今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が事例を基に事後強盗罪について解説致します。
【事例】
千葉中央警察署は2月14日午後0時39分頃、千葉市内のスーパーマーケットにおいて、缶詰等を盗んで逃走しようとした際、男性(58歳)に発見されて確保され、移動中の同日午後0時41分頃、同所において、逮捕を逃れるため、手拳で顔面を殴打する暴行を加えた男(78歳)を同日逮捕しました。
※引用:千葉県警察ホームページ 最新事件・事故ファイル(2023年2月16日)
【解説】
本件事例での男は、どういった罪に問われてしまうのでしょうか。
スーパーマーケットから缶詰を盗んでいることから窃盗罪と思われがちですが、本件のケースでは事後強盗罪に問われる可能性があります。
1 事後強盗罪とは?
事後強盗罪とは、刑法238条に規定されている犯罪です。
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
事後強盗罪として罪に問われた場合は、強盗罪として処罰されるため、強盗罪の法定刑が事後強盗罪の法定刑になります。
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
強盗罪の法定刑は、5年以上の有期懲役であり、罰金刑の規定がないため非常に重い罪であるといえます。
※有期懲役とは、20年以下の懲役のことで、複数の罪が重なる併合罪の場合には、最長30年となります。
2 事後強盗罪の成立要件
事後強盗罪の成立要件の条文をそれぞれ解説していきます。
まず,
①「窃盗が」とは行為の主体を表しますので、ここでは「窃盗」の罪を犯した人(≒窃盗被疑者)となります。
例えば、「お店で万引きをした人」や「寝ている人の持ち物を盗んだ人」などを指します。
次に,
②「財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために」とあります。
ややわかり難い表現ですが、それぞれに言葉を補足すると
・「財物(≒窃取した物)」を所有者(被害者)に取り返されてしまったり
・目撃者、確保者らに捕まってしまう(逮捕されてしまう)ことを免れるため
・罪跡(≒犯罪を行った証拠)を隠滅(処分)するために
ということができ,すこしイメージが掴めるかとも思います。
そして、
③「暴行又は脅迫をした」とつながります。
今回の事例のように、「万引きをした人」が警備員さんから確保されるに際し、「逮捕されることを免れるため」に「手拳で顔面を殴打する暴行を加えた」場合、窃盗罪ではなく、事後強盗罪で捜査される可能性が高いといえます。
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が事後強盗罪について解説致しました。
事後強盗罪は有罪になれば、最低でも5年以上の懲役刑しかないため、そのような点において、厳しい刑罰であると言えます。
そのため、仮に逮捕後に釈放されたり、在宅での捜査となった場合でも「大丈夫」と安心せず、一度、法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
千葉県千葉市周辺に在住の方で、ご家族が事後強盗罪の容疑警察に逮捕されてしまった方や、事後強盗罪などの刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご連絡ください。
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