詐欺事件で保釈請求

詐欺事件で保釈請求を行うケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
このテーマは前編・中編・後編と分かれており,前編(今回)と中編で詐欺事件を,後編で保釈請求を取り扱います。

【ケース】

Aさんは,知人であるBさんからの誘いを受け,あるバイトをすることになりました。
そのバイトの内容は,「民事訴訟最終通達書」と題する文書をはがきに印刷し,そのはがきを投函するというものでした。
はがきに印刷された文書は「訴訟告知センター」という架空の団体名義(押印つき)であり,民事訴訟が提起されていること,記載してある連絡先に連絡しなければ強制執行が行われることなどが書かれていました。
そして,実際にこのはがきを見て連絡した人が,電話の相手に言われるがまま口座に金銭を振り込むという詐欺事件も起きていました。
Aさんは,バイトが詐欺に関するものだとうっすら気づいていましたが,時給が良いという理由で続けていました。
そうしたところ,Aさんは有印私文書偽造罪の疑いで我孫子警察署に逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は,今回の件で詐欺罪に問われる可能性を伝えたうえで,身柄解放の手段として保釈について説明しました。
(フィクションです。)

【今回のケースにおいて問題となる行為】

今回のケースで問題となりうるのは,①はがきの作成および投函,②はがきを受け取った者による金銭の振込,の2点です。
今回の記事では,①の行為につきどのような犯罪が成立する可能性があるか順に見ていきます。

【①について~文書偽造罪成立の可能性~】

Aさんは,「訴訟告知センター」という名義の文書を作成し,それをポストに投函しています。
このような行為につき,文書偽造罪と偽造文書行使罪が成立する可能性があります。

文書偽造罪は,一定の内容の文書を「偽造」した場合に成立する可能性のある罪です。
文書偽造罪における「偽造」とは,①作成権限のない者が文書を作成することを指すと考えられています。
また,このことを別の観点から説明した定義として,②「作成者と名義人の人格の同一性を偽ること」を指すとされることもあります。

今回のケースでは,結論から言うと「偽造」に当たる可能性があると言えます。
Aさんはバイトの業務として指示のもと「訴訟告知センター」を名乗っているので,この名義ではがきを作成することにつき作成権限はあるように思えます。
しかし,文書偽造罪というのは文書に対する社会一般の信頼を保護する罪なので,文書の名義についてはその名義が持つ意味なども重要になると考えられます。
そう考えたとき,今回問題となったはがきの名義人は,「訴訟に関して一定の対応を行うことが許されている『訴訟告知センター』という団体」だと言えます。
一方,はがきの作成者であるAさんを含め,「訴訟告知センター」という団体名を名乗っている者に,訴訟に関して一定の対応を行うことは許されていません。
こうした場合については,作成者と名義人が異なるとして「偽造」に当たると判断されることが予想されるのです。

Aさんによるはがきの作成が「偽造」に当たるとすると,はがきの内容などからして,Aさんには有印私文書偽造罪が成立すると考えられます。
更に,作成したはがきを郵送することで他人が閲覧できる状態にしたことから,更に偽造有印私文書行使罪の成立もありえます。

有印私文書偽造罪の法定刑は3か月以上5年以下の懲役であり,偽造有印私文書行使罪の法定刑も偽造罪と同様です。
これらの罪は,手段と結果の関係に立つとして54条1項が適用されます(こうした関係は「牽連犯」と呼ばれます)。
そのため,それぞれの罪につき別々に刑が科されてそれが合算されたりせず,1個の罪を犯した場合と同様に1個の刑が科されることになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、個々のケースを丁寧に聞き取ったうえで文書偽造罪の成否をお伝えします。
ご家族などが詐欺事件で逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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