心神耗弱だと刑が軽くなる?心神喪失との違いは?~千葉県旭市で起きた殺人・覚醒剤取締法違反等事件~

心神耗弱だと刑が軽くなる?心神喪失との違いは?~千葉県旭市で起きた殺人・覚醒剤取締法違反等事件~

心神耗弱 責任能力

今回は、2022年に千葉県旭市内で起きた殺人・覚醒剤取締法違反等事件の判決をもとに、心神耗弱について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律所千葉支部が解説します。

<事案概要>

風俗店の男性従業員V=当時(27)=を包丁で刺して殺害したとして、殺人覚醒剤取締法違反などの罪に問われた男性A(35)の裁判員裁判の判決公判が2日、千葉地裁であり、裁判長は懲役13年(求刑懲役15年)の判決を言い渡しました。

弁護側は殺人罪についてAが心神喪失状態だったと無罪を主張しましたが、裁判長は心神耗弱状態だった」として、一定の責任能力を認めました。

裁判長は判決で「急性覚醒剤中毒や覚醒剤精神病の影響は著しかった」と指摘。
一方で「デリバリーヘルスのキャンセル料を請求されたという現実に根差した不満から犯行に及んだ側面もあり、正常な精神作用による部分が残っていた」と述べました。

その上で「殺人の犯行当時、行動制御能力が著しく低下していたものの、その能力は失われていなかった」として、Aは心神耗弱状態だったとしました。

裁判長は「逃げる被害者を追いかけて多数回突き刺すなど、犯行態様は執拗(しつよう)で悪質」と指弾し「心神耗弱状態で犯した同種事件の中で、比較的重い部類に属する」と量刑理由を説明しました。
(※以下略)

(2/2に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「風俗店従業員を殺害 被告に懲役13年 千葉地裁、心神耗弱と判断 「覚醒剤の影響著しく」」記事の一部を変更して引用しています。)

<心神耗弱とは>

刑法において、責任能力がない者は処罰されません
責任能力とは、行為の是非・善悪を判断し、自身の判断に従って行動することができる能力を指します。

責任能力がないと判断される者は、刑法第39条で規定されている「心身喪失者」と刑法第41条で規定されている「14歳未満の者」が挙げられます。

刑法第39条(心神喪失及び心神耗弱)

心神喪失者の行為は、罰しない
 心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する。

刑法第41条(責任年齢)

14歳に満たない者は、罰しない

「心神喪失」とは、物事の是非・善悪を判断する能力その判断に従って行動する能力のどちらかが欠けている状態を指します。
これら両方の能力が欠けている必要はなく、どちらか一方が欠けていると判断されれば、心神喪失が認められます。

一方で、「心神耗弱」とは、上記2つの能力が完全に欠けているわけではないが、どちらかの能力が著しく減退している状況にあることを指します。

心神喪失者や14歳未満であれば処罰されませんが、心神耗弱者は処罰されないわけではありません。
処罰はされますが、通常の責任能力者よりも刑が軽減されます。

今回の事例では、「犯行当時のAは行動制御能力が著しく低下していたとして心神耗弱が認められています。
ただ、刑は軽減されたものの、Aの犯行の悪質性などから心神耗弱状態での同種事件よりも比較的重い量刑で処罰されたということです。

<責任能力を争う場合は刑事事件に強い弁護士へ>

責任能力の有無を争う場合は、刑事事件の弁護活動経験が豊富な専門の弁護士に依頼することが非常に重要になります。

責任能力の有無は、被疑者・被告人が処罰されるかされないかを決めます。
今後の人生に大きな影響が及ぶ可能性が高いため、刑事事件に強い弁護士にサポートしてもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律所は、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
ご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。

千葉県内で刑事事件を起こしてしまったという方や、ご家族が逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律所千葉支部までご相談ください。

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