殺人未遂罪で示談
千葉県香取郡神崎町に住むAさんは、かねてより隣人のVさんと折り合いが悪く、たびたびもめ事を起こしていました。
ある日、AさんはVさんに悪態をつかれたことで激高し、「殺してやる」などと言いながら包丁を振り回しました。
Vさんは包丁で切りつけられましたが、上手く身をそらしたのもあって肩に軽傷を負っただけで済みました。
その後、近隣住民の通報により警察が駆けつけ、Aさんは殺人未遂罪の疑いで逮捕されました。
香取警察署にてAさんと接見した弁護士は、示談に向けて動き始めることにしました。
(フィクションです。)
【殺人未遂罪について】
殺人に着手したものの、その目的を遂げなかった場合、殺人未遂罪が成立する可能性があります。
犯罪は何らかの保護されるべき利益を侵害した場合にのみ認められるのが原則ですが、一部の重大な罪に関しては例外的に侵害には至らなかった場合をも犯罪としています。
殺人未遂罪は、正にその典型例の一つだと言うことができます。
殺人未遂罪の成立要件は、人を殺害する具体的・現実的危険性を有する行為に及ぶことです。
この危険性の有無は様々な事情をもとに判断されるため、画一的にある一点だと言うことはできません。
ただ、注意しなければならないのは、相手方が傷害を負わなくともこうした危険性があったと判断されることがありうる点です。
たとえば、心臓に包丁を突き刺そうとしてかわされたというケースでは、怪我こそないものの殺害の危険性はあったと考えられます。
この場合には、殺人の着手が認められるとして殺人未遂罪が成立する可能性が出てくるでしょう。
殺人未遂罪で有罪となった場合の刑罰は、殺人罪の法定刑を基準に未遂という事実が加味されることで決定されます。
未遂を理由に刑が減軽されるとすると、最も重いもので無期懲役、最も軽いもので2年6か月の懲役が殺人未遂罪の刑ということになります。
未遂による刑の減軽を行うかどうかは一応裁判官に委ねられていますが、大半の場合減軽はなされると考えて差し支えありません。
【殺人未遂罪と示談】
殺人未遂罪も重大な罪であることには変わりないため、裁判が行われるのはもちろん、重い刑が科される可能性も非常に高いです。
そこで、最終的な結果を少しでもよいものにするには、やはり被害者との示談が重要になります。
話は変わりますが、刑事事件においては、最終的にいかなる罪の責任を追及するかということを検察官が決めることになります。
殺人未遂事件では、たとえ殺人未遂罪の疑いで逮捕されたり取調べを受けたりしても、最終的に検察官が暴行罪や傷害罪として処理することがあります。
その理由としては、殺人未遂罪での起訴が難しいというもののほかに、事件後の事情などを考慮して敢えて暴行罪や傷害罪を選んだというものがあります。
これは、犯罪の訴追を責務とする検察官に認められている裁量の表れです。
被害者との示談の成立は、上記の検察官の裁量に強い影響を及ぼす事情の一つとされています。
もし上手く示談を取り交わすことができれば、暴行罪や傷害罪となって遥かに刑が軽くなることが期待できます。
事案の内容次第では、暴行罪や傷害罪に切り替わったうえで不起訴となることもありえます。
このように示談は大きな役割を果たすので、万全を期すためにもぜひ弁護士の力を借りることをご検討ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、示談交渉に自信を持って取り組みます。
ご家族などが殺人未遂罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
香取警察署までの初回接見費用:43,100円