少年の事後強盗事件
女子高校生のAさん(16歳)は、幼少期から両親に厳しく育てられており、高校生になっても全くお小遣いがもらえませんでした。
ある日、Aさんは千葉県市原市のドラッグストアで化粧品数点を万引きし、急いで店を出ようとしました。
すると、追いかけてきた店員Vさんに肩を掴まれたため、Aさんは「離せ」と言って暴れました。
Vさんが怯んだ隙に再び逃亡を図ったAさんでしたが、別の店員が追いかけてきてすぐに捕まりました。
Aさんは事後強盗罪の疑いで市原警察署に逮捕されたことから、両親の依頼で弁護士が接見に向かいました。
接見を終えた弁護士は、少年事件の特徴についてAさんの両親に伝えました。
(フィクションです。)
【事後強盗罪について】
窃盗犯が、①盗んだ物の奪還の阻止、②逮捕の回避、③犯罪の痕跡の隠滅のいずれかを目的として暴行または脅迫に及んだ場合、事後強盗罪が成立する可能性があります。
通常の強盗罪は、暴行または脅迫を用いて相手方の反抗を抑圧し、それを利用して財産を奪取した場合に成立するものです。
そのため、窃盗の後に暴行・脅迫を加えることで「事後」的に「強盗」になったとして、事後強盗罪という名称になっているというわけです。
事後強盗罪に関して注意すべきは、やはり「最初は強盗のつもりがなくても結果的に強盗罪を犯してしまった」ということが生じる点です。
窃盗が発覚したことでパニックになり、本能のままに抵抗してしまうというケースは十分考えられるでしょう。
事後強盗罪は、刑法上「強盗として論ずる」とされています。
つまり、刑の重さや他の罪とのつながりについて、強盗罪と同様のものとして扱われるということです。
まず、事後強盗罪の法定刑は、強盗罪と同じく5年以上の有期懲役(上限20年)になります。
更に、事後強盗の際に相手方を負傷させれば強盗致傷罪に、死亡させれば強盗致死罪になる余地が出てきます。
前者の法定刑は無期または6年以上の懲役であり、後者の法定刑は死刑または無期懲役です。
これらは故意に傷害や死亡を狙わずとも成立しうるため、場合によっては非常に重い刑が科されるおそれがあるでしょう。
ただし、後述のように、少年事件においては原則として刑が科されません。
【少年事件の特色】
被疑者が少年(20歳未満の者)である場合、その事件は少年事件となり、通常の刑事事件とは異なる取り扱いがなされます。
その理由は、少年の心身が未成熟である点に鑑み、刑罰による制裁・矯正よりも保護処分による少年の健全な育成が目指されるためです。
以下では、少年事件の特徴を大まかに説明します。
まず、少年事件においては、長期の身体拘束である勾留を「やむを得ない場合」に限るとされています。
これは、成人よりも少年の方が身体拘束によりダメージを受けやすいことに由来する規定です。
ただ、実務上こうした点が意識されているかは疑問であり、弁護士が不服申立ての中で注意を促すこともあります。
一方、ひととおり捜査が遂げられた後、観護措置という少年事件に特有の身体拘束を行われることがあります。
殆どの場合は少年鑑別所に収容して行われ、審判に向けて少年の様子を集中的に観察するのが主な目的です。
期間は数週間(おおむね4週間)と長期にわたり、保釈が不可能な分、成人より身体拘束が長く続くこともあります。
最後に、一部の事件を除き、家庭裁判所での調査と審判を経て保護処分というものが行われます。
具体的には、①保護観察、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③少年院送致があり、少年ひとりひとりに応じて妥当な処分が選択されます。
いずれも社会できちんと生きていくための能力を養うのが目標です。
以上の説明は飽くまでも大要です。
事件の内容や少年の性格などにより見通しが大きく左右されるのが少年事件の特徴でもあるので、より詳しい内容はぜひお近くの弁護士にお尋ねください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に詳しい弁護士が、告発を心配されている方のご相談も真摯にお聞きします。
収賄罪かもしれないと思ったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料