自転車の飲酒運転をした場合に成立する犯罪と、警察官へ暴行してしまった場合に成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説致します。
【警察官への公務執行妨害事件】
大学生Aさん(20代・男性)は、夜に友人らと居酒屋でお酒を飲んだ後、千葉市中央区内の自宅に自転車で帰宅しようとしました。
Aさんが自転車を飲酒運転しているとき、付近をパトロールしていた千葉駅前交番の警察官2人に声を掛けられました。
Aさんは、酔っぱらっていたこともあり、気が大きくなってしまい、警察官らに対し、「車を運転してたんじゃねえんだから、別にいいじゃねえか!」と大声で怒鳴り、警察官Vさんを両手で突き飛ばしました。
警察官Vさんは、尻をついて転倒しましたが、ケガはありませんでした。
Aさんは、もう一人の警察官によって、公務執行妨害罪の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんの家族は、Aさんの逮捕を受け、刑事事件を扱う法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです)
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前回のブログでは、自転車を酒酔い運転した場合に適用される法律と、科される刑罰について解説致しました。
今回は、Aさんが犯した2つめの罪である公務執行妨害罪について解説致します。
【Aさんが犯した罪②―公務執行妨害罪―】
公務執行妨害罪は、刑法第95条第1項に定められている、公務員によって行われる公務を保護する目的を持つ犯罪です。
刑法 第95条
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
公務執行妨害罪は、あくまでも公務員個人ではなく、公務員による職務の執行を守ることを目的としています。
よって、職員が職務から離れている休憩や休暇の際は、公務員に対し暴行や脅迫を行ったとしても、公務執行妨害罪は成立せず、暴行罪や脅迫罪などが成立します。
また、妨害については、実際に公務が妨害されることは必要とされていません。
公務が妨害される可能性のある行為ならば、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
つまり、Aさんが警察官を押し倒した行為は、警察官の公務の執行に支障をきたす行為であると考えられるため、実際には公務が行えたとしたしても、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
もし、公務執行妨害罪が成立し、裁判で有罪判決が下された場合、3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金が科されます。
科される刑罰がどの程度のものになるかは、被疑者の犯行態様や、被害の状況によって変わります。
上記したAさんの場合は、公務執行妨害罪の容疑で逮捕されました。
しかし、もし、公務を行う公務員に対し、暴行を加え、ケガを負わせてしまった場合は、公務執行妨害罪とともに傷害罪に問われる可能性もあります。
このように、公務執行妨害罪では、ひとつの行為で2種以上の罪に触れてしまう可能性のある犯罪でもあります。
もし、ひとつの行為で2種以上の犯罪が成立した場合は、2つの罪の法定刑を比較し、重い方の刑で処断されます。(刑法第54条第1項)
刑法 第54条 第1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
つまり、公務を行う公務員に対し暴行を加え、公務執行妨害罪と傷害罪が成立した場合は、それぞれの罪の法定刑を比較され、重い刑が採用されます。
公務執行妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金です。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
つまり、公務執行妨害罪と傷害罪が成立がした場合は、傷害罪の法定刑に従って、量刑が判断されることになります。
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