高校生が公務執行妨害罪で逮捕

高校1年生のAさんは、深夜に千葉県香取市内の公園で友人らと喋っていたところ、警察官から声を掛けられました。
警察官は職務質問を行いましたが、Aさんはそれに対して反抗的な態度をとったことから、応援で数名の警察官が駆けつけました。
警察官は、Aさんらをひとまず香取警察署へ連れて行くために、数人でAさんの身体を掴んで無理やり移動させようとしました。
その際、Aさんが暴れて警察官の腕を振りほどくなどしたことから、Aさんは公務執行妨害罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に少年事件の特徴を聞きました。
(フィクションです。)

【公務執行妨害罪について】

第九十五条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪は、公務員に対して暴行または脅迫を加えた場合に成立する可能性のある罪です。
保護の対象が公務の円滑な遂行であることから、現に職務を行っている最中に留まらず、職務の前後で暴行等を行っても公務執行妨害罪に当たる可能性があります。
一方、公務員という身分があればいつでも公務執行妨害罪になるわけではないので、たとえば休暇中の公務員に暴行等を行ったとしても公務執行妨害罪には当たりません。

公務執行妨害罪における「暴行」は、殴る蹴ると言った一般的な暴行より軽いものも含まれることがあります。
ですので、たとえば逮捕の際に身体をよじって抵抗した場合などにも、「暴行」があったとして公務執行妨害罪に当たる余地があります。
ただし、公務員の行為が違法なものであれば、それに抵抗した結果「暴行」に当たったとしても公務執行妨害罪は成立しないと考えられています。
違法な公務というのは保護に値せず、公務執行妨害罪を成立させる必要はないからです。

それでは、上記事例についてはどうでしょうか。
警察官は、職務質問の際、対象者の身体を掴んで無理やり移動させるなどの「有形力の行使」が原則として許されていません。
そうすると、上記事例の警察官の行為は、「有形力の行使」に当たるとして違法となる可能性があります。
そのため、Aさんには公務執行妨害罪が成立しない余地があるでしょう。

【少年事件の特色】

罪を犯した者が20歳未満の者にあたる場合、その事件は少年事件として特別な手続で処理されます。
少年事件における目的は少年の更生と健全な育成にあり、国としてはその目的を実現するうえで必要な措置をとるという建前があるからです。

少年事件においては、原則として刑罰が科されません。
その代わりに、保護処分という少年事件に特有の措置が取られることが多くあります。
保護処分は家庭裁判所での審判(通常の刑事事件における裁判に相当)を経て決まるものであり、①少年院送致、②児童養護施設・児童自立支援施設送致、③保護観察、の3つがあります。
具体的な内容は各保護処分により異なりますが、共通しているのは、最終的に目指すところが少年の健全な育成にあるということです。
ただし、事件(主に悪質なもの)によっては、成人と同様の手続により刑罰を科されることもあります(逆送)。

少年事件における最終的な処分について大まかに分けると、重いもので逆送や少年院送致、比較的軽いもので保護観察、特に軽いもので不処分や審判不開始となるかと思います。
これらのいずれが下されるかは、事件の内容だけでなく、少年の性格、反省の度合い、生活環境などにも大きく左右されます。
そのため、もし逆送による刑罰や少年院への収容を避けるのであれば、少年が更生できるよう周囲も手を尽くす必要があります。
もし不安であれば、一度弁護士から話を聞いてみることを強くおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に強い弁護士が、あらゆる少年事件について自身を持って活動します。
お子さんが公務執行妨害罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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