千葉県木更津市の恐喝事案 懲戒処分を避けるには

 千葉県木更津市内での事例を基に、恐喝事件についてあいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

~事案概要~

 Aさん〈40代・男性)は千葉県木更津市内の駐屯地で勤務する自衛官でした。
 ある日、勤務が終わり駐屯地で待機していたところ、部下のVさん(20代・男性)が千葉県木更津警察警察官の職務質問を受け、仕事でも使用していたナイフを所持して状態で繁華街で遊んでいたため、警察署で話を聞いていると、千葉県木更津警察署から連絡があり、Aさん自身も電話で警察官から話を聞かれることになりました。
 Aさんが説明したことでVさんは解放されることになりました。その後、Vさんが駐屯地へ戻ってきたので、Aさんは注意するためにVさんを呼び出しました。
 Aさんは上司として、Vさんを注意しましたが、Vさんへの怒りが収まらず、Vさんに対し「俺はお前の人生を守った。お前の人生の価値はいくらだ」と怒鳴りつけました。
 するとVさんがAさんに対して15万円を現金で渡すといい、差し出してきたため、Aさんはそのお金を受取ったのです。
 後日、Vさんが別の上司に相談したところ、事態を重く見た上司から警務隊(*2)へ報告がされ、恐喝事件として調査されてしまうことになってしまいました。

※1 本件事案はフィクションです。
※2 警務隊とは自衛隊内で警察としての役割を担う部署で、特別司法警察職員(一定の権限を付与され、捜査権を持つ警察職員)として、自衛隊内の犯罪捜査や予防など、自衛隊内の秩序維持に寄与する活動を行います。

~解説~

 今回の事案でAさんが問われてしまった恐喝罪とはどのような犯罪なのかを解説していきます。

恐喝罪 刑法第249条

1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 恐喝とは相手方に対して暴行又は脅迫を手段として相手を畏怖させ、畏怖した心理状態で財物(金銭等財産的価値のあるもの)を交付させることを言います。
 ここで言う脅迫とは、相手方を畏怖させる(恐怖を感じる)ような害悪の告知することを指します。
 今回、Aさんは「俺はお前の人生を救った。お前の人生の価値はいくらだ」とVさんを怒鳴っています。
 文字で見る限りでは、一見して害悪の告知(≒危害を加えることを伝える)したとは見えないかもしれません。
 しかし告知した害悪の内容がそれ自体違法でなくても財物を交付させる不当な手段として用いる時は恐喝行為となります。

 本件事案では、職場内での立場(上司と部下の関係)を考えると、上司に逆らうことは出来ない、申し出を断ったらもっと上の人に報告をされ、自身の職場での立場が悪くなったり、処分を受ける可能性があると、容易に考えることができるかと思います。
 したがって、今回のAさんの発言により、Vさんが畏怖の念を抱き、15万円のお金をAさんへ渡したことは、恐喝罪が成立する可能性が高いといえます。

 恐喝における暴行又は脅迫は、被害者の反抗を抑圧する程度にいたらない、抵抗できないほどではないものを指します。
 この暴行又は脅迫が相手方の反抗を抑圧するに足りうる程度の強度のものになると、強盗罪(刑法236条)が適用されることになります。

強盗罪 刑法第236条

1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 強盗罪についてはまた別の機会に詳しく解説します。

~恐喝事件の刑事弁護~

 上記のように恐喝罪の法定刑には罰金刑の定めがありません
 そのため起訴されてしまうと必ず刑事裁判を受けることになり、実刑判決が下されれば刑務所に服役することになってしまいます。

 そのような事態を避けるためには被害者との示談交渉が必要になってきます。
 金銭的な被害がある場合は、被害額の弁償などを内容として、検察官が処分を決定する前に示談を速やかに締結することが重要です。

 特に、Aさんは自衛隊員ということもあり、刑事事件として扱われて起訴されてしまうと懲戒処分の対象となってしまいます。
 また、起訴猶予などであっても職を失ってしまうおそれがあるため、事態は急を要します。
 自衛隊や警察官など、公務員の立場にある人が、なんらかの事件を起こしてしまった場合、組織として対応がされるため、自宅謹慎や出勤停止などが言い渡されることもあります。
 その間に、「組織として対応してくれるから」と安易に考えてしまったり、ご自身だけで対応してしまうと事態が思わぬ形で悪化してしまうケースも多く聞きます。
 そのため、もし万が一、何か事件を起こしてしまった場合、一度、法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めしています。

 いち早く弁護士に相談することにより、処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ、その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
 また、取調べの対応方法や供述内容に対するアドバイスを受けることで、誤解を招くような供述を避けることが出来ます。
 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は平素から刑事事件を数多く受任し、扱ってきた実績がございますので、どなた様でも安心してご相談頂けます。
 また 千葉県内限らず、北海道札幌市、宮城県仙台市、埼玉県さいたま市、東京都新宿区、東京都八王子市、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市(本部)、大阪府大阪市、京都府京都市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市と、全国各地に支部があり、お近くの事務所へご来所いただき初回無料の相談を実施しています。

 また、逮捕されてしまった場合、警察署へ弁護士を派遣する初回接見サービスもございます。
 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では24時間、年中無休でご相談のご予約をお取りできます。

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