ひき逃げによる道路交通法違反と過失運転致傷罪の疑いで男性を逮捕~千葉市緑区で起きたひき逃げ事件~
今回は、千葉市緑区で起きた自動車運転処罰法違反と道路交通法違反によるひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
<事案概要>
千葉南署は、自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、千葉市緑区在住の男性A(56)を逮捕しました。
逮捕容疑は7日、軽乗用車を運転し同区内にある交差点を右折しようとした際、対向車線を直進してきた女性V(35)のミニバイクと衝突し、Vに左脚骨折の重傷を負わせたまま逃走した疑いです。
同署によると、現場は十字路で、目撃者や防犯カメラの映像などからAが浮上したとのことです。
取調べに対し、Aは容疑を認めています。
(※1/11に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「車と衝突 ミニバイクの女性重傷 ひき逃げ容疑で警備員の男逮捕 千葉南署」記事の一部を変更して引用しています。)
<ひき逃げで問われる罪は?>
今回の事例を見てもらっても分かるように、「ひき逃げ罪」という犯罪はありません。
ひき逃げとは、道路交通法第72条第1項に違反する行為を指しています。
道路交通法第72条では、交通事故が起きた場合に運転手と乗務員は負傷者の救護などの措置(救護義務)と警察官への事故状況を報告する(報告義務)といった義務を果たす必要がある旨が規定されています。
そもそも、ひき逃げとは、交通事故を起こした際に現場をそのまま逃走する行為を指します。
そのため、ひき逃げは道路交通法で規定されている救護義務や報告義務を怠ったとして道路交通法違反に問われるということです。
道路交通法第72条に違反した場合の罰則については、同法第117条で以下のように規定されています。
車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があった場合において、第72条(交通事故の場合の措置)第1項前段の規定に違反したときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(第3項省略)
今回の事例で考えてみましょう。
VはAが運転する軽乗用車と衝突し、左脚骨折の重傷を負っています。
Vが負った怪我はAの運転に起因するものと判断されれば、今回の事例における罰則は、第2項で規定されている「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となる可能性が高いです。
<ひき逃げで問われる罪は一つじゃない?>
ひき逃げで問われる可能性がある罪は道路交通法違反だけではありません。
今回のように、自動車による交通事故で相手に怪我を負わせた場合、自動車運転処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)第5条で規定されている過失運転致傷罪に該当する可能性があります。
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
今回のAの運転が「運転上必要な注意を怠った」と判断されれば過失運転致傷罪に問われる可能性が高いです。
また、もしも事故当時にAが飲酒や信号無視などをしていたことが発覚した場合は、過失運転致傷罪ではなく危険運転致傷罪が適用される可能性が高くなります。
<ひき逃げ事件を起こしたら弁護士へ>
ひき逃げは、道路交通法違反や自動車運転処罰法違反などの複数の罪に問われる可能性が高い重大な事件です。
逮捕される可能性も非常に高く、初犯であっても起訴される可能性があります。
ひき逃げ事件のような複数の罪に問われる可能性がある事件の場合、法定刑などが複雑になってくるので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ひき逃げ事件はもちろん、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
すでにご家族が逮捕されてしまっている場合、ご依頼から最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。
本人から事実関係などを直接確認した上で、弁護士の方から現在の状況や今後の見通しについて詳しく説明を受けることができます。
千葉県内でひき逃げ事件を起こしてしまったという方や、ご家族がひき逃げで逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。