青少年に裸の画像を送らせた場合、どのような犯罪に当たるのかを、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説致します。
同級生に裸の画像を送らせる
千葉県八街市在住の中学生Aくん(14歳・男子)は、同級生の仲の良いVさん(14歳・女子)とメッセージを送り合っていました。
会話のなかで、AくんはVさんに、裸の写真を送ってほしいとお願いしました。
Vさんは一度OKし、Aくんに胸や陰部の写真を送ってしまいました。
その後もAくんは、Vさんに写真を送るようにお願いし続け、悩んだVさんは親に相談しました。
Vさんの親が警察へ相談したことで、Aくんは千葉県八街警察署から事情聴取を受け、その後事件が検察庁に送られました。
Aくんと両親は、少年事件を扱う法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです)
本ブログは、3部構成でお届け致します。続きはこちら→ その2 番外編
裸の画像を送らせる行為
裸の写真を送ってるように頼んだり、実際に写真を送らせる行為は、以下の罪に問われる可能性があります。
- 青少年健全育成条例違反 ←今回
- 児童ポルノ規制法違反(次回)
- 強要罪(次の次の回)
ここでは、青少年健全育成条例について解説致します。
千葉県では、青少年を健全に育成し、なおかつ有害な環境・行為から保護することを目的として、千葉県青少年健全育成条例という条例が制定されています。
もちろん、このような条例は、他の都道府県にも存在します。
ここで、千葉県青少年健全育成条例の一部を抜粋したものを紹介致します。
千葉県青少年健全育成条例
第19条の4 何人も、青少年に対し、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
(1) 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等(…略…)の提供を行うように求めること。
(2) 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。
(3) 前各号に掲げるもののほか、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。
ここでいう青少年とは、18歳までに達するまでの年齢の者を言います。
次に、児童ポルノ等とは、児童ポルノ規制法で定義されている記録のことを指します。
児童ポルノ規制法については次回のブログで解説致します。
千葉県では、自画撮り被害の防止に向けて、令和2年7月1日に青少年健全育成条例の改正を行いました。
これは、スマートフォンの急速な普及やインターネット利用の低年齢化に伴い、青少年が自分の裸体等をスマートフォン等で撮影させられた上、画像をメールやSNS等で送らされるいわゆる自画撮り被害が、全国的にも、千葉県においても、増加傾向にあったことを受けての改正でした。
自画撮り要求行為は、青少年の心身の未成熟に乗じて行われます。
また、画像がインターネット上に流出してしまうと、完全に回収することは困難となります。
自画撮り被害は、将来にわたって青少年を苦しめる要因となるため、青少年の健全育成に悪影響を及ぼすおそれがあります。
このようなことを未然に防止する必要があることから、自画撮り要求行為を規制し、被害防止を図るために、千葉県青少年健全育成条例は改正されました。
ここでポイントなのは、自撮り画像を求めるのみで罪になりうることです。
自画撮り画像を送らせることを求めた行為には、罰則規定も設けられています。
千葉県青少年健全育成条例
罰則
第28条 第4項 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
第1号 略
第2号 略
第3号 ・・・略・・・、第19条の4(第3号に係る部分を除く。)、・・・略・・・の規定に違反した者
上記したAくんの場合、自撮りを求めるだけでなく、実際に写真を送らせているため、青少年健全育成条例違反に問われる可能性は低いと考えられます。
次回のブログでは、児童ポルノ規制法について解説致します。
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