危険運転致死傷罪で逮捕①

会社員のAさんは、夜勤の日に仮眠を長くとり過ぎてしまい、大慌てで準備をして車に乗りました。
Aさんは「急げば間に合うだろう」と考え、夜間で人通りが少ないことも考慮して、時速50キロ制限の道路を80キロ程度で走行していました。
千葉県印西市の交差点に差し掛かった際、Aさんは信号が赤であることに気づかず、横断歩道を渡っていたVさんに接触してしまいました。
Vさんは跳ね飛ばされて意識を失い、Aさんは危険運転致傷罪の疑いで逮捕されました。
印西警察署に留置されたAさんは、接見に来た弁護士に取調べ対応を聞きました。
(フィクションです)

【危険運転による人身事故】

昨今、あおり運転などの危険な運転による凄惨な事故がたびたび見聞されます。
自動車というのは便利な一方で危険性も孕んでおり、一部の法律はそのことを意識して制定されています。
自動車による人身事故の罰則について定めた「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(通称:自動車運転処罰法)は、正にそうした法律の典型例と言えるでしょう。

自動車運転処罰法は、以下のような運転により人を死傷させた場合に、通常の過失運転致死傷罪より重い危険運転致死傷罪が成立するとしています。

① アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
② その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
③ その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
④ 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
⑤ 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
⑥ 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

上記事例のAさんは、上記⑤の危険運転を疑われています。
⑤の「赤色信号…を殊更に無視し」とは、赤色信号であることを認識しているにもかかわらず、それを全く意に介さないような場合を指します。
そのため、単に信号を見落としたに過ぎないAさんには、上記⑤の危険運転には当たらない可能性があります。
ただ、本当に見落としかどうかは究極的には裁判で判断される事項であり、捜査の段階で危険運転を疑われる可能性は十分あります。

もし上記⑤の危険運転に当たるとすると、Vさんが死傷したと考えられる上記事例では、危険運転致死傷罪が成立する可能性があります。
危険運転致死傷罪の罰則は、結果が負傷にとどまっていれば(1か月以上)15年以下の懲役、死亡に至っていれば1年以上(20年以下)の有期懲役です。
通常の過失運転致死傷罪(7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金)と比べると、危険運転を理由とする加重の程度は相当と言えるでしょう。

先述のように、捜査の段階で真実より重い事実を疑われることは、刑事事件において日常的と言えるほど多く見られます。
こうしたケースについては、捜査の要と考えられる取調べにおいてどのように振る舞うかが重要となります。
その点については次回の記事で説明します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、危険運転致死傷罪の弁護活動を徹底的に行います。
危険運転致死傷罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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