刑事事件となった場合,警察官から取調べを受けたり,逮捕されたりする可能性があります。裁判で有罪となれば,刑務所で服役することもありえます。
しかし,自分の行為が刑事事件の対象となる犯罪となるかを見極めるのは,思ったよりも難しいものです。
架空のケースを題材にして考えてみましょう。
ケース1
Aは仕事を終えて帰るために,通勤ルートの駅に向かった。駅のホームでは,泥酔したBが柱にもたれかかったまま眠りこけていた。Bの足元に高級そうなブランドもののバッグが転がっているのを見たAは,思わずバッグの中身をあさり,中にあった財布から5万円を抜き取ってしまった。
Aの行為は窃盗罪(刑法235条)に該当するため,刑事事件の対象となる犯罪になります。
他人のものを盗むことが犯罪になることは,一般的な感覚からもすぐにわかりますね。
それでは,次のような場合はどうでしょう。
ケース2
AはBから100万円を借りた。Bとの約束では,1年後には全額を返す予定だったが,資金繰りがうまくいかず,期限までに返すことはできなくなってしまった。Bは「約束と違う。こんなのは詐欺だ。警察に告訴する。」と言っている。
Aは警察に逮捕されてしまうのだろうか?そのまま刑事裁判となってしまうのだろうか?
Bはお金を返さないAに対して,「詐欺だ。」と言っています。
しかし,返すつもりで借りたが,後になって事情が変わり返せなくなったような場合は詐欺罪(刑法246条1項)には当たりません。
Aはお金を返すようにBから訴えられるかもしれませんが,この場合は民事事件となります。
なので,お金を返さないことで警察に逮捕されたり,取調べを受けたりすることはありません。
もちろん,刑罰を科せられることもありません。
これに対して,Aが始めから返すつもりもないのにお金を借りた場合は,詐欺罪に問われる可能性があります。
この場合,AはBにお金を返すだけでは済まず,警察に逮捕されたり,取調べを受けたりするリスクがあります。
このように,一見同じような状況でも,条件が少し変わることで,刑事事件になるトラブルとそうでないものに分かれることがあります。
この区別は思ったよりも難しいものです。
そこで,自分が起こした,あるいは巻き込まれたトラブルが刑事事件になるかを確かめるには,法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
刑事事件にならないと分かれば安心できますし,刑事事件になる可能性があると分かれば,弁護士が早期に動くことで迅速な解決につなげることができます。
刑事事件になるか否かでお悩みの時は,まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部にご相談ください。