禁固刑と懲役刑の違いは?〜千葉県成田市で起きた過失運転致死傷事件の判決をもとに解説〜
ニュースや新聞で「禁錮◯年の判決」「懲役◯年◯ヶ月」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
禁固刑や懲役刑は、どちらも受刑者が刑務所に収容される刑罰を指しますが、少し違うところがあります。
今回は、禁錮刑とはどのような刑罰なのかについて、千葉県成田市で起きた過失運転致死傷事件で禁錮刑が言い渡された事案をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
<事案概要>
千葉県成田市の交差点で10代の男女2人が信号無視の大型トラックにはねられ死傷した事故の裁判で、千葉地裁は12月18日、運転手の被告人に禁錮3年6か月の判決を言い渡しました。
この事故は2023年6月、成田市の国道交差点で青信号で横断歩道を渡っていた男女2人が信号無視のトラックにはねられ死傷したものです。
女性は死亡し、男性は胸の骨を折るなどの重傷を負っていて、大型トラックを運転していた男性A(64)は過失運転致死傷の罪に問われています。
これまでの裁判で、検察側は禁錮5年を求刑し、弁護側は執行猶予付きの判決を求めていました。(以下略)
(※12/18に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「成田市で10代男女2人死傷事故 運転手の男 禁固3年6か月の判決」記事の一部を変更して引用しています。)
<禁錮刑とは>
今回の事案のAは禁錮3年6ヶ月の判決を言い渡されています。
禁錮刑とは、受刑者を刑務所に収容して身柄を拘束する刑罰のことです。
「これって懲役刑も同じじゃないの?」と思った方もいるかもしれません。
確かに、懲役刑も受刑者を刑務所に収容して身柄を拘束する刑罰なので、大まかに言うと同じです。
ただ、禁固刑と懲役刑の大きな違いは、刑務所内での刑務作業が義務付けられているかどうかという点です。
懲役刑は刑務所内での刑務作業が義務付けられていますが、禁固刑では刑務所内での刑務作業が義務付けられていません。
刑務作業とは、受刑者の円滑な社会復帰を目的とした所定の作業を指し、生産作業や自衛作業、社会貢献作業や職業訓練などがあります。
土日祝日が休みで1日8時間程度作業を行うので、一般企業と似た形態で働くことになります。
禁固刑では刑務作業が義務付けられていないため、部屋の中で1日を過ごすだけの生活になるということです。
刑務作業が義務付けられている懲役刑の方が禁固刑よりも刑罰としては重い位置付けになっていますが、自ら刑務作業を希望する禁固刑受刑者が多いです。
<禁固刑にも執行猶予がある?>
執行猶予とは、有罪ではあるものの執行が猶予される制度を指し、刑法第25条で以下のように規定されています。
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第1項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。
例えば、「懲役1年執行猶予3年」という判決を言い渡されると、懲役1年の執行を3年間猶予するという意味になります。
執行猶予期間中に何も問題を起こさなければ、判決時に言い渡された刑罰の効力は失われます。
条文にも記載されているように、禁固刑にも執行猶予が付くことはあります。
なので、禁固刑に該当する刑事事件を起こしてしまったという方は、執行猶予を獲得することができれば、すぐに禁錮刑が執行されることを阻止できるということです。
執行猶予を獲得したいという場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼して状況に応じた専門的なアドバイスをもらうことが重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件で執行猶予付き判決を獲得した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。
ご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)にてお待ちしております。
千葉県内で刑事事件を起こしてしまったという方やご家族が逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。