警察官が職務執行で訴えられて被疑者に~千葉県の特別公務員暴行陵虐罪事件~

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部特別公務員暴行陵虐罪について事例をもとに解説いたします。

【事例】

千葉県我孫子市在住のAさん(30代男性)は、千葉県内の警察署に勤める警察官でした。
勤務中のある日、Aさんはコンビニで暴れている男性がいるとの通報を受け現場に臨場した際に、コンビニ店員の男性を殴り、その後もレジカウンターを蹴るなどして暴れているVさん(男性70代)を発見しました。
Aさんは、すぐさまVさんを暴行の現行犯人と認め、柔道の払い腰の要領でVさんを床に投げて押さえつけVさんを逮捕しました。Vさんは逮捕後もしばらく暴れていたためVさんの上に乗り制圧状態を継続し、その後、Vさんが暴れるのをやめた後も長時間、店舗の床に押し付けました。
後日、釈放されたVさんが逮捕当時、床に長時間押し付けた行為について告訴したため、Aさんは特別公務員暴行陵虐罪の疑いで、千葉県警察本部で取り調べを受けることになりました。

事例はフィクションです

【解説】

警察官として店員に暴行を加え、なおも暴れ続けたVさんを制圧逮捕したAさんが問われてしまった公務員特別暴行陵虐罪とはいったい何なのか、解説いたします。

1 特別公務員暴行陵虐罪とは?

特別公務員暴行陵虐罪とは、刑法第195条に規定されている犯罪です。
警察官などの一定の公務についている者が、被告人や被疑者、その他、事件関係者などに暴言を浴びせたり、暴行を加えた場合に問われる犯罪です。

特別公務員暴行陵虐罪 刑法第195条

1項

 裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、7年以下の懲役又は禁錮に処する。

2項

 法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする。

1項では、裁判官や裁判所事務官、検察官や検察事務官など裁判所や検察庁で職務に従事する方、警察官や警察事務官などが該当します。
それに対し2項では、服役中の方の看守をする刑務官やなどが該当する違いがあります。

いずれにせよ、司法に関係する職務を行う者が被疑者などに対して暴行などの加虐行為を行った場合が該当することになります。
そのため、本件事例のように警察官が職務執行中に暴行を加えれば、特別公務員暴行陵虐罪の罪に問われる場合がありますが、一方で、警察官であってもプライベートや休暇中など、職務とは関係のない場所で誰かを殴った場合、特別公務員暴行陵虐罪ではなく、暴行罪傷害罪に問われることになります。

またここでいう「暴行」とは、殴る蹴るなどの人の身体に対する直接的なな有形力の行使の他、着衣を破るや警棒などを対象者の近くの壁や床に投げつけるなど間接的な暴行も含まれると考えられています。
陵辱若しくは加虐」とは、暴行以外の方法で精神的肉体的苦痛を与える虐待行為を意味します
例えば、不当に胸や陰部などの体を触りわいせつな行為をする、食事をさせない、トイレに行かせない、侮辱的発言を浴びせるなどがこの行為にあたります。

※2項の罪を犯して人を死亡させたり、傷害を負わせた場合は特別公務員職権濫用等致死傷罪(刑法196条)が成立しより重い刑に処されます。

特別公務員職権濫用等致死傷罪 刑法第196条

前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する

前2条とは「特別公務員職権濫用罪(刑法第194条)」と「特別公務員暴行陵虐罪(刑法第195条)を指します)

【もし、罪に問われてしまったら・・・】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が警察官などが被疑者等に暴行を加えた場合に成立する特別公務員暴行陵虐罪について解説いたしました。

公務員はその性質上、一度、問題となり捜査を受けた場合、組織対応を名目に、職員が独断で行動することに待ったをかける傾向もあります。
そのため、相談することが遅れ、被害者様へ対し適切な対応をすることができなかった結果、起訴されてしまったり裁判となり刑が確定し懲戒処分となってしまうケースも少なくありません
組織が対応してくれる、守ってくれると過信せずに、一度、ご自身で法律の専門家である弁護士に相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件を数多く受任してきた法律事務所です。
そのため、多種多様な刑事事件の経験が豊富な弁護士が所属しております。

刑事事件に精通した弁護士に相談することにより、処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ、その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
また、取調べの対応方法や供述内容に対するアドバイスを受けることで、誤解を招くような供述を避けることが出来ます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は日頃より刑事事件を数多く受任し、扱ってきた実績がございますので、どのような事件でも安心してご相談頂けます。
 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は千葉県内のみならず、札幌、仙台、さいたま、東京(新宿)、東京(八王子)、横浜、名古屋(本部)、大阪、京都、神戸、福岡と、全国各地に事務所があり、事務所へお越しいただいての初回無料法律相談も行っておりますので、お困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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