指定文化財に落書きした疑いで男を逮捕~千葉県市川市で起きた建造物損壊事件~
今回は、千葉県市川市にある文化財に落書きをした疑いで男が逮捕された建造物損壊事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
<事案の概要>
千葉県市川市の文化財に指定されている神社の門に落書きをしたとして、37歳の無職の男が25日、逮捕されました。
建造物損壊の疑いで逮捕されたのは、船橋市に住む37歳の無職の男Aです。
警察によりますと、Aは2024年1月、市川市の文化財に指定されている神社の門に黒い油性ペンのようなもので落書きをした疑いが持たれています。
(中略)
調べに対し、Aは「知りません」と容疑を否認しています。
市内の別の神社でも同様の被害が確認されていることから、警察は関連を含めて捜査しています。
(※6/25に『チバテレ+プラス』で配信された「市川市の指定文化財に落書きか 建造物損壊の疑いで男を逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)
<建造物損壊罪が成立する場合とは?>
建物に落書きをするだけで建造物損壊になるの?と、思われる方も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、今回のように油性ペンで建物に落書きした場合も建造物損壊罪が成立します。
建造物損壊罪は刑法第260条に以下のように規定されています。
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
ここでは「損壊」の意味が重要になります。
「損壊」とは、その物の効用を害することをいいます。
判例は、皿に放尿した事案で器物損壊罪が成立するとしたものがあります。
たしかに、たとえ皿が割れてなくても、通常は放尿された皿をまた使おうとは思わないので、効用を害されたといえそうです。
このように物を物理的に破壊した場合でなくても、その物の効用を害したといえれば「損壊」にあたります。
本件の場合も文化財という歴史的価値ある建物に、油性ペンという、消すのに労力を要するもので落書きをしたので、その物の効用が害されたといえるでしょう。
つまり、Aに建造物損壊罪が成立する可能性が高いということになります。
<事務所紹介>
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、建造物損壊事件はもちろん、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
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