スーパーで万引きした男性が店員に噛みついて事後強盗罪の疑いで逮捕~千葉県柏市で起きた万引き事件~

万引きは、商品の代金を支払わずに店外に持ち出す行為を指します。
基本的に、万引きは窃盗罪に該当するケースが多いですが、場合によっては事後強盗罪に該当することもあります。

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が千葉県柏市で起きた万引き事件をもとに、事後強盗罪が成立する要件について解説します。

<事案概要>

柏署は11日、事後強盗罪の疑いで自称柏市松ケ崎、無職の男A(50)を現行犯逮捕したと発表した。

逮捕容疑は10日午後6時20分ごろ、同市内のスーパーマーケットで、乳酸菌飲料1点(販売価格279円)を万引したのを見つかり、店外で男性店員V(28)ともみ合いになって左腕にかみついた疑い

同署によると、別の男性店員B(31)が取り押さえた。
「万引したことは間違いないが、店員をかんでいない」と容疑を一部否認している。
(※9/14(木)に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「万引見つかり店員にかみつく 柏市のスーパーで事後強盗疑い 50歳男逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)

<事後強盗罪とは>

事後強盗罪とは、窃盗行為が目撃された後に暴行や脅迫を行った場合に成立します。

通常の強盗罪(刑法第236条)との違いは、「暴行や脅迫を用いて財物を奪った」のか「財物を奪った後に条文で規定されている目的(後述)のために暴行や脅迫を行った」かです。
前者であれば強盗罪、後者であれば事後強盗罪が成立します。

事後強盗罪については、刑法第238条で以下のように規定されています。

刑法第238条(事後強盗)

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる

条文に記載されているように、事後強盗罪は「窃盗犯」が主体となっています。
つまり、事後強盗罪が成立するためには、すでに窃盗行為に着手している必要があるということになります。

また、事後強盗罪は、①盗んだ財物を取り返されることを防ぐため逮捕を免れるため③罪跡を隠滅するための内どれかを目的として、暴行や脅迫を加えた場合に成立します。

暴行や脅迫があったと認められる程度としては、通常の強盗罪と同程度の暴行や脅迫の程度である「相手の反抗を抑圧するに足りるもの」とされています。

今回の事例で考えると、Aは自身の万引きがVに見つかり、揉み合いになった際にVの左上に噛みついています。
AがVに噛みついた目的が、万引きした商品を取り返されることを防ぐためか逮捕を免れるため、証拠を隠滅するためのどれかであれば、事後強盗罪の要件に該当します。

事後強盗罪の暴行や脅迫の程度は、単に暴行や脅迫をしたことだけでなく、事件当時の状況暴行の強さ被害者の年齢などを考慮したうえで判断されることもあり、過去の判例では、腕に噛みついた行為が事後強盗罪の「暴行や脅迫」として認められるのかについて結論が分かれています。

<事後強盗罪の刑罰>

事後強盗罪について規定されている刑法第238条では、処罰内容についての詳細が記載されておらず「~ときは、強盗として論ずる。」と記載されています。

「強盗として論ずる」とは、事後強盗罪を通常の強盗罪と同様に扱うという意味をさしています。
つまり、事後強盗罪が成立すると窃盗犯人から強盗犯人となり、強盗罪について規定されている刑法第236条の処罰内容が適用されるということです。

刑法第236条(強盗)

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

通常の強盗罪で規定されている処罰内容は5年以上の有期懲役刑なので、事後強盗罪も同様の内容で処罰されます。

また、暴行の結果、相手に怪我を負わせたり死亡させた場合は、強盗致死傷罪(刑法第240条)が適用されます。

<事後強盗罪による刑事事件を起こしたら弁護士へ>

事後強盗罪は逮捕される可能性もあり、処罰内容も重く規定されています。

事後強盗罪で逮捕されてしまい、その後勾留が決定すれば、逮捕時から最大23日間身柄が拘束されるおそれもあります。
また、事後強盗罪には罰金刑による処罰規定がないので、検察官から起訴されてしまえば、裁判にかけられる公判請求がなされます。
起訴された時点で前科がつくことになり、今後の人生にも影響が及ぶかもしれません。

長期間の身柄拘束や起訴を免れるためにも、事後強盗罪による刑事事件を起こした場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士に弁護活動を依頼すれば、弁護士が代理人となり、早期の身柄解放不起訴処分の獲得、万が一起訴された場合の減刑判決の獲得などを目指した弁護活動に尽力してくれます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、事後強盗罪はもちろん、様々な刑事事件で弁護を担当した実績を持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
ご自身が事後強盗罪による刑事事件を起こしてしまったという方や、ご家族が事後強盗罪で逮捕されてしまったという方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

千葉県内での刑事事件については、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部でお待ちしております。

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