千葉県松戸市の受け子・出し子(前編)

特殊詐欺の受け子や出し子として逮捕された場合の刑事責任と刑事事件の展開について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説いたします。

千葉県松戸市の特殊詐欺事件~電話de詐欺~

千葉県在住のAさんは、SNSで特殊詐欺グループと知り合い、詐欺の手伝いの依頼を受けました。
特殊詐欺グループのかけ子Xが、松戸市に住むVさん(80代・女性)に警察を装って電話をかけ、
「キャッシュカードが勝手に使われていますよ、」
と虚偽の事実を伝え、警察署の職員がキャッシュカードを確認しに家に行くと伝えました。
その後Aさんは、かけ子Xからの指示に従って、Vさんの家に行きました。
そして、Aさんは、玄関先でVさんから受け取ったキャッシュカードを封筒に入れ、偽のキャッシュカードが入った封筒とすり替えました。
AさんはVさんからキャッシュカードを受け取った後、その足でATMに向かい、現金100万円を引き出しました。
その後、Vさんは詐欺の被害に遭ったと気づき、警察に通報しました。
Aさんは事件を起こした1カ月後、千葉県松戸警察署により逮捕されました。
Aさんが逮捕されたことを知ったAさんの家族は、刑事事件を扱う法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです。)

本ブログは、前編・後編に分かれています。後編はコチラ

 

特殊詐欺の受け子・出し子

まず、受け子とは、特殊詐欺グループのうち、被害者から現金を直接受け取る役割の者をさします。
受け子は、詐欺グループの共犯者であり、有罪判決が下された場合 10年以下の懲役が科されます(刑法246条1項)。

 

次に、出し子について説明します。

出し子とは、現金を引き出す役割の者を指します。

厳密にいうと、出し子は2パターンに分けることができます。

<パターン1>

 騙された被害者が、詐欺グループの持つ銀行口座にお金を振り込み、その振り込まれたお金を引き出すケース

<パターン2>

 被害者から預かったキャッシュカードを用いて、現金を引き出すケース(←上記した松戸市の事件例はこちら)

<パターン1>の場合、出し子がどのタイミングで詐欺事件に関与したかによって、罪名が変わる可能性があります。

どういうことかと言いますと、例えば、詐欺グループの銀行口座内に、被害者の預金が振り込まれるから、事件に関与した場合は、詐欺の共犯者として扱われる可能性があります。

一方で、詐欺グループの銀行口座内に、被害者の預金が振り込まれたから、事件に関与した場合は、既に詐欺の実行行為が終わった段階(:詐欺事件が既遂となっている)からの関与となります。
そのため、詐欺罪の共犯者にならず、銀行に対する窃盗罪が成立する可能性があります。

なぜ、銀行に対する窃盗罪が成立する可能性があるのでしょうか。
判例によりますと、誤振込みされたお金など、真の権利者にお金を返すべき事情がある場合は、銀行が誤振込みされたお金を占有していることとなるようです。

よって、<パターン1>において、お金が振り込まれる前から詐欺事件に関与していた場合の、出し子によりお金の引き出しは、銀行の意思に反する財産の移転が行われていることになるため、窃盗罪が成立する可能性があります。

窃盗罪が成立し有罪判決が下された場合は10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。

 

上記した松戸市のAさんの行為は、<パターン2>のケースにあたります。
<パターン2>においても、Aさんは、被害者Vさん本人ではないのに、銀行が占有するVさんのお金を、銀行の意に反して引き出しているため、銀行に対する窃盗罪が成立する可能性があります。

それでは、出し子の行為は詐欺罪に問われることはないのでしょうか?
出し子の場合、詐欺事件への関与の仕方によっては、詐欺罪共謀共同正犯として検挙されることは考えられます。
詐欺罪共謀共同正犯とは、詐欺の実行行為には加担していないものの、共犯者として犯罪の計画を立てるなど重要な役割を果たした人のことをいいます。

まとめると、Aさんが起こしてしまった松戸市の詐欺事件の場合、Aさんは窃盗罪詐欺罪が成立する可能性があります。

次回のブログでは、受け子・出し子をした場合の刑事事件の展開について解説致します。→次回はこちら

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その後、ご家族様へ事件の見通しについてご報告をさせていただきます。

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