放火罪で少年院回避
千葉県印西市に住むAさん(14歳)は、放課後に幼馴染のBさんと過ごすのが日課でした。
Bさんは学校の内外で頻繁に問題を起こしており、Aさんは嫌なことを断れない性格なのもあって仕方なくBさんに付き合っていました。
ある日、Bさんの提案で火遊びをすることになり、AさんはBさんに言われて燃えそうな物を集めたりしました。
そして、Bさんが他の友人数名とともに火をつけたところ、火が予想以上に強くなって周辺を焦がすに至りました。
このことを印西警察署が把握し、AさんはBさんらとともに建造物等以外放火罪の疑いで捜査を受けることになりました。
Aさんの両親は、Aさんが少年院に行かなければならないのか弁護士に聞いてみました。
(フィクションです。)
【放火罪について】
建造物等(建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑)を放火して焼損したり、それ以外の物を放火して公共の危険を生じさせたりした場合、放火罪が成立する可能性があります。
放火罪は、大きく分けると①他人の住居または他人の建造物等を放火する場合、②①以外の建造物等を放火する場合、③建造物等以外を放火する場合の3つがあります。
①は現住・現在建造物等放火罪、②は非現住建造物等放火罪、③は建造物等以外放火罪と呼ばれており、成立要件や法定刑がそれぞれ異なります。
上記事例において、Aさんらは建造物等以外の物に放火しています。
そのため、問題となる罪は③の建造物等以外放火罪であると考えられます。
建造物等以外放火罪の成立を肯定するには、建造物等以外の物に放火するだけでなく、それにより公共の危険を生じさせる必要があります。
公共の危険とは、不特定または多数人の身体や財産を脅かす危険だと考えられています。
ですので、建造物等以外放火罪の成立要件は、①対象物への放火および②人や対象物以外の物への危険の発生ということになります。
上記事例のように火が燃え広がったケースでは、公共の危険の発生が認められて建造物等以外放火罪が成立する可能性が高いと考えられます。
ちなみに、上記事例のAさんは火をつけていませんが、それでもBさんらと同様に放火罪が成立する余地はあります。
共犯事件においては、たとえ犯行の一部(燃えそうな物の収集)に関与した場合でも、協力して一つの罪を犯した以上は全員に責任を負わせるべきだとされているためです。
【少年院送致を回避するには】
20歳未満の者は少年とされ、その者による事件は少年事件として通常の刑事事件とは異なる処理が行われるのが原則です。
少年の心身が一般的に未成熟であることを考慮し、健全な育成を実現すべく成人よりも慎重に対応するためです。
そうした趣旨に由来する少年事件の特徴の一つとして、少年事件においては刑罰が科されないという点が挙げられます。
少年事件は一部を除いて家庭裁判所に送られ、そこでの調査と審判を通して少年ひとりひとりに適した措置(保護処分)が決定されます。
保護処分の中で最も周知されているものとして、少年院送致が挙げられるかと思います。
少年院送致は、少年を少年院で生活させ、そこでの教育・指導を通して少年の更生を目指す保護処分です。
少年院への収容が必要となる点で、数ある保護処分の中では最も制約が大きいものとして位置づけられています。
少年院送致が妥当か判断するに当たっては、犯した罪の軽重だけでなく、少年の日頃の生活態度や環境も重視されることになります。
ですので、少年自身とその周囲次第で、少年院に行かなければならないかどうかというのは大きく変わってきます。
大切なのは、少年が抱える問題点をあぶり出し、それを改善するための具体的な方策を家庭裁判所にきちんとアピールすることです。
そうしたアピールを行ううえでは、少年事件に詳しい弁護士が大きな力となることでしょう。
少年院に関して不安があれば、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に詳しい弁護士が、少年院送致を回避したいという要望を真摯にお聞きします。
お子さんが放火罪を犯したら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
印西警察署までの初回接見費用:41,500円