痴漢事件と前科
痴漢事件と前科について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【ケース】
千葉県八千代市に住むAさんは、自宅近くの駅から電車に乗った際、正面に立っていた制服姿の女性Vさんに痴漢をしようと思いました。
そこで、偶然を装ってVさんの下半身に数回手を当てたあと、Vさんのお尻を撫でまわしました。
それに気づいたVさんが「痴漢です」と声を上げたことで、Aさんは途中で降車させられて八千代警察署の警察官に引き渡されました。
Aさんは千葉県迷惑防止条例の疑いで捜査を受けることになったため、弁護士に相談しに行きました。
Aさんから相談を受けた弁護士は、Aさんに痴漢の前科があることを確認し、前科がもたらす影響について説明しました。
(フィクションです。)
【痴漢事件に適用される迷惑防止条例違反の罪】
Aさんは、電車内でVさんのお尻を撫でまわすという痴漢行為に及んでいます。
こうしたケースにおいては、第一にいわゆる迷惑防止条例違反の罪が成立すると考えられます。
日本の各都道府県が定めている迷惑防止条例は、他人の身体に触れる行為を禁止する規定を置いています。
千葉県においてもいわゆる千葉県迷惑防止条例(正式名称は「公衆に著しく迷惑を掛ける暴力的不良行為等の防止に関する条例」)が制定されており、痴漢に対してはそれが適用されることが見込まれます。
3条(一部抜粋)
2 何人も、女子に対し、公共の場所又は公共の乗物において、女子を著しくしゆう恥させ、又は女子に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。男子に対するこれらの行為も、同様とする。
上記規定は、簡単に言うと「公共の場所又は公共の乗物」における「卑わいな言動」を禁止するものです。
お尻を撫でまわすといった痴漢行為は、上記「卑わいな言動」に当たると考えられます。
罰則は、通常の場合6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習の場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
常習に当たるかどうかは、痴漢の前科の有無、回数、内容、前科の件から今回の件までに空いた期間などの事情を考慮して判断されると考えられます。
【前科が刑事事件にもたらす影響】
一般的に、「前科」という言葉は複数の意味で使用されています。
今回は、過去に罪を犯して刑罰まで受けた経歴を「前科」として、刑事事件において前科がどのような意味を持つのか説明します。
想像に難くないかと思いますが、刑事事件において前科の存在は否定的な評価を受けるのが通常です。
過去にルールに反して責任を負ったにもかかわらず、再びルール違反に及んだということになるからです。
ただ、具体的にどの程度の影響力を持つかについては、前科の内容や前科を負った時期などによりかなり異なります。
たとえば、性犯罪に及んだ者に性犯罪の前科があった場合、捜査機関や裁判所の印象は悪くなる可能性が高いと言えます。
具体的には、初犯なら不起訴で済んだはずのケースが罰金刑となったり、初犯なら少額の罰金刑で済んだはずのケースが懲役刑となったりするおそれがあります。
また、たとえば前科を負った直後に罪を犯した場合も、やはり捜査機関等の印象は悪くなる可能性が高いでしょう。
逆に、前科を負ってから数十年が経過していれば、その前科が及ぼす悪影響が極めて薄まることも十分ありえます。
実際の事件における前科の影響は、やはり前科の内容と今回の事件の内容を加味した複雑な判断を要することが予想されます。
もし前科をお持ちでなおかつ刑事事件を起こされたら、ぜひ弁護士に疑問をぶつけてみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、前科に関する疑問を解消いたします。
痴漢を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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