犯人蔵匿罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
Aさんは、検察庁の刑務所収容の手続きから逃げてきたBさんから「おれを匿ってくれ」と頼まれました。AさんはBさんの刑事裁判を傍聴し、Bさんが道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)で懲役1年の実刑判決を受けたことを知っていましたが「Bとは長年の付き合いがある」と思い、Bさんを自宅に招き入れ匿いました。しかし、後日、千葉県浦安警察署の捜査でBさんがAさんの自宅に入れ込んでいることが判明し、Aさんは犯人蔵匿罪、Bさんは犯人蔵匿罪の教唆犯とし逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~犯人蔵匿罪~
罰金以上の刑に当たる刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた場合には、犯人蔵匿罪が成立します。
犯人蔵匿罪のいう「犯人」は、①「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」、又は②「拘禁中に逃走した者」のいずれかをいいます。
まず、「罰金以上の刑に当たる罪」とは、法定刑が罰金以上の刑を含む罪をいいます。
例えば、侮辱罪(刑法第231条)の法定刑は拘留又は科料ですので、「罰金以上の刑に当たる罪」には該当しないことになります。
上の事案のBさんは、道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)という法定刑が3年以下の懲役又は50万円以下の罰金である罪で実刑判決を受けていますから、「罰金以上の刑に当たる罪」であるといえます。
次に、「罪を犯した者」については、犯罪の嫌疑を受けて捜査又は訴追されている者をいいます。
そのため、例えば、実際には罪を犯しておらず真犯人ではないものの、事件の容疑者として警察から捜査を受けているという立場にある人であっても「罪を犯した者」に含まれることになります。
上の事案のBさんは、すでに刑事裁判において実刑判決を受けていますので、訴追をされた者として「罪を犯した者」に含まれることになります。
そうすると、上の事案のBさんは、①「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」として、犯人蔵匿罪の「犯人」に当たることになります。
それから、「蔵匿」とは、警察官などによる犯人の発見や逮捕を防ぐために場所を提供して匿うことをいいます。
上の事案のAさんは、自宅という場所をBさんに提供して匿っていますので、「蔵匿」にあたります。
他方で「隠避」とは、場所を提供しないで匿う場合をいい、例えば「これで遠くへ逃げろ」と言って犯人にお金を渡すような行為が「隠避」にあたります。
そうすると、上の事案のAさんには、犯人蔵匿罪が成立してしまう可能性が高いです。
この場合、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることがあります。
~犯人蔵匿等の教唆犯~
上の事案において、Bさんについても犯罪が成立する可能性があります。
他人を唆して特定の犯罪を実行する決意を生じさせることを「教唆」といいます。
上の事案のBさんは、Aさんを唆して犯人蔵匿等罪に当たる行為をする決意をさせています。
犯人蔵匿罪について、犯人本人が逃走する行為については同罪は成立しませんが、Aさんのように他人に自らの蔵匿を依頼した場合には、犯人蔵匿罪の教唆犯が成立することがあります。
犯人蔵匿罪の教唆犯については正犯の刑を科すため、Bさんは3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
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