今回は、民家の敷地内で栽培されていた柿の木の枝を折ったとして、男性が器物損壊の疑いで検挙された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説いたします。
~事例~
千葉県富里市に住むAさん(50代男性)は、ある日の仕事帰りに、近所の住宅の敷地内に植えてある柿の木に大きな柿の実がなっているのを目にしました。
柿の木の枝は民家の生垣を越してAさんのいる道路まで伸びていました。
Aさんは、柿が好きだったこともあり、「少しくらい、いいだろう」と考え、柿の枝を折り、柿の実2個を持っていた通勤鞄にしまって持ち帰りました。
Aさんは柿を持ち帰ったものの、柿は熟れすぎていてあちこち虫が食べている状態だったので、食べずに生活ごみと一緒に処分しました。
後日、柿の枝が折られたと相談を受けた千葉県成田警察署から連絡があり、器物損壊罪の被疑者として取調べを受けることになってしまいました。
※本件事例はフィクションです
~解説~
柿の実が欲しいために枝を折って柿を窃取したAさんですから、まずは「窃盗罪」に該当すると考えられます。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する
ここで問題となるのが、窃取した柿の実の財物的な価値についてです。
例えば、柿の木の所有者(≒住人)が、売り物として出荷するためや、自分で食べるために管理して栽培をしていたのであれば、Aさんが窃取した柿の実は価値のあるものと判断される場合があります。
しかし、特に管理もしていなかったり、古くから育てている木そのものを管理することが目的で、柿の実について所有者(≒住人)が気に留めていない場合は、柿の実に財物的な価値はないと判断されることもあります。
もし、Aさんの窃取した柿の実に財物的な価値が認められなかったり、被害者様が柿の実に対しての窃盗被害を主張しなかった場合でも、「器物損壊罪」として罪に問われてしまうことがあるため、注意が必要です。
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(※前3条とは「公文書等毀棄」「私用文書等毀棄」「建造物損壊及び同致死傷」のことですが、ここでは割愛します)
~今後の弁護活動は?~
もしも、逮捕されてしまった場合、早期の身柄解放、身体拘束の長期化の阻止が極めて重要となるでしょう。
また、警察は余罪についても調べるため、逮捕された以外の容疑もある場合、逮捕が繰り返され、長期間外に出られなくなるおそれもあります。
なるべく早く弁護士を依頼し、弁護活動に着手してもらうことをお勧めします。
被害者様は、柿の木の枝を着られるという損害が生じているため、真摯な謝罪と、損害の賠償も必要と考えられます。
もし、謝罪と損害賠償が受け入れられ、さらに、告訴をしないこと、すでに告訴をしている場合はこれを取り消してもらうことができれば、器物損壊事件については必ず不起訴処分となります(器物損壊罪は親告罪であり起訴するためには被害者からの告訴が必要なため。詳しくは親告罪、刑法第264条参照)。
このように事件を解決できれば理想的ですが、当然、被害者様の被害感情が強ければ、謝罪や賠償を受け入れてもらえない事態も十分考えられます。
器物損壊の疑いで警察に検挙された場合には、すぐに刑事事件に熟練した弁護士の接見を受け、善後策を立てていく必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は日頃より刑事事件を数多くに受任し、数多く扱ってきた実績がございますので、どのような事件でも安心してご相談頂けます。
また、千葉県内のみならず、北海道(札幌市)、宮城県(仙台市)、埼玉県(さいたま市)、東京都(新宿区・八王子市)、神奈川県(横浜市)、愛知県(名古屋市)、大阪府(大阪市)、京都府(京都市)、兵庫県(神戸市)、福岡県(福岡市)と、全国各地に事務所がございます。
ご家族が器物損壊の疑いで逮捕された、警察から取調べを受けたなど、お困りの方は、是非、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所0120-631-881にご相談ください。