飲酒運転と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【ケース】
Xさんは普段はお酒を飲まないため、同僚や上司飲み会を断っていました。ところが、年末の忘年会だけはどうしても断ることができず、参加することになりました。
忘年会でもXさんはお酒を飲むつもりがなかったため、当日は自身の車で千葉県市原市にある会社まで通勤し、仕事終わりに、会社の近くにある居酒屋で会社の同僚と忘年会を行いました。
忘年会では飲むつもりはなかったXさんでしたが、社長から「乾杯くらいはいいだろ。あと数時間もすればお酒も抜けるよ。」と言われ、どうしても断ることができず乾杯だけすることにし、ビールをグラスで1杯だけ飲みました。
その後、Xさんはお酒を飲むことなく忘年会が終了し、自分の車で帰ることになりましたが、普段からの疲労と久しぶりの飲み会で気が緩んだのか、うとうとしてしまい、運転中、壁に激突してしまいました。
その後、通行人から通報があり、千葉県市原警察署の警察官がやってきて、呼気検査がなされ、その結果が呼気1ℓ中のアルコール濃度が0.3mgであったため、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで取り調べを受けることになりました。
実は、Xさんは、3年前に飲酒運転で罰金刑を受けたことがあり、今回注意をしていたのですが、すっかりアルコールが抜けていると思っていたので運転してしまっていたのでした。
(フィクションです。)
【飲酒運転について】
飲酒運転については、道路交通法に禁止規定と罰則が定められています。
まず、道路交通法65条は、「酒気帯び運転等の禁止」として、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」としています。
この規定が飲酒運転の禁止を定めたものです。
他方で、飲酒運転の罰則については、飲酒運転の具体的な内容に応じて以下のとおり2通り存在します。
ひとつは、「酒気帯び運転」と呼ばれるものです。
酒気帯び運転は、身体に一定程度以上のアルコールを保有した状態で運転した場合に成立するものです。
具体的なアルコールの基準値は道路交通法施行令に定められており、令和元年12月現在,①血液1mlにつき0.3mgまたは②呼気1ℓにつき0.15mgです。
実務においては、②の基準を通常利用します。
罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です(同法117条の2の2の3号)。
もうひとつは、「酒酔い運転」と呼ばれるものです。
酒酔い運転は、「酒に酔つた状態」、すなわち「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」で運転した場合に成立します。
酒酔い運転に該当するかどうかは、飲酒運転を検挙した警察官などが視認することで確認する場合が多く、呼気検査の数値が大きいかどうかだけで判断されるものではありません。
たとえば、道路の白線の上を真っすぐ歩けるか、受け答えがはっきりしているか、などの事情が考慮されることとなります。
警察によりこういった判定がなされた結果、酒酔い運転と判断された場合、たとえ呼気検査の結果が低かったとしても安心することはできないので、注意が必要です。
罰則は、酒気帯び運転よりも重い、5年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています(117条の2の1号)。
【執行猶予を獲得するには】
飲酒運転が発覚した場合、初犯(これまで前科がなかった人)であれば、呼気検査の結果がそれほど重いものでなければ、略式命令(法廷ではなく書面で裁判を行う簡易な手続)による罰金刑で終わる可能性があり、裁判所に出頭することなく、簡便に事件が終了する可能性も見込めます。
ところが、上記事例のXさんのように2回目の飲酒運転となると呼気検査の結果が高い数値でなかったとしても、反省を促すなどの目的で、検察官が裁判を請求する可能性が出てきます。
そうなってしまった場合、刑務所への収容を回避するために、公判廷で罰金刑を求めるかあるいは、懲役刑を受けるとしても、執行猶予を目指していくこととなります。
執行猶予付きの判決とは、被告人に対し、懲役刑を課しながら、一定期間社会内で更生のチャンスを与え、その期間被告人が何らかの犯罪行為を犯すことなく期間が経過した場合には、懲役刑を免除するという判決であり、懲役刑の判決を受けたとしても、刑務所に行かず引き続き社会内で生活を行うことができる判決です。
裁判官が、懲役刑執行猶予を付するかどうかは、アルコール濃度ももちろんですが、アルコールを摂取するに至った経緯や飲酒運転に至った経緯、事件後の被告人の反省の程度、更生に向けた被告人の動きなどの様々な事情を考慮して決めるものです。
今回のXさんは2度目の飲酒運転であり、裁判官に対し、単に「もう飲酒運転をしません」と話したところで説得力に欠ける部分があることは否定できません。
そうした状況下で執行猶予の可能性を高めるのであれば、今回の件を真摯に受け止めていること、更生の余地があることをよりしっかりとアピールする必要があるでしょう。
執行猶予を目指すなら、まずは弁護士に相談するのが賢明と言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、執行猶予の獲得を目指して尽力します。
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