土下座強要事件が不起訴

土下座強要事件が不起訴

Aさんは、千葉県長生郡一宮町にあるコンビニへ行き、そこで買い物をして会計をしようとしました。
すると、商品のつめ方が悪かったからか、購入したパンが潰れた状態で袋に入っていました。
これについてAさんが従業員のVさんに文句を言ったところ、Vさんは渋々謝罪をするような態度を見せました。
これに強い怒りを覚えたAさんは、店長を呼んだうえで、店の悪評を流すことを示唆して土下座をさせました。
その後、Aさんは強要罪および威力業務妨害罪の疑いで茂原警察署逮捕されました。
接見に来た弁護士に対し、Aさんは不起訴にできないか聞いてみました。
(フィクションです。)

【土下座強要について】

最近、買い物客が従業員に土下座するよう迫る土下座強要事件が数回起こりました。
土下座強要をする客としては、従業員が何らかの失敗をした以上、そのことを謝罪するのは当たり前だと感じるかもしれません。
ですが、場合によっては警察が介入して刑事事件となる可能性があることは留意しておく必要があります。

土下座強要を行った場合、第一に強要罪の成立が考えられます。
強要罪は、暴行または脅迫を手段として、相手方に義務のない行為を行わせた場合に成立する可能性のある罪です。
土下座強要事件では、周囲の物に暴行を加えられたり、店の商品や従業員の身体を害する旨の告知がなされたりする場合があります。
そうした行為が内容次第では暴行・脅迫に当たり、土下座という義務のない行為を行わせる手段となることで強要罪が成立する可能性があるのです。

第二に、土下座強要により店などの業務に支障が及びうることから、威力業務妨害罪の成立も考えられます。
威力業務妨害罪は、その手段が「威力」という暴行・脅迫より弱い行為であっても、業務を妨害する危険性さえ認められれば成立する余地があります。
たとえば、従業員を長時間怒鳴りつける行為は必ずしも脅迫とは言えませんが、「威力」には当たるとして威力業務妨害罪が成立する可能性はあります。

【起訴猶予による不起訴の可能性】

刑事事件と聞くと、最終的に有罪となって刑罰が科されるのが通常だと考える方も多いかもしれません。
ですが、実際には必ずしもそうとは限らないどころか、実に全体の6割超が不起訴となっています。

不起訴には様々な理由がありますが、最も多いのは起訴猶予による不起訴で、検察官が処理する事件の6割弱かつ不起訴の理由の約9割を占めています。
起訴猶予とは、たとえ起訴して犯罪を立証できる事案だったとしても、様々な事情を考慮して起訴を見送るというものです。
これにより、たとえ罪を犯したことが明らかであっても、不起訴となって刑罰を受けることなく事件から解放されることになります。

起訴猶予による不起訴につながりやすい事情としては、やはり被害者との示談の締結が挙げられます。
示談は謝罪や被害弁償などを伴うのが大半であり、これにより当事者間で事件が解決したものと評価されることが多いです。
そうすると、特に特定の個人または団体のみを被害者とする罪については、もはや積極的に責任を追及する必要がないと判断されます。
その結果、検察官が不起訴の判断を下して事件が終了するというかたちになっています。

起訴猶予を含む不起訴に共通するのは、刑罰を免れられるという効果を持つ以上、その実現がそう容易ではない点です。
もし不起訴を実現するのであれば、やはり弁護士にきちんと対応してもらうのが得策でしょう。
ですので、困ったらひとまず弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、数多くの刑事事件を経験している弁護士が、よりよい弁護活動を目指して日々奔走しています。
ご家族などが土下座強要事件を起こして逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

初回相談料:無料
茂原警察署までの初回接見費用:39,700

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら