詐欺事件で保釈請求③

詐欺事件で保釈請求を行うケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

【ケース】

Aさんは,知人であるBさんからの誘いを受け,あるバイトをすることになりました。
そのバイトの内容は,「民事訴訟最終通達書」と題する文書を葉書に印刷し,その葉書を投函するというものでした。
葉書に印刷された文書は「訴訟告知センター」という架空の団体名義(押印つき)であり,民事訴訟が提起されていること,記載してある連絡先に連絡しなければ強制執行が行われることなどが書かれていました。
そして,実際にこの葉書を見て連絡した人が,電話の相手に言われるがまま口座に金銭を振り込むという詐欺事件も起きていました。
Aさんは,バイトが詐欺に関するものだとうっすら気づいていましたが,時給が良いという理由で続けていました。
そうしたところ,Aさんは有印私文書偽造罪の疑いで我孫子警察署に逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は,今回の件で詐欺罪に問われる可能性を伝えたうえで,身柄解放の手段として保釈について説明しました。
(フィクションです。)

【保釈制度の概要】

「保釈」という言葉は,たとえば芸能人が逮捕された事件に関するニュースなどで耳にすることがあるのではないかと思います。
今回の記事では,保釈について詳しく見ていきます。

保釈とは,一定額の金銭を裁判所に預けるのと引き換えに,少なくとも判決が下されるまで身体拘束を解いてもらうという手続です。
逮捕された直後から行えるわけではなく,起訴されて被告人となった段階ではじめて可能となるものです。

保釈に至るまでの流れは,①裁判所に対する保釈請求,②裁判所による保釈の許可,③保釈保証金の納付,④保釈,というかたちになっています。
まず,保釈の許可を受ける前提として,裁判所に対して保釈請求をしなければなりません。
請求を受けた裁判所は,保釈請求書や事件記録の内容に基づき,法律上保釈を許可しても差し支えないか審査することになります。
もし裁判所が保釈を認めてもよいと判断した場合,保釈の許可決定と保釈保証金の額を伝えられます。
その伝達を受けたら,裁判所にて保釈保証金の納付の手続を行い,それが正常に処理されてはじめて保釈に至ります。

保釈の際に預けた保釈保証金は,被告人が逃亡や証拠隠滅などの特定の行動に及ぶと没収されるおそれがあります。
そして,保釈保証金は個々人の経済力などを考慮して高額と感じるような金額が設定されるため,被告人としては逃亡や証拠隠滅などを図りづらくなります。
このようなかたちでいわば担保が存在しているからこそ,逃亡などに及ぶ可能性が低いとして身柄解放が比較的認められやすくなっているのです。
起訴前の段階では身柄解放の実現が難しい事案でも,保釈による身柄解放であれば実現する可能性があるということは珍しくありません。

上記のとおり,保釈保証金は没収のリスクにより被告人の逃亡などを防ぐ役割を果たします。
そのため,被告人が逃亡などに及ぶことなく無事に判決が下された場合には,一定の期間を置いて最終的に返還されます。
この点は,たとえ被告人が刑務所へ入ることになったとしても変わりません。
もし保釈保証金の捻出が難しければ,保釈支援協会という機関を頼ることもできます。
ですので,お金を支払えないからという理由で早々に保釈を諦めるのはもったいないと言っても過言ではないでしょう。

以上のとおり,今回の記事では保釈について取り扱いました。
ですが,今回述べた事柄は保釈制度の一部に過ぎず,このほかにどうしても法律上の難解な点がつきまとうことになります。
もし保釈に関して何か疑問点などございましたら,お近くの弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、個々のケースに応じて保釈に関するご説明を致します。
ご家族などが詐欺事件で逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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