自動車事故を起こし、身代わり出頭させた場合の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説致します。
千葉県市原市の交通事件
建築会社の社長Aさん(40代・男性)は、現場作業を終えて自動車で会社へ戻る途中、コンビニに立ち寄り、缶チューハイ2本を購入し、飲み干しました。(ちなみに、政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態)
Aさんは、飲酒をしましたが、そのまま運転を継続しました。
しかし、飲酒したことが原因で、Aさんは運転を誤ってしまい、道路わきのVさん宅に激突し、Vさん宅の壁を破壊してしまいました。
Aさんの事故で怪我人はいませんでした。
Aさんは、飲酒運転していたことが発覚することを恐れ、車を放置してその場から逃走しました。
Aさんは、逃走中に、信頼している部下であるBさんへ連絡し「飲酒運転したら事故を起こしてしまい、現在逃走している」と伝えました。
するとBさんは「A社長が逮捕されたら会社が回らなくなります。ここは私が車を運転していたことにしましょう」と提案しました。
Aさんはその提案を了承したため、Bさんは事故現場に駆け付けました。
事故現場には、すでに現場に警察が駆けつけており、警察はVさんと話をしていました。
Bさんは、警察に対し「自分が運転しました。」と伝え身代わりになろうとしました。
しかし、その後の捜査で、Aさんが飲酒運転し事故を起こして逃走していたことが発覚しました。
そのため、Aさんは道路交通法違反の疑いで、Bさんは犯人隠避罪の疑いで逮捕され、その後勾留されました。
Aさんの家族は、Aさんが勾留されたことを受け、刑事事件を扱う法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです)
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身代わり出頭したBさんは罪に問われるか
Xさんは、Aさんの罪を自分が引き受けることで、Aさんの犯した罪を隠そうとしました。
これは、刑法103条で規定されている犯人隠避の罪に当たります。
刑法第103条
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
Bさんは「自分がやった」と言えば、警察はそれ以上深くは追及しないだろうと考えてしまいました。
しかし、交通事件では、同乗者や周辺の関係者が、運転者の罪を庇うために、自分が運転していたと虚偽の申告をしてしまう事例がしばしばあります。
そのため警察は、自動車の運転者が、実際は誰だったかということも含めて、慎重に捜査を進めます。
上記した事件例の場合、事故を起こした日に仕事にあたっていたのはAさんで、Bさんは出勤日ではありませんでした。
これらは、会社のシフト表などを見れば、確認ができてしまうでしょう。
また、Aさんがコンビニでお酒を購入していたことは、電子マネーの購入履歴に残っている可能性があります。
さらに、Aさんがコンビニの駐車場で飲酒し、その後に車を発進したことは、防犯カメラ映像に残っている可能性があります。
加えて、警察が駆けつけたとき、現場にはAさんもBさんもいない状態で、Bさんが後から駆けつけたところを警察に見られています。
このように、様々な証拠から、Bさんが虚偽の申告をしたことは、後に発覚する可能性があります。
AさんやBさんが勾留された理由
刑事事件では、逮捕されたのち、勾留されずに釈放されるケースと、勾留され続けるケースがあります。
勾留の期間は10日間です。
勾留の期間は延長されることもあり、勾留延長された場合は、最大で10日間の勾留が継続されます。
勾留されるかどうかは、犯人に逃走するおそれや、証拠隠滅するおそれがあるかどうかにより変わります。
今回の事件例で、Aさんは事故現場から逃走していることから、逃走のおそれがあると判断される可能性があります。
また、AさんとBさんは「身代わりを立てよう」と共謀し、Aさんが真犯人であることを隠そうとしたため、AさんとBさんが口裏合わせをするなどの、証拠隠滅をするおそれがあると判断される可能性もあります。
このように、事件が起きたときの状況だけでなく、その後の犯人の行動によっても、勾留がつくかつかないか変わってしまう可能性があります。
もし、事件や事故を起こしてしまった場合は、一人で勝手に判断することなく、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめ致します。
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