大麻の所持で逮捕された,という事件報道は珍しいものではありません。
大麻は覚せい剤と並んで著名な規制薬物ですが,規制される行為や刑罰の重さ,規制を行う法律に違いがあります。
まずはその違いを確認していきましょう。
大麻は大麻取締法によって規制されています。
これに対して覚せい剤は,覚せい剤取締法で規制されているので,法律がそもそも異なることになります。
また,覚せい剤は譲渡,譲受,所持,使用が禁止される主な行為ですが,大麻については譲渡,譲受,所持は禁止されるものの,使用そのものでは罰せられません。
大麻取締法が大麻の使用は規制していないためです。
覚せい剤を譲渡,譲受,所持,使用した場合は,最大で10年の懲役刑が科せられます。
これに対して,大麻を譲渡,譲受,所持した場合は,最大で5年の懲役刑が科せられます。
大麻取締法第24条の2第1項
大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
このように,大麻取締法違反よりも,覚せい剤取締法に違反した場合の方が重い刑罰を科せられることになります。
もっとも,大麻取締法に違反したことによる刑罰は決して軽いものではありません。
覚せい剤取締法違反と大麻取締法違反の違いとして,起訴率も挙げられます。
起訴とは
起訴とは,検察官が被疑者(犯罪の嫌疑がかけられている人のことを言います。)を裁判にかけることを決定することです。
つまり,起訴率が高いほど,裁判になりやすくなるのです。
覚せい剤取締法違反の場合,起訴率が80パーセント近いという特徴があります。
この数字は,覚せい剤取締法に違反した場合,大半の人は裁判にかけられることを意味しています。
大麻取締法違反の場合ですと,起訴率は約50パーセントになるため,覚せい剤取締法違反に比べて,裁判にかけられる可能性は低くなります。
もっとも,全ての犯罪を網羅した起訴率(約33パーセント)に比べると,起訴率は高いといえます。
以上のように,大麻取締法違反の場合,覚せい剤取締法違反に比べれば起訴率が低いため,不起訴を求めて弁護活動を展開することが考えられます。
起訴されなければ,それ以降身体の拘束が続くことはありません。
また,起訴されてしまった場合も,大麻取締法違反の場合は80パーセント近くが執行猶予となります。
執行猶予とは
執行猶予とは,有罪ではあるもののすぐには刑を科さず,一定の期間罪を犯さずに過ごせば,裁判所に言い渡された刑罰を受けなくて済む制度のことを言います。
つまり,懲役刑を言い渡されても,執行猶予の場合は刑務所に収容されずに済むのです。
それゆえ,執行猶予獲得を目指した弁護活動にも実効性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件専門の弁護士事務所として培ったノウハウを活かし,早期の釈放に向けた弁護活動を行います。