中学生の通貨偽造罪と保護観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【ケース】
千葉県習志野市に住むAさん(14歳)は、最近発売された新作のゲームを買いたいと両親にお願いしましたが、成績が下がっていることを理由に拒否されました。
それでもゲームが欲しかったAさんは、1万円札を模したメモ帳を購入したうえで、プリンターなどによる加工を経て1万円札様の偽札を複数枚つくりました。
そして、市内にあるショッピングモールにて偽札を差し出したところ、偽札だと見破られて警察に通報されました。
その結果、Aさんは通貨偽造罪および偽造通貨行使未遂罪の疑いで習志野警察署の捜査を受けることになりました。
Aさんの両親から相談を受けた弁護士は、なんとか保護観察にとどめることを目指すべきだと助言しました。
(フィクションです)
【通貨偽造罪について】
刑法(一部抜粋)
第百四十八条 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
通貨偽造罪は、その名のとおり「通貨」(日本で使用できる硬貨や紙幣)を「偽造」した場合に成立する可能性のある罪です。
まず、通貨偽造罪は、その成立に「行使の目的」という主観的な事情を要する類型です。
そのため、通貨偽造罪の成立を認めるためには、単に通貨を偽造しただけにとどまらず、その際に通貨を行使する目的があったと言えなければなりません。
ここで言う「行使の目的」とは、偽造したものを真正な通貨として流通させる目的を指します。
偽札を買い物に使おうとして通貨を偽造したのであれば、基本的にこの要件に該当すると考えられます。
次に、「偽造」とは、権限のない者が通貨に似た見た目のものを作成することを指します。
ただし、偽造した通貨の完成度は、一般人が本物の通貨だと誤信するに足りる程度でなければならないと考えられています。
つまり、一目見て偽札だと見破れるものであれば、「偽造」したとは言えず通貨偽造罪に当たらない余地が出てきます。
とはいえ、その場合であっても「通貨及証券模造取締法」という法律により罰せられる可能性があるため注意が必要です。
【少年事件における保護観察の特徴】
「少年」(20歳未満の者)が罪を犯した場合、その少年に対しては原則として刑罰が科されません。
その代わりに、少年の更生と健全な育成を図るべく、保護処分という少年事件に特有の処分が予定されています。
保護処分は家庭裁判所の審判を経て行われるものであり、①少年院送致、②児童養護施設・児童自立支援施設送致、③保護観察の3つがあります。
また、上記のような処分が下されないケースとして、不処分(審判の結果何らの保護処分も下さないこと)や審判不開始(そもそも保護処分を決めるための審判をしないこと)とされる場合があります。
今回弁護士が目指すべきだとしているのは、上記のうち③の保護観察という処分です。
少年事件における保護観察は、上記①②と異なり、基本的に在宅で少年の更生を図る処分です。
少年は心身共に発育段階にあるので、やはり本来の居場所である各家庭で円満な生活を送るのが望ましいと思われます。
そうであれば、数ある処分の中から保護観察を目指すのは有力な選択肢となるでしょう。
先述のとおり、保護観察は主に在宅での更生を目指すものであることから、果たして少年の家庭がそれに適するかどうかが見られることになります。
その点につきいかなるアピールができるかという点は、弁護士に相談して助言を得ることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件の経験豊富な弁護士が、保護観察をはじめとする、少年ひとりひとりに応じた最善の処分を検討して活動します。
お子さんが通貨偽造罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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