から不法に離脱させ、自己又は第三者の事実的支配下に置くことを意味します。
本罪は、未成年者であることを認識していた必要があり、未成年者を成人であると誤認していた場合には、本罪の故意は認められません。
しかし、認識といっても、未成年者の年齢をズバリ言い当てる必要まではないとされ、見た目や言動など何らかの要因から「未成年者かもしれない」と感じた場合(≒未必の故意)でも、未成年と認識していたと認められる場合もあります。

欺罔・誘惑等の行為は、必ずしも被害者本人(未成年者)に対して為される必要はなく、監護者に加えされた場合でも「誘拐」になりえます

3 未成年者本人の同意があってもだめ?

未成年者誘拐罪は、未成年者本人の同意があったとしても、罪を免れることはできません

今回の事例では、同意を得た上で16歳の女性という「未成年者」を未成年者であると認識しながら誘い出し、車で移動して自宅に滞在させたと考えられますが行為が、16歳の女性の保護者などには了承を得ていなかったと考えられるため「誘拐」と評価されると考えられます。

4 未成年者誘拐罪の法定刑

未成年者誘拐罪の法定刑は「3月以上7年以下の懲役」と規定されています。
罰金刑の規定がないため重い罪であるとも言えます。

次回は、同じく未成年者を連れまわしたことによって問われる可能性のある「青少年健全育成条例」についても併せて解説致します。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部未成年者誘拐事件について解説致しました。
未成年者誘拐罪は、たとえ未成年者本人の同意があったとしても、罪を免れるわけではないので、「お互い了承の上だったので問題ないと思った」というような言い分は通用しないので注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、平素から刑事事件を数多くに扱う法律事務所です。
千葉県に在住の方で、ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。

無料相談や初回接見をご検討の方は、24時間365日受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)まで是非一度ご連絡ください。

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