大学3年生のAさんは、千葉県松戸市内にある中高生向けの学習塾でアルバイトをしていました。
Aさんが受け持っている生徒の中に、特にAさんのことを好いているVさんがいました。
ある日、AさんはVさんから「先生の家に行ってみたい」と言われ、冗談で「いいよ」と言った結果、実際にVさんがAさん宅に来ました。
そして、Vさんにそれとなく誘われたことから、AさんはVさんの同意を得て性行為を行いました。
その日の夜、帰宅が遅かったVさんをVさんの両親が問い詰めたことで事態が発覚し、Aさんは千葉県青少年健全育成条例違反(淫行)の疑いで松戸警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は、「処分の見通しとしては略式手続による罰金の可能性が高い」と説明しました。
(フィクションです。)
【青少年健全育成条例違反(淫行)の罪について】
各都道府県において、青少年の保護を図るべく、青少年健全育成条例(地域により名称に差異あり)が定められています。
ここでの「青少年」とは、18歳未満の者を指します。
千葉県においても、「千葉県青少年健全育成条例」が定められており、県民や自治体に種々の義務を負わせています。
その中の一つに、いわゆる淫行の禁止があります。
千葉県青少年健全育成条例(一部抜粋)
第二十条 何人も、青少年に対し、威迫し、欺き、又は困惑させる等青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段によるほか単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められない性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
条文が複雑になっている理由としては、結婚を前提とするなど真摯な交際関係の下における性行為等への適用を除外するためです。
ただ、そうした性行為等に当たるという認定は実務上珍しく、正当に主張できる事案というのは限られています。
加えて、条文から読み取れるように、青少年は性行為等に同意していたかどうかは淫行の該当性の判断に関係ありません。
以上から、青少年に対する性行為やわいせつな行為は広く淫行に当たると言って差し支えないでしょう。
違反した場合の罰則は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金とされています。
【略式手続とは何か】
今日の日本において、罰金刑を科す場合に法廷で裁判を行うことは比較的少なくなっています。
その理由は、罰金刑に相当する多くの事案が略式手続により処理されているためです。
略式手続とは、100万円以下の罰金または科料を科すのが相当な事案において、通常の裁判よりも簡素な手続で迅速に事件を処理するというものです。
裁判の一種であり、有罪となった場合に刑罰が科されるという点は変わりませんが、その審理を公開の法廷ではなく書面上で行うという大きな特徴があります。
ですので、被告人から見ると、裁判への出廷に伴う負担と事件が公になることを回避できるというメリットがあると言えるでしょう。
審理が終わると、被告人に略式命令という判決に代わるものが送達され、罰金を納付することになります。
略式手続による場合、被告人は公の場で正規の裁判を行ってもらう機会を失することになります。
そこで、検察官は略式手続に先立ち被疑者の理解と同意を得なければならず、なおかつ略式命令の送達から14日が経過するまでは正式裁判を請求できるとされています。
きちんと争うことで無罪を獲得できる事案などは、敢えて略式手続に従わないことにもメリットがあります。
そのあたりの判断は弁護士に任せるのが適任だと考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、略式手続などの耳慣れない制度についても丁寧にご説明します。
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