殺人未遂罪で逮捕
千葉県四街道市に住むAさんは、夫のVさんが酒に酔って横暴な振舞いをすることから、自宅でたびたび喧嘩をしていました。
ある日、AさんはついにVさんの振舞いに耐えられなくなり、気が動転してこともあってその場で包丁を振り回しました。
焦ったVさんが包丁を取り上げようと近づいたところ、包丁がVさんの鎖骨の数センチ上をかすめ、全治2週間程度の怪我を負いました。
騒ぎを聞いた近隣住民が警察を呼び、Aさんは殺人未遂罪の疑いで四街道警察署に逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は、AさんにVさんを殺す気などさらさらなかったことを確認し、殺人未遂罪の成立を争うことにしました。
(フィクションです)
【殺人未遂罪について】
殺人未遂罪は、殺意を持って他人の殺害に及んだものの、最終的に殺害の結果が生じなかった場合に成立する可能性のある罪です。
殺人未遂罪という罪名自体はニュースなどでも耳にするかと思いますが、実はある意味特殊な罪の類型と言うことができます。
なぜなら、犯罪というのは何らかの利益を侵害する点に違法性を見出すものであり、その利益を侵害していないにもかかわらず犯罪と扱うのは例外的だからです。
そのため、未遂罪は全ての犯罪について存在するわけではなく、刑法などが明文で定めたもののみ認められています。
殺人未遂罪に当たる行為というのは、殺人という結果を招く危険性のある行為全般だと考えられています。
この危険性については様々な要素が考慮され、怪我の程度が軽い場合や全く怪我を負わなかった場合でも殺人未遂罪の成立が認められる可能性があります。
上記事例では、Aさんの振り回した包丁がVさんの肩をかすめ、Vさんが全治2週間程度の怪我を負っています。
この怪我自体は比較的軽いと言えますが、包丁の危険性と振り回すという使い方、心臓近くへの傷害などを考慮すれば、殺人を招く危険性が認められる可能性があります。
殺人未遂罪の罰則は、殺人罪の法定刑を基準に未遂という事実が考慮されて決まります。
未遂の場合は「刑を減軽することができる」とされており、死刑は無期懲役に、有期の懲役刑は2分の1になります。
そのため、未遂による刑の減軽が行われれば、罰則の上限が無期懲役、下限が2年6か月の懲役と言えるでしょう。
【殺意を争う弁護活動】
先ほどの項目の冒頭で述べたように、殺人未遂罪の成立を認めるにあたり、殺意の存在は決して欠かすことができません。
どれだけ行為の内容が危険でも、殺意がなければ傷害罪(死亡が生じれば傷害致死罪)が成立するに過ぎないのです。
ただ、被疑者・被告人本人が「殺すつもりはなかった」と供述したからといって、残念ながらそれがすんなり通るわけではありません。
そこで、弁護士としては、殺意を否定して殺人未遂罪の成立を否定すべく積極的に弁護活動を行うことになります。
具体的に弁護士が行う活動として、①取調べ対応のアドバイス、②法廷での弁護の2つが挙げられます。
①については、文字どおり取調べにおいてどのように供述すべきかアドバイスするというものです。
取調べを行う捜査機関は、時に白か黒か分からない部分を黒にしようと躍起になるあまり、時に不適切な取調べを行うことがあります。
それを受けて不用意に供述してしまった結果、ありもしない「殺意」が認定されるという可能性は十分ありえます。
そうした事態を回避するために、あらかじめ弁護士からアドバイスを受けておくのは有益です。
②については、必要に応じてご本人や事件の関係者などからヒアリングを行い、裁判において説得的な主張を行うということです。
刑事事件の裁判は厳格なルールのもと行われますが、それだけに一般の方にとっては馴染みにくいものです。
そこで自身の主張をきちんと認めてもらうためには、やはり相応の知識や経験と事前準備が必要です。
弁護士がついていれば、その点に関して不安は解消されるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、一つ一つの事件を丁寧に分析して最適な弁護活動を行います。
ご家族などが殺人未遂罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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