友人から譲り受けた盗品等を転売して発覚した盗品等無償譲受事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
友人から譲り受けた盗品等を転売して発覚した盗品等無償譲受事件
千葉県浦安市に住む無職のAさんは、高校時代の友人から「新品のパソコンがあるけどいるか?」と言われて、そのパソコンを無償で譲り受けました。
Aさんは少し前に、この友人から「アルバイトをしている家電量販店の荷卸しの際に、新品のパソコンを盗んでもバレない。」と聞かされたことがあったので、このパソコンもアルバイト先から友人が盗み出した物であることは分かっていましたが、すぐに売ってしまえば大丈夫だろうと軽い気持ちでパソコンを譲り受けたのです。
そしてAさんは、そのパソコンを近所のリサイクルショップに買い取ってもらいました。
それからしばらくして、Aさんのもとを「リサイクルショップに売ったパソコンのことで話しを聞きたい。」と千葉県浦安警察署の警察官が訪ねてきました。
(フィクションです。)
盗品等に関する犯罪
刑法では、盗品等を譲り受けたり、保管や運搬、そして有償処分のあっせんを禁止しています。
刑法第256条
1 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
この法律は、財産犯罪の被害品に対する関与行為を処罰するための法律で、財産犯の犯人を庇護的な性格を持っています。
この法律でいう「盗品等」とは、窃盗事件の被害品に限られず、詐欺事件や恐喝事件、強盗事件等、財産に対する犯罪の被害品も含まれますが、収賄罪で収受された賄賂や、漁業法違反によって採取された魚介類は該当しません。
つまり財産犯によって領得された財物がこの法律でいうところの「盗品等」に当たるのですが、その財産犯罪が、有責であることまで必要としません。
例えば、14歳未満の刑事未成年者が窃盗事件を起こして盗み出した財物を譲り受けた場合でも盗品等の罪には抵触します。
ちなみに盗品等の罪が成立するには、行為者の「故意」が必要となります。
この法律でいうところの「故意」とは、盗品等であることの認識になりますが、この認識は財産犯罪の詳細まで把握する必要はなく、その財物が何らかの財産犯によって領得された物である程度の認識は必要でしょう。
Aさんは、友人がアルバイト先から盗み出したパソコンであることを知って、そのパソコンを友人から無償で譲り受けているので、盗品等無償譲受罪に抵触することになるでしょう。
盗品等無償譲受事件の取調べ
警察等の捜査当局が、盗品等無償譲受事件を捜査する大きな目的は、その盗品等にかかる財産犯事件の犯人を検挙することです。
今回の事件の場合、Aさんは、パソコンが盗品等であることの認識があったかどうかを厳しく追及されると共に、そのパソコンの入手経路についても厳しく追及されるのではないでしょうか。
盗品等無償譲受事件に強い弁護士
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