名誉毀損罪で告訴取消し
千葉県安房郡鋸南町在住のAさんは、同町内に住んでいるVさんに対し、個人的に嫌悪感を抱いていました。
ある日、Aさん宅の近所であるBさん宅にて、金庫に入っていた現金が盗まれる窃盗事件が発生しました。
Aさんはこの機会にVさんを町から追い出そうと思い、住民に「実はVが脇に何かを抱えてBさんの家出てくるのを見た。きっとあいつが犯人だ」と広めて回りました。
これによりVさんは事件の犯人ではないかと噂されるようになりましたが、やがて真犯人が逮捕されたことでそれも収束しました。
この件でVさんが立山警察署に告訴したため、Aさんは名誉毀損罪を疑われることになりました。
Aさんはすぐに弁護士に相談し、告訴を取り消すことができないか聞いてみました。
(フィクションです。)
【名誉毀損罪について】
名誉毀損罪は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立する可能性のある罪です。
まず、「公然と」とは、不特定また多数人が認識できる状態で、という意味だとされています。
名誉毀損罪は人の社会的評価の侵害を処罰する罪であることから、このように社会の認識にかかわる要素が必要とされています。
ただし、より軽い罪である侮辱罪とは異なり、事実の摘示が要件となっています。
単に「馬鹿」や「間抜け」などの価値判断を示すにとどまらず、社会的評価の低下を招く具体的な事柄を内容とするということです。
そうした事柄であれば、たとえそれが真実であっても(後述の特殊な場合を除いて)名誉毀損罪は成立する余地があります。
また、社会的評価の低下は目に見えるものではないことから、条文上「毀損した」とあるもののその危険性さえ認められればよいと考えられています。
上記事例では、Aさんが、町内の住民に対し、Vさんが窃盗事件の犯人である旨触れ回っています。
このような行為はまさに名誉毀損罪に当たると言え、Aさんには3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
ちなみに、こうした犯罪行為に関する事実の摘示は、真実かつ公益に適う限り、適法とみなされ名誉毀損罪の成立が否定されることがあります。
【親告罪の告訴取消し】
名誉毀損罪は、検察官が起訴して裁判を行う場合に告訴を要する親告罪と定められています。
これは、裁判において名誉毀損に当たる事実が公になることを考慮し、訴追するかどうかを被害者の意思に委ねる趣旨です。
ですので、被害者による告訴がなければ、検察官としては不起訴にせざるを得ないということになります。
上記のことから、名誉毀損罪を犯してしまった際には、被害者と示談交渉を行うなどして告訴を取り消してもらうことが重要になります。
ただ、当然ながらこの告訴の取消しは簡単に実現するものではありません。
そもそも告訴は犯人の処罰を求める意思表示であり、告訴した被害者は強い怒りを抱いているのが通常です。
そのため、下手に交渉を行うと、告訴を取り消すどころか処罰感情をますます強固にしてしまうリスクがあります。
そこで、告訴の取消しを目指すのであれば、やはり弁護士に任せることをおすすめします。
弁護士は法律に詳しい第三者であり、示談交渉を含む代理を専門の一つとする職業です。
ですので、告訴の取消しを実現すべく、交渉決裂のリスクを抑えつつ被害者にアプローチすることが期待できます。
少しでも不安があれば、ぜひ一度弁護士に告訴を取り消したいとご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、示談交渉の経験豊富な弁護士が、告訴の取消しの可能性を可能な限り高めます。
名誉毀損罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
館山警察署までの初回接見費用:0120-631-881にお問い合わせください