女子トイレでの盗撮事件と勾留①

女子トイレでの盗撮勾留について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ケース】

千葉県千葉市に住むAさんは、盗撮目的で市内にある公民館の女子トイレに侵入しました。
そして、個室に入ってしばらく息を潜めていたところ、隣の個室に人(Vさん)が入ってきました。
Aさんが個室の隙間からスマートフォンを差し向けると、たまたま画面に手が当たって動画の撮影終了ボタンをタップしてしまい、その音でVさんに盗撮していると気づかれました。
Aさんが女子トイレを出たところ、Vさんの悲鳴を聞いた男性に身柄を確保されました。
その後、Aさんは建造物侵入罪の疑いで千葉西警察署に連行されました。
Aさんと接見した弁護士は、勾留の阻止または短縮を目指して弁護活動を開始しました。
(フィクションです。)

【女子トイレでの盗撮に成立する罪】

上記事例のように、女子トイレに侵入したうえで盗撮を行った場合、以下のとおり犯罪に当たる可能性があります。

①女子トイレへの侵入
男性(女性)が女子(男子)トイレに侵入した場合、建造物侵入罪が成立する可能性があります。
建造物侵入罪は、正当な理由がないのに人の看守する建造物に侵入した場合に成立する可能性のある罪です。
まず、「正当な理由」とは、建造物侵入罪の違法性を阻却するような事情を指すと考えられています。
簡単に言うと侵入を正当化できるような事情であり、たとえば暴漢から隠れようとした場合、精神疾患の影響で自身の行為の意味が正しく認識できなかった場合などが考えられます。
次に、「人の看守する」とは、人や設備によって外部からの侵入を防止できるような措置がとられていることを指します。
ただ、四六時中厳重に管理がなされている必要はなく、誰も管理していない空き家などでない限りこの要件が否定されることはないかと思います。
また、「建造物」については、トイレや物置小屋などの小さな単位でも該当します。
最後に、「侵入」とは、管理者の意思に反する立入りを指すと考えられています。
通常、男性が盗撮目的で女子トイレに侵入することを管理者が許容しているとは考えられないでしょう。
以上の各要件を上記事例に当てはめると、Aさんには建造物侵入罪の成立が見込まれます。
罰則は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

②女子トイレでの盗撮
一般的に、盗撮とはカメラなどで他人を密かに撮影する行為全般を指すかと思います。
犯罪として処罰の対象となるのは、そうした盗撮のうち特定の態様のものに限られています。
具体的には、下着や裸などの盗撮です。
そうした盗撮を処罰する条例として、第一に各都道府県が定める迷惑(行為)防止条例が挙げられます。
千葉県においても「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」が定められています。
この条例は、「公共の場所又は公共の乗物」における「卑わいな言動」を禁止しており、「卑わいな言動」に下着や裸などの盗撮が含まれるとされています。
上記事例では、Aさんが公民館の女子トイレにおいてVさんを盗撮していることから、上記条例違反に当たると考えられます。
罰則は、通常の場合6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習の場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
ちなみに、公共の場所や公共の乗物以外での盗撮(たとえば人の住居)については、軽犯罪法違反として拘留また科料が科される可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、盗撮をはじめとする多種多様な刑事事件に関するご相談をお受けしております。
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