準強制わいせつ罪と接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
Aさんは、帰宅途中にあるコンビニの駐車場で220歳前後と思しき女性Vさんが寝ているのを発見しました。Aさんが「大丈夫ですか」と声を掛けたところ、Vさんから酒の匂いがしたことから、酒に酔って寝ているのだと認識しました。それをチャンスだと考えたAさんは、Vさんの服に手を差し入れ、胸を揉むなどのわいせつな行為をしました。その後、Aさんは準強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。逮捕の知らせを受けたAさんの妻は、弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
~準強制わいせつ罪~
準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。
刑法178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
心神喪失とは、精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。責任能力における心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります。
抗拒不能とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。睡眠中、泥酔中、麻酔中、催眠状態など、心神喪失以外の理由でわいせつな行為をされていることを認識していない場合がこれに当たります。また、わいせつな行為をされること自体認識していても、加害者の言動によりこれを拒むことを期待することが著しく困難な状態なども含まれます。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。当該状態を作出した者とわいせつ行為をした者が同一であることは必要ではありません。ただし、この場合、本罪が成立するには、わいせつ行為をした者が、被害者が当該状態にあることを認識しておく必要があるでしょう。「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。
本罪は故意犯です。加害者において、「被害者が心神喪失、抗拒不能の状態にあること」、「被害者を心神喪失、抗拒不能の状態にさせたこと」、「わいせつ行為に及んだこと」を認識している必要があります。なお、わいせつ行為か否かは社会通念から判断されます。胸、陰部を触る行為は、社会通念上「わいせつな行為」と判断されますから、いくら「わいせつな行為ではない」と反論しても意味がありません。
~弁護士接見のメリット~
弁護士が行う接見には、以下のメリットがあります。
①日時や回数の制限がない
一般接見(弁護士以外の面会(接見))の場合、1日1回15分程度というかたちで接見が制限されるのが通常です。
更に、接見ができるのは長期の身体拘束である勾留が決定した後であり、勾留決定まで(おおむね逮捕から2~3日後)は多くの警察署において接見が許されません。
これに対し、弁護士はよほどのことがない限り日時や回数を問わず接見できます。
②立会人を要しない
一般接見では、証拠隠滅の手助けなどを防ぐ目的で、警察署の職員が接見に立ち会うことになります。
一方、弁護士との接見は秘密が保障されており、被疑者・被告人としてどのような内容でも心置きなく話すことができます。
この点は、特に捜査機関に発覚していない罪がある場合などに重要となります。
③接見禁止の影響を受けない
特に共犯事件において、主に証拠隠滅を防ぐという観点からいわゆる接見禁止が付くことがあります。
この場合、一般人は接見を行うことができなくなりますが、弁護士は影響を全く受けません。
④検察庁や裁判所で限られた時間接見できる
一般接見が可能な場所は警察署のみであり、被疑者・被告人が何らかの手続のために検察庁や裁判所にいる間は接見できません。
ですが、弁護士であればそれらの場所で限られた時間接見を行うことが許されており、目前に控えた手続に先立ち助言をすることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、準強制わいせつ罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。