男性2人をはねて現場を逃走した女性をひき逃げの疑いで逮捕~千葉県木更津市で起きたひき逃げ事件~

ひき逃げ

今回は、歩道に車が突っ込んで男性2人を死傷させ、現場を逃走したとして女性が逮捕されたひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

<事案概要>

木更津市内の市道で18日、軽乗用車が歩道に突っ込み、歩道にいた60代ぐらいの男性2人がはねられました。
2人は病院に搬送され、1人の死亡が確認され、もう1人の男性もけがをしています。

軽乗用車は現場から走り去っており、木更津署は自動車運転処罰法違反(過失傷害)道交法違反(ひき逃げ)の疑いで同市在住の女性A(65)を現行犯逮捕しました。
Aは容疑を認めています。

同署によると、現場は片側1車線の直線道路でガードレールはなく、現場にいた被害者の関係者が、通りかかった同署員に報告して発覚しました。
約450メートル先に停車していたAを確保したようです。
(※10/20に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「歩道に車突っ込み男性2人死傷 事故後、現場から走り去る 容疑で逃走の女逮捕 千葉・木更津」記事の一部を変更して引用しています。)

<ひき逃げで問われる罪は?>

「ひき逃げ」という言葉は、ニュースなどで聞きなじみがある方も多いのではないでしょうか。
ただ、「ひき逃げ罪」という罪はなく、ひき逃げをして相手を死亡させたり怪我を負わせた場合は過失運転致死傷罪道路交通法違反が成立する可能性があります。

そもそも、ひき逃げとは自動車などで人身事故を起こした場合に、運転者が道路交通法で定められている義務を行わずに現場を逃走する行為を指します。
運転者に定められている義務の具体的な内容については、道路交通法第72条第1項で以下のように規定されています。

道路交通法第72条(交通事故の場合の措置)

交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(略)は、(~中略~)警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(略)を報告しなければならない。

交通事故を起こしてしまった場合、運転者は交通事故があったことを警察に報告する「報告義務と、負傷者がいる場合は救護する「救護義務があるということです。
つまり、人身事故を起こしてしまったにもかかわらず、上記義務を怠って現場を逃走した場合に、ひき逃げが成立します。

ひき逃げの処罰内容については、道路交通法第117条で以下のように規定されています。

道路交通法第117条

車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

(第3項省略)

今回の事例では、Aが運転する車が歩道に突っ込んだことで2人が死傷し、Aの運転に起因すると考えられるため、Aは10年以下の懲役刑100万円以下の罰金刑で処罰される可能性が高いです。

<ひき逃げは道路交通法違反以外の罪も成立する?>

ひき逃げは、救護義務違反による道路交通法違反の他に、過失運転致死傷罪が成立する可能性があります。
過失運転致死傷罪については、自動車運転死傷行為処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)第5条で以下のように規定されています。

自動車運転死傷行為処罰法第5条(過失運転致死傷)

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

今回の事例で、Aが運転上必要な注意を怠ったと判断されれば過失運転致死傷罪が成立することになります。

前述した救護義務違反による道路交通法違反と過失運転致死傷罪が成立した場合は、併合罪として、15年以下の懲役刑150万円以下の罰金刑で処罰される可能性があります。

<ひき逃げ事件を起こしてしまったら弁護士へ>

ひき逃げによる刑事事件は、検察官から起訴されて実刑判決が言い渡される可能性は十分にあります。
起訴を免れる不起訴処分の獲得や、起訴されて裁判になった場合に少しでも軽い判決を獲得するためには、被害者と示談を締結することが重要です。

弁護士に刑事弁護活動を依頼すれば、弁護士が代理人となり、自動車保険会社や被害者との示談交渉を行うため、示談がスムーズにまとまる可能性が高まります。
また、被害者が死亡してしまった場合でも、被害者遺族に対して誠心誠意の謝罪や見舞金などで誠意を示し、少しでも軽い判決を目指します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ひき逃げ事件による刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
千葉県内でひき逃げ事件を起こしてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。

初回無料の法律相談や、すでに逮捕されてしまっている場合は最短当日に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供していますので、ご依頼の際は24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

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