危険運転致死傷罪で逮捕②

会社員のAさんは、夜勤の日に仮眠を長くとり過ぎてしまい、大慌てで準備をして車に乗りました。
Aさんは「急げば間に合うだろう」と考え、夜間で人通りが少ないことも考慮して、時速50キロ制限の道路を80キロ程度で走行していました。
千葉県印西市の交差点に差し掛かった際、Aさんは信号が赤であることに気づかず、横断歩道を渡っていたVさんに接触してしまいました。
Vさんは跳ね飛ばされて意識を失い、Aさんは危険運転致傷罪の疑いで逮捕されました。
印西警察署に留置されたAさんは、接見に来た弁護士に取調べ対応を聞きました。
(フィクションです)

【取調べ対応をどうするべきか】

前回の記事では、危険運転致死傷罪の詳細について取り扱いました。
今回は、取調べを受ける際にどのような対応をすべきか説明していきます。

取調べにあたっては、全ての事項について素直に供述するか、それとも一部または全部の事項について供述せず黙秘するか、という選択があります。
被疑者・被告人には、自己の意思に反する供述を強要されないために、黙秘権という権利が定められています。
そのため、逮捕されているか否かを問わず、被疑者は取調べで必ず供述をしなければいけないわけではないのです

取調べの際、素直に供述するか、それとも黙秘するかは、時に判断が難しい事柄です。
というのは、それぞれの振舞いにメリットとデメリットの両方が存在するからです。
まず、素直に供述した場合、被疑者に反省が見られる、捜査に協力的な姿勢である、といった肯定的な評価が得られます
これらの事情により、最終的な処分が軽くなったり、長期の身体拘束の回避につながったりすることがあります。
一方で、素直に供述することで、自己に不利益な事実を認定されてしまうリスクが生じることは見逃せません。
典型例は犯行を自白する場合ですが、否認の場合であっても捜査機関の誘導により誤った事実を認定されてしまう危険はなお残ります。
これに対して、黙秘を貫くのであれば、先ほど見たような不利益な事実の認定は回避できます。
ですが、この場合には、素直に供述することで期待できた処分の軽減や長期の身体拘束の回避といったメリットが享受できなくなります。

以上を前提に、上記事例のAさんがどのような状況に至るか考えてみます。
今回の争点として、Aさんの行為が危険運転に当たるか、すなわちAさんが「赤色信号…を殊更に無視し」たと言えるかどうかが挙げられます(詳しくは前回の記事参照)。
そうすると、仮にAさんが「信号を見落としただけだ」と弁解した場合、捜査機関はこの点が本当か厳しく追及する可能性が高いと考えられます。
もしAさんが厳しい取調べに耐えられなかったり誤導に乗ったりするおそれがあれば、いっそ黙秘してしまうというのも一つの手でしょう。
他方、そうしたおそれがないのであれば、供述できる範囲できちんと供述した方が望ましいかもしれません。

以上の判断は、Aさんの性格や認識などに加えて、他に想定される証拠の存否にも左右されます。
そうすると、総合的に見て最善だと思われる選択を行うことは、一般の方々にとっておそらく難しいかと思います。
ですので、事件の内容を問わず、取調べへの対応については一度弁護士に確認することをおすすめします。
自己の不利益な事実が調書に残ってしまうとそれを覆すのは難しいので、手遅れになる前に弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、豊富な知識と経験に基づき最適な取調べ対応をご教示します。
危険運転致死傷罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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