強制わいせつ罪と少年院送致について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
【ケース】
千葉県浦安市に住むAさんは,中学3年生の頃,強制わいせつ事件を起こして家庭裁判所で保護観察処分を受けました。
ですが,そのときにAさんの両親は特段Aさんに指導などを行わず,「そういう年頃だから」と楽観的に受け止めていました。
やがてAさんは高校に入学し,近所に住む女児Vさん(8歳)にわいせつな行為をするという事件を起こしました。
なお,この事件の際,AさんはVさんに暴行や脅迫を加えて無理やり行為に及んだわけではありませんでした。
この事件に関して被害届を受けた浦安警察署は,強制わいせつ罪の疑いでAさんを逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は,弁護士から少年院について説明を受けました。
(フィクションです。)
【強制わいせつ罪について】
刑法(一部抜粋)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪は,被害者が13歳以上か否かによって成立要件が異なります。
被害者が13歳以上の場合は,「強制わいせつ罪」という名のとおり,暴行または脅迫を手段としてわいせつな行為に及ぶことで強制わいせつ罪が成立します。
一方,被害者が13歳未満の場合は,暴行・脅迫がなくともわいせつな行為のみで強制わいせつ罪が成立します。
13歳未満の者は性的な事柄に関する判断能力を一般的に欠いているため,同意を理由に強制わいせつ罪の成立を否定すべきではないという考えに基づき,こうした区別がなされています。
上記ケースでは,Aさんが8歳のVさんに対してわいせつな行為を行っているものの,暴行や脅迫は加えていません。
ですが,先述のとおり13歳未満の者については暴行・脅迫が不要であることから,Aさんには強制わいせつ罪が成立すると考えられます。
ちなみに,わいせつな行為は,無理やりキスをする,乳首を弄ぶ,陰部に触る,といったものが挙げられます。
ただし,通常の性交,口腔性交,肛門性交については,強制性交等罪により更に重く処罰される余地があります。
【少年院送致について】
少年(20歳未満の者)が罪を犯した場合,その事件は少年事件となり,原則として通常の手続ではなく少年事件特有の手続によることになります。
少年事件特有の手続の最たる特徴は,最終的な処分が刑罰ではなく保護処分というものである点です。
一般に,少年は心身が未成熟で可塑性があることから,家庭裁判所の適切な介入によって少年の更生や健全な育成を図るという趣旨によります。
保護処分は家庭裁判所での審判を経て下されるものであり,少年院送致は保護処分の一つに位置づけられます。
少年院送致は,少年を少年院に収容し,そこでの教育を通して更生を図るというものです。
少年の更生を図るという点では少年の健全な育成に奉仕する処分ですが,少年院での生活を余儀なくされる以上,可能ならば避けたいというご要望をお持ちの方もいらっしゃいます。
少年院送致を避けるためには,少年を本来の生活圏に置いたままでも更生が見込めることが重要だと言えます。
具体的には,両親による適切な指導・監督,友人関係の整理,少年の嗜好の矯正,などが挙げられます。
少年の性格や周囲の環境に関する問題点は,少年本人やその両親からは分かりにくいことが往々にしてあります。
もし少年院送致が行われないか不安であれば,ぜひ一度弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に強い弁護士が,少年院送致を回避してほしいというご要望に沿うべく奔走します。
お子さんが強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご案内はこちら)