今回は、SNSに大学生ら2人を誹謗中傷した内容の動画を投稿し、2人の名誉を毀損したとして自称YouTuberが逮捕された名誉毀損事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
<事案概要>
インターネット上の動画で男子大学生らを誹謗(ひぼう)中傷したとして、千葉南署は9日、名誉毀損(きそん)の疑いで千葉市緑区在住の自称ユーチューバーの男性A(25)を逮捕しました。
Aは登録者数約21万人のユーチューブチャンネル「X(仮名)」を運営していました。
逮捕容疑は6月23日、Xで、静岡県在住の大学生の男性B(21)と千葉市在住の女子中学生B(15)がAを殺害する計画を立てたなどの内容の動画を投稿し、2人の名誉を毀損した疑いです。
同署によると、Aは「名誉毀損するつもりはなかった」などと容疑を一部否認しています。
(※11/9に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「【速報】自称YouTuberの男、名誉毀損疑いで逮捕 動画で大学生らを中傷 登録者約21万のチャンネル「けいれぶの家」運営 千葉南署」記事の一部を変更して引用しています。)
<名誉毀損罪とは>
名誉毀損罪については、刑法第230条で以下のように規定されています。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
(第2項省略)
名誉毀損罪は、「公然」と「事実を摘示」し、「人の名誉を毀損した」場合に成立します。
「公然」とは、不特定多数の人が認識できる状態を指します。
また、複数の人に言いふらしたり、話した相手が少数であったとしても、そこから不特定多数の人に話が広がったりした場合も「公然」に該当します。
「事実の摘示」とは、相手(被害者)の社会的評価を害するような内容を指します。
ただ、「事実の摘示」に該当する内容については、事実であるかどうかは関係ありません。
「事実の摘示」があった時点で名誉毀損罪の成立要件に該当するため、事実無根の内容であったり、すでに周囲が知っているような事実であっても、名誉毀損罪が成立する可能性があるということです。
「人の名誉を毀損した」とは、「事実の摘示」によって相手の社会的評価を害したことを指します。
実際に社会的評価が害されていなくても、社会的評価を害するおそれがあると判断されれば、「人の名誉を毀損した」に該当します。
ここでいう「人」は、私人だけでなく法人も含まれているため、会社などの名誉を毀損した場合も名誉毀損罪が成立する可能性があります。
以上3つの要件を満たすことで名誉毀損罪が成立しますが、摘示した事実が「公共の利害に関する事実」であり、その目的が「公益目的」によるもの、さらに摘示した事実の内容が「真実」であれば、例外として、名誉毀損罪で処罰されないというケースもあります。
<SNSの誹謗中傷は名誉毀損罪が成立する?>
YouTubeやX(旧:Twitter)のようなSNSは、投稿した内容が不特定多数の人が認識できるため、名誉毀損罪の成立要件である「公然」に該当します。
また、特定の誰かや会社などに対する誹謗中傷は、「人の名誉を毀損」するおそれがある「事実の摘示」に該当する可能性があります。
つまり、SNSでの誹謗中傷は、名誉毀損罪の成立要件を満たすことになるので、名誉毀損罪が成立する可能性があるということです。
名誉毀損罪による刑事事件を起こしてしまうと、3年以下の懲役刑か禁固刑または50万円以下の罰金刑で処罰される可能性があります。
SNSを普段から利用している人が多い現代では、いつ誰が名誉毀損罪の加害者になってもおかしくありません。
ある日、警察から「あなたに名誉毀損罪の疑いがかけられているので署に出頭してほしい」といった連絡が突然来る可能性もあります。
そのような際には、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名誉毀損罪はもちろん、様々な刑事事件で弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。
千葉県内で名誉毀損罪の疑いで警察から連絡が来たという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。
初回の法律相談は無料でご利用できますので、ご予約の際は24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120ー631−881)までご連絡ください。