Aさんは、千葉県松戸市内にある居酒屋で酒を飲み、すっかり酔った状態で居酒屋を出ました。
その日は夜になっても気温が高かったことから、酔ったAさんは近くにあった人気のない公園で裸になって寝転びました。
その姿を警ら中の警察官に見られ、警察の存在に気づいたAさんが逃げようとしたこともあってか、Aさんは公然わいせつ罪の疑いで現行犯逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの妻は、勾留阻止により早期釈放が実現できないか弁護士に相談してみました。
(フィクションです)
【公然わいせつ罪について】
刑法(一部抜粋)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
公然わいせつ罪は、その名のとおり公の場でわいせつな行為をした場合に成立する可能性のある罪です。
まず、「公然と」とは、不特定または多数人がわいせつな行為を認識できる状態であることを指します。
飽くまでも認識が可能であればよく、実際に認識したことは必要ではありません。
ですので、上記事例のように人気のない公園においても、誰でもAさんの姿を認識できた以上「公然と」に該当すると考えられます。
次に、「わいせつ」な行為とは、いたずらに性欲を刺激・興奮させ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、もって善良な性的観念に反する行為を指します。
この定義自体は強制わいせつ罪における「わいせつ」と同様ですが、必ずしも対象となる「わいせつな行為」の範囲が一致しない点には注意が必要です。
強制わいせつ罪が個人の性的意思決定の自由を害する罪であるのに対し、公然わいせつ罪は社会における性秩序や健全な性的風俗を害する罪です。
こうした罪の性質の違いに照らし、同じ行為であっても強制わいせつ罪の成否と公然わいせつ罪の成否を分けて考えるのです。
これらの罪の成否が異なる典型例として、他人に無理やりキスをするという行為が挙げられます。
キスの相手方からすれば、無理やりされたことから性的意思決定の自由を侵害されたと言え、強制わいせつ罪に当たることが考えられます。
しかし、それが公の場でされても、性秩序や健全な性的風俗が乱されるようには思えません。
そのため、公然わいせつ罪には当たらないと考えられます。
【勾留阻止による早期釈放の可能性】
刑事事件においては、被疑者による逃亡や証拠隠滅を防ぐべく、逮捕という身体拘束が行われることがよくあります。
この逮捕による身体拘束は、法律上最長でも72時間以内と定められており、それ以上拘束を継続する必要があれば勾留という別個の手続によらなければなりません。
こうして身体拘束を短期の逮捕と長期の勾留に分けることで、身体拘束の必要性を厳格に審査し、人権保障を徹底するというのが法律の建前です。
勾留を行う場合、捜査機関と裁判所は一定の手順を踏む必要があります。
まず、警察が被疑者を逮捕したあと、弁解の録取などを行ったうえで48時間以内に身柄を検察庁に送致する手続をとります。
被疑者の身柄を受け取った検察官は、24時間以内に勾留を請求すべきか判断し、勾留を請求しないのであれば直ちに被疑者を釈放しなければなりません。
そして、勾留の請求を受けた裁判官は、被疑者の情報や言い分などを聞いたうえで、勾留の妥当性を認めた場合に勾留を決定します。
以上から分かるように、検察官と裁判官は、被疑者を勾留するかどうかにつき一定の裁量があると言えます。
そこで、被疑者の勾留の阻止を目指すのであれば、検察官と裁判官に対し、勾留が妥当でないことを法的な観点から説明することが大切になります。
もし勾留を阻止できれば、2週間から最悪数か月に及ぶはずだった身体拘束が3日程度で終わる可能性も出てきます。
ですので、もし逮捕の知らせを受けたら、すぐに弁護士に勾留の阻止を依頼しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に詳しい弁護士が、勾留の阻止を目指して可能な限りの環境調整を行います。
ご家族などが公然わいせつ罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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